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ロシアハサン駅-北朝鮮豆満江駅間の列車に関する衛星画像(CSISの記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2241495

 CSISは2023年2月17日に、ロシアのハサン駅と北朝鮮の豆満江駅を往来する列車の衛星画像分析に関する記事を発表した。内容は、2022年11月から2023年1月にかけて得られた衛星画像から、ロシアと北朝鮮の貿易状況を分析するものである。ロシアは経済制裁回避のため、イランや北朝鮮からの兵器調達を進めるなどの対策を講じており、今回の衛星画像でこのことが明確になったと言えるだろう。今後の安全保障状況を見通すうえで貴重な情報であることから、その概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Arms, Oil, and Coal: The Tumangang-Khasan Railroad Crossing)
https://beyondparallel.csis.org/arms-oil-and-coal-the-tumangang-khasan-railroad-crossing/

1.記事の内容について
  ・2022年9月にアメリカのインテリジェンス機関から公開された情報により、ロシアが北朝鮮から数百万点にも及ぶ兵器やロケットの部品を調達していることが判明した。北朝鮮側は否定しているものの、11月の衛星画像によるとワグネルが利用しているロケットやミサイルが北朝鮮から運搬されていることがわかる。ホワイトハウスが公開した衛星画像では、ハサン駅から豆満江駅へ5つの列車が出発し、北朝鮮からコンテナを積載してロシアに戻っていることがわかる。

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/02/Wagner_Railars_WH-Images.jpeg

画像1:ホワイトハウスが発表した、ロシアハサン駅-北朝鮮豆満江駅間の衛星画像

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/02/Tumangang-Khasan_2023_02_05_01.jpg

画像2:2022年11月18日豆満江鉄道施設の衛星画像(著作権は、2023年Maxar Technologies)

 ・アメリカ側はこれらの列車が兵器の運搬に利用されていると特定しているわけではないが、車両の往来が国境間の都市に必要な物資の量を上回る規模となっていることから、機密性の高い物資の運搬に利用されていることは間違いなさそうである。豆満江駅は、国外と接続している駅の中で最大の施設を有しており、石油貯蔵施設が存在する。2018年のデータによると、1年を通じて機関車や貨物車が常時40~80台往来しているとされている。コロナ対策により過去3年間は列車が大幅に減少していたが、ここ数か月は急増している。

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/02/Tumangang-Khasan_2023_02_05_02.jpg

画像3:2022年12月15日豆満江-ハサン鉄道交差路(著作権は、2023年エアバスDS)

・2022年11月から2023年1月にかけて入手された35枚の衛星画像によると、通常の貿易を大きく上回る列車が、国境間を往来している。衛星画像で撮影されている列車の中には、ワグネルに販売された兵器を積載した車両に類似した者も含まれていた。また石油や鉱石を運搬する車両も確認されており、輸送されている物資が多様であることを示している。

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/02/Tumangang-Khasan_2023_02_05_03.jpg

画像4:2022年12月15日ハサン鉄道施設(著作権は、2023年エアバスDS)

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/02/Tumangang-Khasan_2023_02_05_04.jpg

画像5:2022年12月15日豆満江鉄道施設(著作権は、2023年エアバスDS)

・往来している列車の台数を正確に確認することは困難であるが、2022年12月の衛星画像から算出した概数を確認すると、台数が顕著に増加していることがわかる。

表1:ハサン-豆満江間で確認された車両の概算台数

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/02/Tumangang-Khasan_2023_02_05_06.jpg

画像6:2022年12月7日ハサン鉄道施設(著作権は、2023年Maxar Technologies)

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/02/Tumangang-Khasan_2023_02_05_07.jpg

画像7:2022年12月8日豆満江鉄道施設(著作権は、2023年Planet)           これは経済制裁への対抗措置と見られる。衛星画像で得られる情報には限界があるが、ハサン―豆満江間を往来する列車の台数を確認していることで、貿易活動の活発さを確認することができるだろう。

2.記事読後の感想について
 CSIS側から衛星画像の許可を得ようとしたが、西海衛星発射場の衛星画像と同様に、Maxar Technologiesほかの画像については転載権を保有していないとのことで、リンクのみの記載となってしまったことから、読者の皆様にはご不便をおかけすることをお詫びしたい。
 北朝鮮は、最近またミサイルを打つようになってきたが、ロシアからそれなりの資金や技術を入手したことも要因の一つだろう。経済制裁回避のため、北朝鮮、イラン、トルコなどが第三国として使われるようになっており、結果としてこれらの国家がウクライナ戦争で利益を得ることになったわけである。
 こういった事情を鑑みると、ますますロシアには勝たせたくないと思ってしまう。こういった中でロシアを弱体化するには、やはり原油価格を下げてしまうことであろう。石油や天然ガスの代替地を模索する動きは昨年から継続して続いており、新たな油田やガス田の開発がニュースになることで、原油価格は徐々に落ち着いてくるだろう。
 物価高などで苦しい中、耐え続けるのは非常に辛いことであるが、戦争を成功体験にさせてしまう方が、長期的には大きな不利益となる。原油価格を下げたいがために妥協してしまうとなると、ロシアのような国家が原油価格の強い決定権を持つことになるため、ロシアに大きく失敗させることが肝要である。ロシアが失敗すれば、北朝鮮も中国も潤うことはないのであり、いかにして今回の戦争の決着を付けるかが、世界の指導者層の腕の見せ所である。
 ただ岸田政権では指導的な役割は期待できないことから、アメリカをはじめとした西側諸国に何とか頑張ってもらうしかないのが残念である。こんな時に安倍元総理だったらどうするだろうか。考えても仕方がないが、ついついもしもを考えてしまう今日この頃である。
  
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