2024.05.10

日々、朝になるとお腹が痛くなる。
高校生のときに木曜日の一講時に絶対お腹が痛くなって死にかけていたのを思い出す。クラスの真ん中で腸が暴れる時間、あまりにも地獄。助けて欲しかった。おとなになるということは、人目をはばからず好きな時間にお手洗いに行くことができるということだ。

母親が元気に鼻をかんだ後「今のは何の歌だったでしょう」とクイズを出してきて、どこからどこまでが出題範囲だったのかわからなくて悔しかった。かみ始めからかみ終わりだったらしいが、親の鼻をかむ音など集中して聞くことがないのでさっぱりわからない上に音階などどこにもなかった。母は少し憤慨しながら「ぞうさんでしょ!」と言うのでわけがわからないまま床に転がりながら笑った。これを読んでいる皆さんにはあるか、母親の鼻かみ演奏を聞いたことが。ちなみに「ぶーん、ぶん、ぶん」だった。思えば聞こえる気がしてまた笑った。

先週髪を切りました。大体2年から3年周期でばっさり切るのが常になっていて、セミロングとボブをいったりきたりするのが中学からずっと続いていたのに、周期を破る形で伸び始めの髪を肩につかないくらいの長さに切った。
小学校の頃、仲の良かった女の子がワンレンボブで大人ぽくて憧れて前髪を伸ばしたことがある。両親は前髪を上げた方が可愛いねと私に言って聞かせていたのできっと似合うのだと思っていたのに、全く似合わなくてさっさと伸ばした前髪を切った。それは私が中学にあがる前だったので、幼さ故に似合わなかったのだろうと大人になってから何度か伸ばしてみたのだがやはり似合わなくてその度に憧れへ背伸びしているような気持ちになる。気がつけばという枕をつけるのは陳腐であまり好きではないけれど、もう間もなく人生も30年に近づきつつある中で、未だに大人ぽい髪型をすることが「背伸び」に見えてしまうのがあまりにも悔しい。ショートやボブだって、スマートな大人の女性のイメージがあって憧れだったのに、私がするとなぜかセミロングのときよりも幼くなってしまう。

かっこいい女性になりたかった。
初めて出版した本の著者紹介文でも書いたのだが、夜風を感じながらベランダで一服する姿が似合うような、スパイ映画に出てくる女みたいな、そんな女になりたかった。届かないものにばかり憧れて人生を消費しているような気がする。日々ポメラに向かい、あまり強くもない酒を飲みながらアイドルソングを聞いて日記を書く人生のどこがかっこいい女性なんだ。私は先ほど母親の鼻かみソングのアンサーとして「鳩ぽっぽ」を奏でたところである。この親にしてこの子あり。かっこいい女になるのはもう少しだけお預けなのかもしれない。

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