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バーニー・サンダースの国防総省批判は事実誤認に基づいている(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Vicki HamiltonによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/flutie8211-17475707/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=6234694

 ヘリテージ財団の2021年5月17日の記事で、上院予算委員会での国防総省の予算に関するヒアリングを取り扱っていた。バーニー・サンダース上院議員が委員長を務めており、不当な攻撃をしているという内容である。このことは日本とも無縁ではない。今後のバイセン政権の安全保障政策の方向性にも影響があり得るため、一部を紹介させていただく。

↓リンク先(Bernie Sanders’ Attack on U.S. Defense Spending Gets the Facts Wrong)https://www.heritage.org/cybersecurity/commentary/americas-top-cyber-warrior-warns-growing-threats

1.本記事の内容について
  ・サンダース上院議員は、国防総省が不正経理や無駄遣いにさいなまれていると批判しているが、その理由は独立した会計監査を受けていないためとしている。
  ・会計監査は、法令順守や帳簿の整合性などを確認するのみであり、経理の当不当を
問うものではなく、不正経理や無駄遣いとは直接の関係がない。かつてエンロンが会計監査で適正と判断されていたにも関わらず破綻してしまった、という事例があり、会計監査だけで判断することは適切ではない。
   ・またサンダースは、恣意的に選択した12ケ国の国防費とアメリカの国防費を比較して、無駄遣いしていると批判しているが、これも適切ではない。中国やロシアはそもそも正確な、正直な数値を出していない。また単純な数値のみで比較することも不適切であり、例えば購買力平価で考えると、中国とロシアの合計はアメリカの予算を上回っている。
  ・アメリカ軍は、2000万人の人員を擁し、3兆ドルもの資産を運用している。理由があってこの規模になっているのであり、ただ膨張しているというわけではない。軍組織の在り方は、戦略に基づいて判断されるべきである。

2.日本にとっての教訓
  会計監査に関する感覚が違うところがあるようで、若干唐突には思ったが、トータルとして言いたいことは、国防総省が巨大であるには理由があり、会計監査を鵜呑みにしてむやみに予算を減らしてはならないということだ。
  ただ、このサンダースの攻撃は今に始まったことではなく、彼の一貫した主張なのである。海外よりも国内のインフラに予算を回すべきというのが基本線であり、これがグリーンニューディールと相まって、安全保障まで影響を与える可能性がある。彼らの支持者によると、石油自体が望ましくないエネルギー源であるため、再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーに移行してしまえば、中東から東シナ海に至るまでのシーレーンを維持管理するために軍を派遣する必要性がないとまで主張しているのである。
  このことの影響がどれだけ大きいかがわかるだろう。現在は最左派を抑え込むような形で政権運営されているが、中間選挙などで最左派が多く当選してしまうと、必然的に国防総省への圧力が強くなる。最も、現在の政権にいる賢明な人々は戦略を理解していると思われるため、このような主張を受け入れることはないと見込まれるが、予断を許さない状況であることには変わりない。
  ここで、日本が二酸化炭素排出削減のためいろいろと手を回すことが良い戦略になるのであるが、ただエコの動きに追随しているのみで、そういった構想はなさそうである。環境省があの体たらくであるため、仕方がないだろう。ここはNSCが総力を挙げて早期に巻き返しの戦略を練っていただきたい。
  
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