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私の中で蓄積された“べき”論が、私を生きづらくしていた

30を超え、2年経った今、人生のさまざまな節目を迎えている。

特に、子どもを産むことにかなりの迷いがある。

「(楽しい事も多いけど)生きていく限り、常に必死に環境に適応し続けなくてはいけず、人生は苦しい。こんな苦しみを味わう人を、わざわざ自分の手で増やしたくない。」

という気持ちがあるからだ。

一応補足しておくと、私は子どもが好きだ。自分の子どもだったらますます、間違いなくめちゃくちゃかわいいだろう。だからこそ、だ。

人間を1人増やすなら、今いる子どもや大人たちを1人でも幸せな時間を増やした方が、良いのではないかと感じてしまうのだ。

ある日、なんでこんなに辛いのだろうか、と考えた。

それは、知らず知らずのうちに埋め込まれた、さまざまな「かくあるべし」に自分自身で縛られているからだと気づいた。
これに気づいたきっかけの話をしよう。

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私たち夫婦は「互いに単身赴任中」であり、普段は別々に住んでいる。
しかし、義父の体調の関係で、夫も精神的に大変だろうと心配だったため、1ヶ月ほど夫が住む地域にいた。

夫は実家住まいであるため、義実家に泊まるのが「普通」かもしれないが、もろもろの事情により私のみ1ヶ月ホテル住まいをし、1週間に1度程度、義実家の家の夕食タイムにお邪魔した。
夕食タイムでは、それぞれに疲労の色が見えて、かなり心配だったものの、手伝うのはちょっと野菜を切り、生サラダを用意する程度。無理して背伸びして手伝ったり、同居したりするのは、お互いのためにも良くないかな、と思って過ごしていた。

ホテルは住処としては快適だったにもかかわらず、正直、なかなか疲れた。今は帰ってきているが、やはり住み慣れた地域は心地よい。

ことの顛末を母に話した所、

・なぜそんなお金の無駄使いをするんだ
・義実家に行って手伝わないなんてありえない。よく向こうの家も結婚許したね

との一言。(なお私の母は、私の父方の実家には20年帰っていない)

疲れの原因は、これだ、と思った。

32年経ち、さまざまな噂話や、陰口を聞くことで、さまざまな「かくあるべし」が私の中で作られていたようだ。そして、人にいわれずとも、自分で自分を縛っているのだ、と気づいたのだ。

今回の滞在の疲れは、この「べき」を達成していない自分への疲れだったのだ。
そして、おそらく、人生を辛いものと捉えてしまう原因だろうとも。

最近の私は、事実婚や、32歳という子育てにシフトす“べき”年齢にもかかわらず、自分のやりたいことを叶えるために自分投資する時間を増やすなど、「かくあるべし」からはずいぶんとずれてきた。

ずれようとすればするほど、自分の中の「かくあるべし」が自分の肉に喰い込む。そして脱したあとも、他者から「かくあるべし」と言われることで、辛さが倍増する。

今、私が私を縛っている「べき」論はこれだ。なお、私はこのべき論について、頭のなかでは“従わなくてもいい”と思っている派だ。

・夫婦は一緒に住むべし(※1)
・嫁は義実家の負担を減らすべし
・女性は子どもを産むべし、子どもがいることが幸せ(※2)
・妻は仕事よりも子育てを優先すべし(※2)
・母は子どもが帰ってくる時間には家にいるべし(※2)
・女性は仕事面で夫をサポートすべし、前面に出ない方が良い。(内助の功が美徳)(※3)

人は自分の理想や、自分が過ごしやすい環境をつくるため、他人に「かくあるべし、そうあることが出来ないなら、人として失格だし、社会的にあなたの立場は危ういよ」と伝えてくる。

様々な意見があるだろうが、”べき“の押し付けは、社会的な集団を作るヒトならではの、自分の生存確率を高めるための策の1つなのではと、私は捉えている。

「べき」論に従い、「しょうがないよ」と他人のせいにしておけば、楽になるのかもしれない。でも、その行動は、おそらく「べき」論の再生産につながるだろう。

私は私の選択に納得した人生を送れているものの、いったい、私はどうすれば生きやすくなるのだろうか、と日々考えあぐねている。

【補足】

※1「夫婦は一緒に住むべし」に関しては、事実婚であることも恐らく大きい。事実婚である我々にとっては、何かあったときに社会的に夫婦として認められるには住民票を同一にするなど、同居の″事実″が必要とされたりするのだ。
(私たち夫婦の事実婚+単身赴任形式の話をすると、籍も入れず、同居もしていないなんて、結婚したとは言えないんじゃない?と会社の人も含め、実に多くの人に言われる。まぁ、認めない!という人もいる。これは、事実婚しないと気付かないことだった。)

※2 帰省したくなくなる理由に挙がりがちなこの言葉たち。私は実家の親からは全く言われなかったので今までほとんど気になることはなかったが、夫の地域では頻繁に言われて面食らったりする。※2のべき論言う人を少なくするだけでも、子どもの育てやすさは変わりそうだ。

※3 我が家は義実家も夫も自営業であるため、余計にこれを感じる機会が多いのかもしれない。

※4 妊娠する前から非常に不安がって、産むかもしれなら...と貯金を開始したりしているせいで、「マタニティじゃないのにマタニティブルーか」と突っ込まれることが多々ある。夫婦ともに心とお金の準備はしておかないと...とおもうのだけど。

もし・・もし、サポートいただいた場合は、それを軍資金としたnote関連企画をしようかと思います。