2023.01.23

何も手につかない日というのがある。
それが今日だった。
何も出来ない(しない)というのは嫌だったので言語化しておくことで体裁を保っておきたい。

ネットで話題だった「このテープもってないですか?」を見た。普段怪奇現象を映したビデオを特集した特番も一切見たくないくらいにはこの手のジャンルは苦手で仕方がないのだけれど、作品としてとても良いと評価を受けていたものを見ておかない訳にはいかないよな、と思ったので意を決して見た。怖いのは嫌なので「覚悟」のためにぼんやりと考察の様なものを見てから挑んだのは結果として正解だったのか不正解だったのかは分からない。自分のメンタル的には正解で作品を楽しむ意味では不正解だったなと思う。ただ、そのお陰でイヤホンをせず見たので脳が正常でいられただろうか。寝る前や風呂場でフラッシュバックするということはなかった。寝つきは悪かったが。

テレビ東京がローカル局であることが勿体ないなと思う反面でTVerという配信手段がありリアルタイムではなくても、放送地域外であっても観ることができることは本当に素晴らしいなと思う反面、賛辞としてこんなものを地上波に乗せるなという気持ちも湧いた。
リアルタイムで見た人は3日間かけてじわじわとこの狂いを目の当たりにしたのだろう。私を含み配信で見た人達はその日のうちに流れるように全てを見たと思うが、考えるまでもなくリアルタイムでみた人たちが正しくこの狂いに触れることが出来たのではないかなと思う。特にTVerは3日目のサムネイルが砂嵐になっていて明らかな異常性が見えているけれど、リアルタイムで見た人はそんなことになっているなんて予測もできないのだから。
地続きの時間の中で触れるよりも、日常を繰り返す中で同じ時間に目にしたものがゆっくりと変わっていく方がきっと怖い。

一夜目の動画から気味が悪くて怖かった。男性が家屋の前で話している動画、奥の布団?タオル?が落下しただけでも嫌だったのにベビーカーがひとり出に動いて、胎児が一度全画面に映された。こんなにも気持ち悪いことがあっていいのか?注釈もなくこんな怖くていいのか?と昼間に見ていなければ泣いていたかもしれない。
二夜はなんとなくわかっていたから目を逸らした動画のシーンもあった。三夜は言わずもがなだが、個人的に「坂谷一郎」の番組終わりで全員が天井を見上げ、カメラが照明を吊るされている天井を長いこと写していたシーンがあまりにも気持ちが悪くて観ることができなかった。

ネットでも散見されたが、第三夜の奇怪な言語の並びに「パプリカ」を思い出した。所長が精神病患者の夢を脳内に流し込まれたことで始まる狂気のパレードの有名な一節である。
友人の中にはそれを知り、「このテープもってないですか?」をきっかけに「パプリカ」を観た者もいた。実際はオモコロ編集長の原宿さんの言語感覚をヒントにしたとツイートされていたのを見て目の前が真っ暗になってしまった。
何を食べて生きてきたらあのような言語感覚が身につくのだろうか。加えて普段ギャグにしか思えないあの言葉の羅列に意味の通りが見えるだけでわかりやすく狂気になるのだと思うとその演出にも感動する。

本当に見なければよかったという感情と見てよかったという感情が入り交じっている。
その後アマプラでオススメされていた「デッド寿司」も観た。情緒がおかしくなって、その代償が今日に流れ込んでいる。
こんなにも今日が休みでよかったと思ったのは初めてかもしれない。

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