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批判的人種理論の危険性について(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/openclipart-vectors-30363/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2026073

 ヘリテージ財団は2021年3月23日に、批判的人種理論の危険性に関する記事を発表した。ポリティカルコレクトネス、キャンセルカルチャーと言ったことが話題になっているが、現在はアメリカを性悪説的に批判する、批判的人種理論が流行しているようである。これはフェミニズムとの組み合わせで世界的に流布するものと考えられ、日本でも愚かな野党が流行に乗って提唱してくることが見込まれる。これは、日本にとっても他人事ではないことから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Critical Race Theory Would Not Solve Racial Inequality: It Would Deepen It)https://www.heritage.org/progressivism/report/critical-race-theory-would-not-solve-racial-inequality-it-would-deepen-it

1.本記事の内容について
 ・批判的人種理論は、アメリカは本質的に人種差別の国であり、憲法、財産権、人種平等、法の下の平等などのアメリカの機構は、白人至上主義、家父長制、資本家の抑圧の名残であり、「反人種差別」の名の元に放棄されなければならないと主張する理論である。つまり、性悪説に基づいて、差別をなくしていこうとするアプローチである。ただ、ここで標的となるのは白人である。
 ・批判的人種理論は、批判理論や批判的法理論に起源を持つ学説であり、マルクス主義的な抑圧者及び被抑圧者の二元論を焼き直し、ブルジョアとプロレタリアートの階級分類を白人と黒人のアイデンティティの分類に置換したものである。
  この理論では、アメリカの社会基盤全体を本質的に不当なものとし、革命的な変革により、人種に基づいた富と権力の再分配を実現しようとする。
 ・具体的な提言としては、憲法システムである「権利」、「平等」、「財産」、「中立性」及び「権力」は、白人が権力維持のために使用する道具であり、削減、破棄されるべきとする。反人種差別省を設立し、人種差別を監視し、人種に基づいて富を再分配する機能を付与するべきとする。また核家族を白人至上主義の残滓として批判し、一人母親家庭を新たなフェミニズムの現れとして尊重する。労働は、搾取のための構造であるとして否定し、能力主義も人種差別、移民排斥、優生学に基づく抑圧的慣習であるとして否定する。
 ・しかし、批判的人種理論が否定する家族構成、学歴、就業機会は、差別や不平等を克服する基盤になるのである。例えば、二人親家庭で生活すると、子供が将来貧困になる確率を82%減少させることができ、教育レベルを上げると、75%減少させることができる。子持ちの貧困家庭の約75%は、親が年を通じてフルタイムで労働していないが、フルタイムで仕事をしていれば、72%も貧困率が下落する。経済的下位20%の家庭に生まれた子供のうち、大学を卒業している子供の収入が上昇する可能性は、84%であるのに対し、大学未満の学歴しか持たない子供は、大人になっても下位20%の収入を維持できる可能性は、45%でしかない。
  学歴における格差は、50年前は黒人-白人格差が階級格差の1.5倍から2倍であったが、現在は階級格差の方が大きく、黒人-白人格差の約2倍になっている。これはミレニアル世代にも当てはまる、実証的な証拠である。

2.本記事読後の感想
  左翼の不寛容性には辟易しているが、留まるところを知らないように見える。少なくとも、日本にこのような思想が蔓延することは避けたいところである。ヘイトスピーチ規制も、キャンセルカルチャーもその根は同じであるように思われる。つまりは、差別を口実とした権力闘争なのだ。良く弱者に対して優しくなくてはならないとする人が多く、こういった理論に共感してしまうことが多い。しかし、こういった表面的な優しさは、差別されている人々や不平等に苦しんでいる人々の役には立たない。
  大事なことは経済である。衣食足りなければ、礼節どころの話ではない。社会参加により、多様性が自然となってくれば、差別はおのずと縮小してくるはずである。アメリカの場合は軍が一番いい例であるが、多種多様な人種が所属しており、人種のるつぼを体現した組織である。任務は平等に与えられ、白人以外も出世することができる。必ずしも理想的な組織と言うわけではないが、差別を軽減するには困難な仕事に一丸となって従事し、連帯感を涵養することである。
  その点でトランプ大統領は正しい政策を取っていたと言える。カニエ・ウェストが黒人の就職や所得増大に貢献したと評したように、景気を回復させ、誰もが就業機会を得られるようにすることが重要なのだ。バイデン政権のように、安易にLGBTに融和的な政策を取ったり、差別を禁じたりしても、真にそういった人々の幸福にはつながらず、結局は分断を深めるだけに終わるだろう。
  日本には部落出身者、在日朝鮮人、外国人技能実習生など、差別される対象の人々が少なからず存在しており、批判的人種理論を展開されてしまうと、一定程度受け入れられる可能性が高い。しかしこういった人々の大半は、社会の中で静謐に人生を送ることを望んでおり、安易に批判的人種理論に同調してはならない。重要なことは経済で希望を持てる国にすることだ。今すべての国民にとって必要なことは、経済の再生であり、差別も衣食足りてこと解消されてくるだろう。
  近くオリンピックが開催されるが、人権で日本を貶める報道がなされることが予想される。ミャンマーの選手団の件を見てもその予兆があり、中国がウィグルのジェノサイドを隠すため、盛んに情報工作を仕掛けてくるだろう。愚かな野党もこの流れに乗って、こぞって政府を批判するだろう。日本人が賢明となり、このような報道に抗議し、国がしっかりと情報発信をする、この流れが重要である。

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