相続登記申請の義務化等について

相続登記には義務はないので、相続登記をしないケースが多く、長い期間を経過して土 地の所有者がわからなくなる事態があった。それが原因で所有者がわからないと取引等も できず、再開発、公共事業の支障となっていた。この問題を解消する為、相続登記の義務 化が議論されていた。 2017 年(平成 29 年)12 月に公表された所有者不明土地問題研究会(一般財団法人国土 計画協会)の最終報告で「2016 年(平成 28 年)時点の所有者不明土地面積は、地籍調査 を活用した推計で、約 410 万 ha あり、九州(土地面積:約 367 万 ha)以上に存在する」 という衝撃的な報告がされた。このまま放置すれば更に増加すると予想された。平成 28 年度の地籍調査において、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合は、 約 20%程度とされた。所有者と連絡が取れないことにより、公共事業の用地取得ができな くなり、災害被災地の復興を妨げる要因となっていた。注1 その理由で相続登記申請の義務化が令和 6 年4月1日より施行される事になった。相続 税の問題よりも土地等の所有者を把握するというのが目的の改正である。とはいえ、相続 税について関係はしてきます。施行日前の相続について生じる登記についても遡及適用さ れ遺産分割未了財産についても登記の申請義務は課される為、その時の相続人に法務局か ら登記義務履行の催告があり、そこで初めて相続されていない不動産の存在を初めて知る ことに相続人がなるはずです。 新たに判明した財産に対する相続税申告に係る除籍期間は、相続税の申告期限から5年 である。偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れたと認められる とときには7年である為、数十年前に発生した相続の場合には申告義務は生じない。一方 で除籍期間内新たな不動産の存在が判明した場合には、期限後申告又は修正申告をする必 要が生じる。注2 相続土地国庫帰属法は2021年4月に成立した法律で2023年4月27日から施行 される。相続等によって土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土 地の所有権を手放して、国庫に帰属させることができる制度である。この制度は手数料が 高くハードルが高いので利用されるかは未知数です。ただ、国に土地を寄付することで相 続税の課税関係については注視する必要がある。

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