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七夕+1

七夕が終わってしまった。
7月8日の深夜1時、私はふと外へ出ることを思いつき、そのままの勢いで家を飛び出した。

周囲は暗闇と静寂に包まれていて、時々すれ違う人間も何処かに緊張を感じる。
欠伸と共に空を見上げ、星が見えないほど無駄に明るい街中を恨んでいた時、私の目の前に年齢は16~18くらいであろうか、独りでいる女性が現れた。
しかも驚いたことに、夜を1人で彷徨う怪しげな男を相手に取り、その女性は話しかけてきたのだ。
「織姫と彦星は会えたと思いますか。」
すかさず私はこう返す。
「もう毎年のことだ。鵲が橋を渡せば逢えるのだ。」
女性は
「では鵲が居なければ。」
そう言うと私が呼び止める間もなく、ふと立ち去って行ってしまった。

鵲が居なければ2人はどうするのだろうか。繋ぎ止めるものを失い暴走するのか、はたまた鵲と共に心の絆も消えてしまうのか。

眠い目を擦り、空を見上げながら考えたが、星は街の明るさで輝きを失っていた。

街の +1


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