あなたと地域おこし協力隊*イベントレポート
梅雨真っ只中の6月30日、降ったり止んだりハッキリしないお天気のこの日、加西市地域おこし協力隊による「あなたと地域おこし協力隊」というイベントを開催しました。
このイベントは、地域の皆さんに地域おこし協力隊のことをもっと知っていただきたい、そして一緒に加西市を盛り上げていきたい、との想いで、加西市地域おこし協力隊として初めて開催しました。
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[会場は北条町のええもん王国さんを利用させていただきました。]
まずはじめに、立花から開催の挨拶をしました。
立花:「皆さん、こんばんは!今日はお集りいただき、ありがとうございます。地域おこし協力隊として初めてのイベントで不手際もあると思いますが、温かい目で見ていただいて、アットホームな会にしたいと思います!よろしくお願いいたします!」
そして、今回ファシリテーターを務めていただく、美作市地域おこし協力隊OBの藤井さんにバトンタッチ。
[美作市地域おこし協力隊OB 藤井裕也さん]
挨拶、藤井さんの自己紹介、地域おこし協力隊制度について
藤井さんから簡単な流れの説明と挨拶をいただきました。
今回のイベントの流れは、
①地域おこし協力隊の説明(藤井さん)
②加西市地域おこし協力隊の説明(ふるさと創造課 地域おこし協力隊担当 河村さん)
③全国の地域おこし協力隊の活動事例紹介(藤井さん)
④加西市地域おこし協力隊の活動紹介(隊員一同)
⑤加西市地域おこし協力隊の本音トーク(隊員一同)
⑥加西市の未来について考えるワークショップ(会場の皆さんと一緒に)
⑦まとめ
となっております。
その後、藤井さんから簡単な自己紹介と、地域おこし協力隊制度についての説明をしていただきました。
藤井さん:「僕は、地域おこし協力隊の初期のメンバーで、7年ほど前に活動していました。現在はひきこもり支援やシェアハウス運営、協力隊のサポートなどを行っています。
今日ここに来られている方で地域おこし協力隊の活動内容を、本人の口から聞いたことがある人いますか?何人かいらっしゃいますね。ありがとうございます。
では全国に地域おこし協力隊は何人いると思いますか?200人?10,000人?加西市の人口が45,000人なので4人に1人は地域おこし協力隊ということですね(笑)実は、今は3,000人から4,000人が全国で活動しています。でも、加西市はすごくて、総務省の補助を受けずに加西市の市の単費でやっているんです。
元はと言えば、地域おこし協力隊は地域外の人を入れて、地域にない人脈やスキルを使い地域内にある資源とマッチングを計り、地域おこしをするということで始まりました。最初は200人ぐらいだったものが、今は3,000人とものすごく増えましたね。
活動費ってどれぐらいあると思いますか?200万円?そうですね。200万円のうち家賃など払っていくので、実際使えるのは100万円ぐらいなんですね。そして平成27年度の総務省の資料によると、6割の人が定住しています。結婚しましたや、就農しましたという人がいます。そして、2割の人が起業しています。カフェやゲストハウスをする人が多いのですが、これからどんどん減ってくるかもしれませんね。
卒業後にはいろいろやり方がありまして、例えば加西市で住んで、姫路で働いて、都市に物を販売にいってと多拠点で活動するパターンや、地域に入って、就農や就業をするパターンなどもあります。
地域おこし協力隊は、地域おこしもしないといけないし、ビジネスプランもたてないといけないし、なかなか大変な仕事なんですね。」
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加西市地域おこし協力隊について
その後は、加西市ふるさと創造課の地域おこし協力隊担当 河村さんから、加西市地域おこし協力隊の導入経緯などをお話いただきました。
[加西市ふるさと創造部ふるさと創造課 河村諭志さん]
河村さん:「加西市は総務省の財政支援を受けられない地域となっていますが、平成26年に人口5万人都市を目指すためのひとつの制度として地域おこし協力隊制度を導入しました。
地域おこし協力隊というよそ者が地域に入ることによって、町の中で活動を行政が支援しながら行っていくことと、もう一つ、地域おこし協力隊の彼らは様々な仲間を持っていて、その仲間を加西市に呼び込んでもらうということで、外と加西市のパイプになるという効果もあります。
加西市は最初にもありましたが、活動費が非常に少ない中、彼らは一生懸命加西市のことを想って日々活動してくれています。ですので、これから町中で活動中に、分からないことが多く不手際もたくさんあると思いますので、地域おこし協力隊に直接でも指導してもらっても構いませんし、市の方へ来ていただいても構いませんので、批判して叩くのではなく、少し寛容な気持ちや暖かい気持ちを持って地域おこし協力隊というものを見守っていってもらえればと思います。それが加西市にとっても、一歩前、半歩前に進む地域づくりとなり、より良い加西市を作っていくことに繋がると思いますので、これからも地域おこし協力隊を応援してください。
また、加西市は総務省の補助を受けず、市の担費で行っている地域おこし協力隊で、おそらく全国に例がなく、家に帰って地域おこし協力隊とインターネットで検索してもらうと、総務省の中には平成27年には2,600人程度と地域おこし協力隊がいると書いてありますが、実は加西市は除かれているんですね。そこから2人足していただければ、その2人は彼らになります。そういう形で加西市地域おこし協力隊のことを思っていただければと思います。これからもよろしくお願いいたします。」
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全国の地域おこし協力隊の活動事例紹介
藤井さんから全国の地域おこし協力隊の活動事例を紹介していただきました。
全国には様々な活動をされている協力隊がいます。それぞれに目的があって活動をされていて、起業したから成功というわけではないですし、定住しなかったから失敗なのかというとそうでもない…。
そんなお話をしていただきまいした。
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加西市地域おこし協力隊の活動紹介
その後は加西市地域おこし協力隊の4人ひとりずつ、活動紹介のプレゼンを行いました。
3分の発表だったのですが、みんな時間内に終わらずオーバーし、藤井さんに「チーン」と終了の合図のベルを鳴らされてしまい、その度に会場から笑い声が上がるという和やかな雰囲気で行われました。
[トップバッターの下江隊員はスライドを18枚も作っていたにも関わらず、紹介できたのは4枚ぐらいでした(笑)]
[私も3分に収めようと必死です。]
[植村隊員は発表もさることながら、パワーポイントの完成度が高かったです!]
[最年長の福永隊員が一番時間をオーバーしていました(笑)]
活動内容のプレゼンが終了すると、会場にお集りいただいた参加者の皆さんに、各隊員にできる支援や、応援メッセージなどをポストイットに書いていただきました。
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加西市地域おこし協力隊の本音トーク
その後は、加西市地域おこし協力隊へちょっと突っ込んだ質問を藤井さんにしていただき、正直な今の気持ちをトークしました。
[緊張気味の4人です。]
藤井さん:「地域おこし協力隊は定住策と言われたりしていて、最近は定住しなくても良いなんて地域もあるのですが、定住ということに関して教えてもらいたいと思うんですけど、1年目2年目ではまだ分からないとも思いますが、まず今の段階では下江さんはどう考えていますか?」
下江隊員:「僕の将来像は、多拠点や二拠点を考えていまして、そのひとつが加西市になるようにしていきたいなと考えています。活動の中でいろんな人とも繋がりができましたし、僕自身もさっきのプレゼンで話したように、加西市で思い描くビジョンがありますので、3年経ったからさようならといった中途半端なことはしたくないと思います。目の前のことができないのに将来像に近づけるとは思っていませんので、ちゃんと自分の加西市で考えるビジョンが達成できるまで、もしくはそこに向かって進んでいく道筋ができてから、僕の地元の島根県出雲市に本拠点を移して、行ったり来たりできるような関係を築いていけたらと考えています。」
立花:「私は、地域おこし協力隊は3年間で起業することと定住することを目標に活動していると思っていて、なので目標である地域のためになる仕事が作れたならば定住して、加西市で暮らしていけたらと考えています。市民の方に必要とされなかったら、地域おこし協力隊制度は成り立たないと思っていて、それは任期終了後の3年後も同じかなと思うので、私がここに居続ける理由である仕事を探して、作っていけるように頑張っていきたいと思います。」
植村隊員:「まだ活動を初めて2ヶ月しか経っていないのですが、神戸の仕事やふるさとを捨てて来てますので、定住するつもりでいます。」
福永隊員:「私は先ほども触れたんですけど、家業でぶどう作りをやっていて、加西市はワイン特区というものになっていて、通常よりも少ない本数で免許が取れるんですね。なので3年後の定住に向けての活動をしています。」
藤井さん:「僕も定住とか言われたときに、まだ分からんわと言っていたんですけど、定住を考えていてすごいですね。じゃあ次は、協力隊って住んでいることが仕事なので仕事とプライベートが分けられないことが多いのですが、仕事とプライベートをどのように分けていますか?という質問です。」
立花:「それぞれの隊員で考え方が違うと思うのですが、私は仕事とプライベートが分かれていないですね。昨年1年間は仕事とプライベートが分かれていないことがすごい悩みで苦痛だったんですけど。私たちには担当地域というものが決められていて、第一期は加西市全域が担当地域なんですね、なので、加西市全域が言ってしまえば仕事場で、加西市にいる限り仕事という感じでしんどい時もあったんですけど、でも2年目に入って仕事とプライベートを分けなくてもいいのかなと思うようになってきまして、それは地域の人と生活の中から仕事を生み出していったり、小さな困りごとから何かプロジェクトが生まれていくことに気付いて、それが地域おこし協力隊なのかなと思いまして、新しい働き方として地域おこし協力隊はやっていかなければならないのかなと思っています。
藤井さん:「そうですよね。僕も気付いたら休み無く働いていましたっていう時期もありましたね。じゃあ仕事を3年後に作っていくということですけど、作っていく上で地域の人との関係性ってどういう風にやっていけたらと考えていますか?」
下江隊員:「地域おこし協力隊として地域の人と関係を築きながら仕事を作っていくことが大切だと思っていて、活動している中で最近嬉しいことがあってですね、西在田の創造会議の方に“下江くんが3年後もおってもらえるように仕事作り、地域ビジネスを作っていこうと思っとる”と声をかけてくださったり、一緒に活動してくださったりすることがすごいありがたいことで、地域おこし協力隊として定住に向けて一緒に考えてもらえるのはありがたいです。もちろん、地域おこし協力隊として地域の困りごとに着目して、コミュニケーションを取って、お互いに寄り添っていける関係性が良いのではないかと思います。
藤井さん:「なるほどね。続いて、先ほど、協力隊新聞がありましたが、地域の人に向けた広報は何かあったりしますか?」
立花:「先ほど、地域おこし協力隊新聞の紹介をしましたが、これを3ヶ月に1回発行して、回覧板に入れさせて頂いていて、第2期が2人増えましたので、これからは2ヶ月に1回発行していくことと、あと、SNS発信をフェイブックのページを作り月に何度か更新して報告をさせていただいております。それでもやっぱり、何をしているか分からないと言われることが多くて、私たちは伝えたいのですが伝える方法がないことも事実で、伝えたいけど伝わらないというジレンマをもっていて、もしこの方法だったら情報発信できるよという方法があったら教えていただきたいなと思います。」
藤井さん:「確かにね、情報発信は難しいですよね。何か良いアドバイスがあれば立花さんのところにふせんで貼っておいてくださいね。仕事を作ったり地域おこしをしたり大変な地域おこし協力隊なのですが、最後に2期生にプレゼンで時間もなかったので、意気込みいただいてもよろしいですか?」
植村隊員:「まだまだ画家として勉強不足ではありますが、地域おこしの活動において「芸術のことならとりあえず植村に相談しよう」と言っていただけるようになりたいと思います。皆さんこれからもよろしくお願いします!」
福永さん:「加西の農産物の加工品を作るグループを立ち上げたいなという思いがあります。農産物に関する活動は長い目で見ないと結果が出ないのかなと思うので、少しお時間はかかるかもしれないですけど、皆さんとコミュニケーションを取って、特に女性の方が出てきにくい地区もあるので、素晴らしい力を持っている女性もたくさんいるので、一緒にやっていけたらと思います。このような貴重な出会いをいただいていることが何事にも変えられない財産になっていて、地域おこしの活動をさせていただいていることにとても感謝しています。少しでも良くしていけるように活動していきますので、よろしくお願いいたします。」
藤井さん:「ありがとうございます。もし会場から質問があれば質問を聞くように立花さんから指示が出ているのですが、あまりこのような場もありませんので、何でも良いので質問はありますか?」
参加者:「先ほど定住の話があったと思うのですが、多拠点のことは、生産を加西でして、販売を例えば東京でするということなのか、今は半農半Xという言い方もありますので、必ずしも都会に行かなくても良いのではないですか?」(少し割愛しております)
下江隊員:「僕自身は若い人の繋がりを作って地域に貢献していく仕組みであったり、ナリワイを作るということをやっているのですが、実際に地元の出雲市でも若い人のコミュニティを作る動きをしていて、そこから何が生まれるか正直まだ分からないです。でも何かをしたい若者と地域の人を繋ぐ動きであったりなど、時間配分がまだ分かっていないですけど、そういった形で今やっている若手のコミュニティ作りをまずいろんな地域に入って情報を集めて、地域のことをやっていこうと思います。」
立花:「私は多拠点の考えはなくて、まちづくりの中では、風の人・水の人・土の人というのがありまして、私は風の人にはなれなくて、いろんな地域を飛び回っていろんな活動というのはできないと思っていて、ひとつの活動をどっぷりやりたいなと思っています。でも加西の出身ではないですし、加西のことを全然まだ知らないので土の人にはなれないので、その土地に染み渡るような水に人になれたらなと考えています。」
植村隊員:「私は定住を目指しています。その為に、 先ほどの活動から収入を得る方法なども考えております。また、プライベートでは春陽会という全国規模の絵画団体に入っていますが、そちらで賞を取ることで全国の方から絵を見てもらえるようになるので、そちらも仕事作りにつながると考えております。収入を得て、もちろん3年後はこちらで定住できるように頑張ろうと思っています。」
福永隊員:「私ももちろん定住で、しかも地域に根ざして皆さまから愛されるワインを作りたいと思います。今ホームページでワインを買うことができるのですが、いろんな地域の方にご購入いただけたりとか、今の時点で県外からも加西市に訪れていただいている状況です。」
藤井さん:「ありがとうございます。ざっと話を聞いてきましたが、地域おこし協力隊は地域のための活動をしなければならないですし、自分のビジネスのこともどっちも一度にやらないといけない大変な活動ですね。これでトークは終わりにしましょう。ありがとうございました。」
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加西市の未来について考えるワークショップ
参加者の皆さんと、模造紙とふせんを使ってワークショップを行いました。
まず、“加西市の課題だと思うこと”をふせんに各自で書き出していきました。
それが終わると各班で共有しながら、模造紙に貼っていきます。
次に、“その課題を解決するためには?自分なら何ができるか?”を書いていきました。
同じようにふせんに書いて、各班で共有をします。それぞれの班で活発な意見が飛び交っていました!
そして、まとめとして各班で出たアイデアを、全体に共有していきました。
[たくさんの意見が出ました!]
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そして最後に簡単な藤井さんの挨拶と、立花の挨拶をし、今回のワークショップは終了いたしました!
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今回初めての試みということで、この日までに何度も何度も協力隊員で集まり、打ち合わせを行ってきました。第一期と第二期で意見が食い違ったり、市役所との擦り合わせが上手くできなかったりと、様々な壁を乗り越えての開催でした。
当日まで何名の方にお越し頂けるか分からず不安でいっぱいでしたが、こうして開催してみると、予想していたよりもたくさんの方にお越し頂き、本当に嬉しい限りです。
沢山の方に関心を持っていただき、応援していただいてることを痛感したイベントとなりました。
最後の挨拶でも申しましたが、地域おこし協力隊は、地域の人から必要とされて初めて成り立つような、とても脆くて危うい制度だと思います。だからこそ地域の皆さんにご協力いただきながら、これからも寄り添って助け合って活動していければと思います。
今回このようなイベントを開催できたのは、ふるさと創造課の河村さん・阿部さんのバックアップがあったからです。本当にありがとうございました。
また、岡山県から高速道路を間違えながらもお越し頂いた藤井さん、ありがとうございました。
そして何よりも、当日ご参加いただきました皆さま、本当にありがとうございました!これからも加西市地域おこし協力隊一同をよろしくお願いいたします!
平成28年6月30日 加西市地域おこし協力隊 立花莉絵子
会場・ええもん王国:http://kanko-kasai.com/gourmet/baobab-cafe/508/
加西市地域おこし協力隊FB:https://www.facebook.com/加西市地域おこし協力隊-1614860762084060/