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3.5兆ドル予算における有給休職事業について(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2473879

 ヘリテージ財団は2021年9月27日に、下院民主党の3.5兆ドルの大型予算法案に含まれている有給休職事業に関する記事を発表した。内容は、連邦政府の政策が、既存の有給休職制度を縮小させ、低所得の労働者の休職機会を奪うものとして批判するものである。左翼政策の欺瞞が良く分かる内容であることから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(5 Things You Need to Know About the Paid Family Leave Program in Progressive’s $3.5 Trillion Package)
https://www.heritage.org/budget-and-spending/commentary/5-things-you-need-know-about-the-paid-family-leave-program

1.本記事の内容について
 ・労働者は人生に発生するイベントで、一時的に休職せざるを得ない場合があり、有給であることが非常に重要である。ここ数年間において、低所得者向けの有給休職制度などが拡充してきたが、今回の3.5兆ドル予算案に盛り込まれた制度は、有給休職制度を縮小させ、現在休職中の労働者にも厳しい制限を課すものになりえる。本件に関して注意すべき5つの事項は、以下の通り。

  ① 有給休職の格差拡大
   民間企業ですでに有給休職している労働者に更に税金が投入されるような提案となっている。休職者の給与を支払っている企業は、申請により90%のコストをカバーする助成金を受けることができる。州政府が独自に休職者への助成金を支払っている場合、連邦政府から100%の補助金を受けることができる。民間企業は、毎年度1250億ドル以上の休職者給与を支払っており、現在割り当てられている2250億ドルの予算が分散してしまう可能性が高い。
 
  ② 助成金を受けられない休職者が発生する可能性
   バイデン大統領は、2250億ドルを育児休業や病気休職のための予算に計上するとしているが、議会予算局は5730億ドルの類似の予算を計上している。社会保障が事業者負担で、給与所得税が6%以下だとすると、休職者給与を提言させるないしは増税以外で賄うことができないことになる。

  ③ 現在の休職者への不利益
   労働統計局によると、休職可能となった労働者数が過去5年間で64%増加し、休職を認めている企業の多くは、COVID-19パンデミックや労働市場の変化に対応し、より柔軟かつ手厚い休職制度を整備してきた。
   しかし本法案は連邦政府が定めた規則を厳格に適用することを求めており、企業などが個々の事情に応じて定めた柔軟な制度を阻害する要因になる可能性がある。ある規則では、企業が休職者の個人情報を連邦政府に報告することを義務化し、休職者の資格を政府が審査できるようにすることとなっている。中小企業には、事前に一定の保証金を積み立てておくことが要求されている。
   
  ④ 休職することができない労働者は、今後も休職の選択肢がない
 低所得の労働者は、企業が休職制度を整備しておらず、その他自治体などの助成制度などがあることを知らないことから、休職するできないことが多いが今回の予算案の制度は、この問題を解決するものとはなっていない。
例えば、休職者給与は一律賃金の85%までという制限があるが、低所得者にとってこの制限は非常に厳しいものがある。また連邦の休職者向け助成金を受けるにしても、連邦政府の官僚による画一的なルールに基づいて審査されることになる。それだけでなく、連邦政府の休職制度を利用した場合に失職しないような仕組みにもなっておらず、雇用保証がない労働者の45%が低所得労働者であることを考えると、非常に厳しい内容になっている。
 
 ⑤ 休職制度の不正・濫用対策
 休職制度条項の16%は、休職制度の不正・乱用対策について割かれている。約50%のアメリカ人が、この手の制度を悪用することを考える可能性があると懸念していることを考えると、このことは驚くに当たらない。
 例えば、現在の育児休業や病気休職の制度は、週末や休日に労働を命じられた場合に悪用して休職することが可能になっている。また代理人による申請も認められていることから、パンデミックに伴う失業給付の不正により、3570億ドルが支給されているという事態も発生しており、休職についても同様の問題が発生する可能性が高い。
  ・低所得者や自営業者を救うためには、柔軟に代休を認めたり、税控除付き信託口座への貯蓄積み立ての要件を緩和し、より幅広い労働者に認めることである。
 

2.本記事読後の感想
  3.5兆円予算案の悪い所が次々と出ているような印象である。日本の労働組合と同様に、現在正社員で働いている人には優しいが、非正規労働者や個人事業主には冷淡な内容である。
  休職者の問題は経営者にとって非常に悩ましい問題であり、政府からの補助は非常にありがたいものである。育児休業や病気休職がなかなか拡充されないのは、民間部門だけでそれを担うのが非常に困難だからであり、この点においてはセーフティーネットとして政府が税控除や助成金を支出するといった政策が有効になるだろう。
  今後労働者不足が深刻になると、優良な社員を維持することが困難になることが予想されることから、こういった福利厚生の充実が重要になって来る。こういった制度が無ければ、企業は安易に移民や外交人労働者で賄おうとするのであり、日本人労働者の雇用市場が悪化してしまう。今後の多様な働き方に対応できるような、柔軟かつ手厚い制度の創設を望むものである。

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