ロシアの核兵器実験(IISSの記事)
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英国国際戦略研究所(IISS)は2022年9月29日に、ロシアのケ区排気実験に関する記事を発表した。内容は、衛星画像により明らかにされたロシアの核兵器実験を紹介し、核軍縮政策の必要性を提示するものである。ウクライナ戦争で苦境に立たされるロシアであるが、一方で兵器実験を推進しているというしたたかな側面も見せており、今後の安全保障環境を巡る状況を理解する参考として、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(Burevestnik and the future of arms control)
https://www.iiss.org/blogs/analysis/2022/09/burevestnik-and-the-future-of-arms-control
1.本記事の内容について
・衛星画像の分析により、ロシア北東部にあるノヴァヤゼムリャ群島にあるパンコヴォミサイル実験場で何らかの実験が行われていることが判明した。パンコヴォミサイル実験場は、ブレヴェスニク巡航ミサイルの3つの実験場の1つとされている。8月31日と9月5日のノータム(危険に関する航空情報)は、海抜と高度1,500mの航行に危険性があるとしており、巡航ミサイル実験が行われた可能性が高い。各国の防衛省はこの実験についてコメントしていないが、これはブレヴェスニク巡航ミサイルの機密性や実験の失敗などが要因になっているようである。
・パンコヴォミサイル実験場には、線路付きのコンクリートの射出場と可動式シェルターがあり、映像でいくつかのコンテナと仮設物が確認された。9月6日と16日で確認された映像は、ミサイル実験が実施されたもしくは近日中に実施されることを示唆している。(詳細図1及び2参照)
・2022年4月前後で建設されたミサイル発射場の仮設物は、9月6日から16日の間に解体されたと見られており、シェルターは線路に沿って北側移動された。このことにより、ブレヴェスニク巡航ミサイルの発射機と見られる物体を確認できるようになった。
・9月16日の映像で確認される物体は10m程度と見られており、緑色である。これは2017年11月の映像で確認されたブレヴェスニク巡航ミサイルの発射機と類似している。その他、発射機及び可動式シェルターの位置も2017年の実験に類似しており、このことは少なくとも1回は実験が行われた可能性を示唆している。
・ロシアは核兵器の開発を推進しており、無人潜水艦と極超音速ブースト・グライド軌道装置を強化している。2022年7月8日、ロシア海軍はベルゴロド潜水艦の運用を開始した。ベルゴロド潜水艦は6基の長距離無人原子力潜水艦を擁しており、海洋防衛にとって大きな脅威となるだろう。ロシアの戦術ロケット軍は、サーマトという大陸間弾道ミサイルを改良している。サーマトは2019年に配備された極超音速核兵器のヴァンガードの運搬兵器であり、プーチン大統領が2022年に正式配備する予定とされているが、1回しか実験されていないとは考えにくい。
・2022年のロシアによるウクライナ侵攻に伴い、米露間の軍縮は絶望的な状況となっている。米露戦術的安定対話は停止され、2026年に失効する戦略兵器削減条約(新START)が延期される見込みもない。軍拡抑制政策は、ロシアの親核兵器をも含めた合意としつつも、米露間の戦略的兵器削減を維持するものとしていく必要がある。
2.本記事についての感想
今回の記事はロシアのしぶとさを証明しているように思う。あれだけの経済制裁を受けながらも大崩れしていない所を見ると、貧しい境遇に慣れているというか、耐性があるというのか、油断してはならないという事だろう。
ロシアは自国での実験だけでなく北朝鮮のミサイル実験も支援しており、苦境にある中でも何らかの成果を得ようとしている。ウクライナ戦争の戦況悪化を見てロシアを馬鹿にするのは結構だが、こういった側面があることも見逃してはならない。
日本もこのぐらい厚顔もしくはしたたかであるべきなのだが、現在の岸田政権にはこういった対応は期待できそうにない。高市経済安全保障担当大臣が吐露したように、中国という名前を出さないで欲しい、経済安全保障法案の可決スケジュールを公表しないで欲しいなどという腰抜けな対応を見るにつけ、不安を感じざるを得ない。来年の統一地方選では日本国民はもう少し賢明な選択をするべきであり、このような無能な政権が1日でも続くことを阻止するべきである。
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