見出し画像

ウクライナへの支援状況(CSISの記事)

写真出展:WikiImagesによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/wikiimages-1897/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=63176

CSISは2022年11月18日に、ウクライナ支援の予算状況に関する記事を発表した。今回は、財政支援の額とその内訳についての概要を紹介したものとなっている。日本では散発的にしか取り扱われないが、戦争の実際のコストを考えるうえで参考になることから、その概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Aid to Ukraine Explained in Six Charts)
https://www.csis.org/analysis/aid-ukraine-explained-six-charts

1.記事の内容について
 ・11月現在、アメリカのウクライナ支援は680億ドルに上っており、バイデン政権はさらに377億ドルを追加で支援するよう議会に求めている。ここでどれだけの支援がなされたのか、そして今後どれだけの支援が必要なのかを検証することが重要である。
 ・アメリカ議会は、これまで支援法案を3回可決している。1回目は3月の136億ドルであり、2回目は5月の400億ドルであり、3回目は9月の137億ドルである。現在政権が要求している377億ドルの支援予算は、2023年9月まで継続して支援するものとされているが、5月には使い切ってしまうと見込まれていることから、戦争が長期化すれば更なる支援が必要になる。(図1参照)


・ウクライナへの支援は、軍事支援、人道支援、経済支援、政府支援の4種類ある。(図2参照)


・軍事支援の内訳については、以下の通り。(詳細は図3参照)
 短期軍事支援:武器供与、ウクライナ軍の訓練、情報提供などである。
 長期軍事支援:ウクライナ軍の兵器調達が主たる内容となっている。主にアメリカからの調達となっているが、短期の支援と混在しており総額が不透明となっている。
 米軍の軍事作戦:ロシアへの対応のため、2022年春季に18,000名の部隊をヨーロッパに派遣している。戦争の長期化に伴い、更なる増額が必要に
なる見込みである。
 国防総省将校:様々な軍事活動向けの支援であり、将来の紛争への備えも含まれている。


・今回の支援予算のうち、人道支援や軍事作戦支援は早期に執行されるが、兵器調達については契約から履行完了まで長期間に及ぶことから、執行は長期化する。詳細については、図4のとおり。


・アメリカ以外に、50か国が軍事支援を行っている。ドイツのキール研究所によると、アメリカ以外の各国は414億ドルになっている。イギリスやポーランドは軍事支援の割合が高く、カナダは人道支援や財政支援が高い。バルト三国は、経済規模からしてかなりの支援を行っている。(GDPの1%)(詳細図5及び6参照)


2.記事読後の感想について
  ウクライナ戦争については戦況ばかりが注目されているが、支援予算そのものについての情報が意外と少ない。やたらと大きな金額が喧伝されているが、現在の所、10兆円規模と言うことで思ったよりも少ないと言えるだろう。岸田政権の支援額が約870億円であることから、相対的に見てあまり支出しているとは言えない。最も地球の裏側と言ってもいいほど離れた場所の戦争であることから、日本ができることはそれほど多くはないということもあるだろう。しかし台湾危機を考慮すると、遠隔地であるとはいえ知らぬふりをするわけにはいかない。対岸の火事であると楽観しては、台湾有事で支援してもらえないという事にもなりかねない。
  よく軍事支援などが無駄な出費であるといった意見を聞くことがあるが、安全保障関係の言論が弱い日本では一定程度の支持を得てしまうことから非常に残念である。こういった近視眼的なものの見方しかできない人々は、政治に口を出すだけの見識を持っておらず、黙っていてくれればいいのだが、声だけは大きいようだ。
ウクライナ支援に意味があるとわかっていても政局に利用する不心得な政治家もおり、こういった政策の意義を理解してもらうには丁寧に説明を重ねていくしかない。今回の物価高騰で多くの国民が戦争の影響を何らかの形で感じたと思われるため、こういった機会を逃さずに、政府には安全保障面の情報発信を強めていただきたいものである。

 英文を読んでわからないという方は、メールにて解説情報をご提供させていただきます。なにぶん素人の理解ですので、一部ご期待に沿えないかもしれませんので、その場合はご容赦願います。当方から提供した情報については、以下の条件を守ったうえで、ご利用いただきますようよろしくお願いいたします。
(1) 営利目的で利用しないこと。
(2) 個人の学習などの目的の範囲で利用し、集団での学習などで配布しないこと。
(3) 一部であっても不特定多数の者が閲覧可能な場所で掲載・公開する場合には、出典を明示すること。(リンク先及び提供者のサイト名)
(4) 著作元から著作権侵害という指摘があった場合、削除すること。
(5) 当方から提供した情報を用いて行う一切の行為(情報を編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?