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2022年2月版アメリカ労働市場の現状(1)(ヘリテージ財団の報告書)

写真出展:Clker-Free-Vector-ImagesによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/12019-12019/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=95311

 ヘリテージ財団は2022年2月8日に、最新のアメリカの労働市場の現状を分析する報告書を発表した。内容は、12月に発表したアメリカ労働市場の報告書の続編である。前回の2021年10月現在での状況では、それなりに改善傾向が見られているものの、財政政策をはじめとした政策の転換を提言していた。今回は2か月後の状況を踏まえた内容になっているが、ワクチン義務化、保育市場の悪化、オミクロン株の蔓延などの影響により、改善にブレーキがかかっている状況となっている。最新の状況が把握できる裕郎な内容であることから、その概要を紹介させていただく。なお長文になることから、2回に分けて紹介させていただく。

↓リンク先(What Is Happening in This Unprecedented U.S. Labor Market? February 2022 Update)
https://www.heritage.org/jobs-and-labor/report/what-happening-unprecedented-us-labor-market-february-2022-update

1.本報告書の内容について
 ・現在1億5570万人分が就業しているが、2020年2月比で230万人の労働者が不足している。FRBの予測に基づき毎月8万4000人の職が安定的に創出されたと仮定すると、パンデミックがなかった場合、410万人の労働者不足になると見込まれている。(図1参照)

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・図2は、求職件数を示したものである。2021年12月現在1090万人の労働者が不足しているが、一方で4700万人が離職している。

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毎月430万人が離職すると、35%の労働者を入れ替える必要がある。(図3)

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 全米自営業協会の調査によると、2021年12月現在で49パーセントの事業者が労働者不足に陥っており、このうち95パーセントは応募者がいないもしくはほとんどいないとしている。更に48パーセントの事業者は給与を上げざるを得なくなったと回答し、32パーセントは今後3か月において給与を上げることを予定していると回答した(図4)

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・表1は、2021年12月現在の各グループ別労働者ギャップ(対想定雇用水準比)を示したものである。この表により、各グループの労働力状況を概観することができる。

表1 性別、子供の有無、年代別労働者ギャップ           2020年2月から2021年10月までの実際の雇用と想定雇用率の傾向比較

・2020年2月から4月にかけ、女性の労働者は男性の労働者よりも220万人減少しており、女性は18.1%も労働者不足になっているが、男性は13.6%に留まっている。女性の雇用はパンデミックの影響大きく受けており、ロックダウンに伴う飲食店の休業で離職を余儀なくされる、学校閉鎖などに伴い家で子供の面倒を見ざるを得なくなったことなどが影響していると考えられる。2021年3月は格差が最小になったものの、女性の労働者ギャップは一貫して男性よりも高い水準となっている。2021年12月の労働者ギャップは改善しており、男性2.4%、女性2.9%とその差が0.5%に縮小している。(図5)

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・図6は、年齢別の労働者ギャップ(対想定雇用水準比)を示したものである。パンデミックは高齢者に大きな危険性をもたらしたことから、高齢者層の雇用が大きく失われることになったが、55歳以上の労働者に関してその差はわずかである。2021年現在、55歳以上の労働者ギャップは3.6%のギャップであったが、25歳から54歳は2.8%であった。

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