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防衛サプライチェーンの脆弱性について(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Michael DrummondによるPixabayからの画像ttps://pixabay.com/ja/users/fotshot-401149/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=449772

 ヘリテージ財団は2021年7月28日に、防衛インフラの脆弱性について解説する記事を発表した。内容は、防衛に必要な物資のサプライチェーンが中国依存となっていることに対して、注意喚起を促すものである。オリンピックの最中でこういった国際ニュースが不足気味であることから、参考として本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(What the Pandemic Can Teach Us About Vulnerabilities in Our Defense Supply Chain)
https://www.heritage.org/defense/commentary/what-the-pandemic-can-teach-us-about-vulnerabilities-our-defense-supply-chain

1.本記事の内容について
・2020年3月に食品やトイレットペーパーが不足したように、軍の物資についても同様の状況に陥る可能性がある。例えば、バッテリーは暗視ゴーグル、無線、光学機器などに用いられているが、先進的なバッテリーのサプライチェーンは全て中国に握られており、中国が供給を止めればバッテリーを入手することはできない。
・中国は重要なレアアースの採掘や処理工場で、世界のシェアの半分以上を占めようとしている。バッテリーに使用する鉱物の処理工場の4分の3は、中国にある。リチウムイオンのリサイクルの70%は、中国もしくは韓国が占めている。いずれにせよ、バッテリー関連の製品は、どこかで中国を経由しなくてはならない。
・パンデミックにより、この悲惨な状況が明白となった。医療物資(マスク、医療用ガウンなど)の不足は、需要の急増と海外依存の結果により発生したものである。現在の半導体不足も、アジアに生産を依存していることに起因している。
・軍の運用において、ロジスティックスは重要な役割を果たす。中国との対峙においては大量の生産拠点や機器が必要となるが、アメリカの産業基盤はこの状況を支えられる状態にはなっていない。アメリカはサービス産業中心に移行しており、モノづくりの産業は50年前に比べて激減している。兵器は複雑多岐にわたっており、少数の供給業者のみでは賄いきれない。この状態に早急に対処しなければ、パンデミック時の供給不足を繰り返すことになる。

2.本記事読後の感想
  これまでにサプライチェーンに関する記事は何度か取り上げてきたが、防衛関係のサプライチェーンについて本格的に対応するべき時が来ている。
  特に重要なのは、半導体、レアアースである。半導体は台湾のTSMCを西側諸国が引き込んでいることから、当面の供給不足を解消すれば、短期的には問題にならないだろう。ただ、レアアースは対応が非常に困難である。鉱物の採取それ自体は代替地域があるが、現状として中国にある処理工場を経由しなければならない。特にバッテリーに使用するコバルトはほぼ中国が独占している。電気自動車を生産するにしても中国がいなければ、短期的には立ち行かない。処理工場は環境汚染の発生要因となりえることから、先進国で建造するのはかなり困難である。どこか代替できる国や地域を見出すことが急務である。
  軍事的な観点から言うと、北京オリンピックが終了すれば、中国が国際社会で遠慮をする必要はなくなり、より大胆な行動を取るものと思われる。残りあと半年程度であり、ほとんど猶予はない。東京オリンピック終了直後から積極的に情報工作で可視化せずに、サプライチェーンを強化、分散化などの準備をしておかなくてはならない。同時に、中国のサプライチェーンを弱体化させる措置も重要である。オリンピックを楽しむのはいいが、国際政治の動きが止まるわけではない。こういう時こそ、ニュースにならない事項について考えを巡らせたいものである。

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