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#43 年を重ねる

 「年を取るのはマイナス、年を重ねるのはプラス。」これは先日ある番組で芸人さんがおっしゃっていた言葉なのだがサラッととんでもない名言を言ったなと番組を見ながら思った。年を重ねる、普段はあまり使わないだろうし、どちらかと言えば年を取るの方が良く使う。年を取るというのはあまりプラスに捉えられないことだと思うし実際、「死」という終わりに近づいているのだからプラスでは無いのだろう。ただそう考えてしまっては今の人生が楽しくはならない。だって生まれた瞬間、人類みな「死」に近づいているのだから。ただ今回、そんな悲しい内容について書くつもりは毛頭なくて、僕自身が年を重ねるのも悪くはないんじゃないかと最近は考えるようになったという事。女性にとっては年齢は日光よりも大敵で今回僕が書く内容には全く理解してもらえないかもしれないがなかなかにいい内容になると思うから是非最後まで読んでほしい。

 元々年を重ねる事が嫌なのかと言われれば全くそんな事は無い。今まで憧れてきた男性はみな年上の洒落た人たち。だから早くそんな男になりたいとまで思う。肌のシワから歩き方まですべてがかっこよく見えてしまうのだから不思議なもんで、人生何を経験すればあんな雰囲気が出てくるのか。教科書には決して乗っていない男のバイブル。それが年を重ねるという事なのだろう。

 実体験での話をすると僕自身、最近3年ぶりぐらいに花火を見た。20歳になってビールを飲みながら見る花火と、坊主の野球小僧が見る花火では感じる事が全く違くて今年の花火は過去一番感動した。高校生の頃は野球に追われて心の余裕があまりなかったような気がするし、何より夏が嫌いだった。それは花火も楽しめる訳はない。ビールを飲みながら見た花火は酔っていたせいかやけに綺麗で懐かしいという気持ちにもなった。僕が毎年決まって見てきた花火というのは、じいばあの家から見れる花火くらいで今年はコロナもあって約3年ぶりに開催された。3年前と見ている場所は変わらないのに大きくなった親戚や3年前とは違った環境にいる自分が当たり前なのに少し不思議で、そう考えながら見た花火は感動はもちろん、懐かしさやどこか寂しさまで感じさせる。一番は隣にいたじいばあが今年も元気で花火を一緒に見れたことが何より嬉しかったのだけれど、花火を見て感じる事も3年経つと大きく変化してた。花火の一瞬で消えてく儚さや響く音、昔なら当たり前の全てがどこか安心し、懐かしい。暑いだけで、ただ早く過ぎてほしいとさえ思っていた夏が寂しさまでも与えてくるようになるとは。それは年を重ねたことによる心の変化なのかはたまた野球からの解放からなのか、夏を魅力的に感じてしまうのだから不思議なものだなと感じる夏になった。

 年を重ねると当たり前だが沢山の過去が出来る。以前も似通ったことを書いた気がするがその一人一人の過去が全て素晴らしい。間違いなく年を重ねた自分自身の功績で今まで生きてきた証なのだから。懐かしい気持ちに浸りたかったらビール片手に花火を見ればいいし、新鮮な事がしたいならどこか遠くへ行けばいい。それもすべてがいい人生でいい過去になる。振り返ればどこか笑えたり、少し悲しくなってみたり、そう思えるだけで素晴らしいじゃない。





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