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海外からの情報工作への対応(CSCの記事)

写真出展:WokandapixによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/wokandapix-614097/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2355686

 2022年2月3日にサイバー空間ソラリウム2.0プロジェクト(旧サイバー空間ソラリウム委員会(CSC))が、情報工作への対抗の提言に関する記事を紹介した。内容は、2021年12月に発表されたCSCの白書。日本では言論統制一辺倒のような議論が展開されているが、冷静な議論というものがなかなか見られないことから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Foreign Disinformation: What the US Government Can Start Doing Now)https://www.fdd.org/analysis/2022/02/03/foreign-disinformation-us-government/

1.記事の内容について
 ・昨今のサイバー情報工作は非常に大きな影響力を持っており、このことへの対応は各国政府にとって喫緊の課題となっている。このような状況の中、2021年12月にサイバー空間ソラリウム委員会が情報工作の対抗措置に関する報告書を発表し、ほぼ同期にの11月にアスペン研究所の情報無秩序委員会が現状分析に関する報告書を発表した。
  どちらの報告書も同様もしくや有用な提言を行っていることから、その詳細について以下の通り概要をお示しする。

  ① SNS
    政府はソーシャルメディアのコンテンツ管理基準の明確化・透明化をより強く
求めるべきである。しかしコンテンツそのものの規制を強めるのではなく、宣伝、有料コンテンツ、ボット、海外企業によるコンテンツなどに関する明確なガイドラインを示すべきである。双方の報告書に共通していることは、政府とプラットフォーマーが協調してコンテンツに関する基準を国民が理解しやすくするよう、務めることを提言している。
    その他共通の提言は、海外からの情報工作を理解し、特定し、説明できるようにするため、第三者による評価を認めるべきである。政府は民主党を守るハミルトン2.0ダッシュボード連盟、アトランティック委員会のデジタル司法研究所などの非営利団体に補助金を拠出して、この動きを支援するなどすることができるだろう。
   最後に、国民のサイバー教育の重要性を提言している。CSCの報告書では、超党派の民間教育作業部会を創設し、情報工作に関する教育を強化することを提言した。この作業部会は軍民双方に教育資源を提供し、幅広い国民が教育を利用できるようにするべきである。

 ② 政府の守備範囲の明確化
 連邦政府は自己の限界を認識し、手を広げ過ぎてはならない。まず憲法修正第一条により、情報生態系への直接的な介入は制限されていることから、過度な介入は差し控えなくてはならない。また州政府や地方自治体は、学校における教育やコンテンツに関する方針をより提示するべきである。 またジャーナリズムなどへの介入も禁じられており、市民団体や民間企業などの他の関係者への支援の方が情報工作対策には望ましい。
 その他CSCの白書では、アメリカの情報生態系そのものの改善を提言しており、例えば会社の株式保有割合や資産状況などの公開などにより、コンテンツを規制せずに海外からの影響力に関する理解を深めることができるようになるだろう。

③ 外国代理人登録法(FARA)の更新
  外国勢力とそれに協力するエージェントの取り締まりを対象とした本法を更新し、アメリカに置いて入手可能な情報の出所を透明化するようにするべきである。ギャラガー議員が議会で提出した、FARAを活用した中国共産党影響力明確化法のような、中国企業の登録などの取り組みを推進するべきである。
  その他、「情報に関する組織」の定義を改正し、SNSや電子メールプロバイダーなどをも含めるべきである。このことにより、法務省がプライバシーに配慮しつつ、SNSなどの投稿や返信などの記録を追跡し、その実態を解明することが容易になるだろう。
  情報工作対策には、犯行の当事者にコストを課す手段を講じる必要がある。これはCSCが多層的サイバー抑止と呼ぶ戦略であり、例えば敵国の情報工作インフラを破壊し、機先を制するなどの対応がある。

・情報工作はほとんど目に見えてこないが、常にそこにある脅威である。敵国は民主主義の成果に関する不満を利用しようとしているが、民主主義国は独裁的な手法を採用するべきではなく、民主主義を捨てるのではなく、その弱点を補うことが必要である。

2.本記事についての感想
 サイバー作戦の一環として情報工作が行われていることは周知の事実であり、パンデミックに伴いその激しさが増していると言える。インターネットが既存メディアのような役割を果たすようになり、誤った情報を増幅し、肝心な情報が伝わらなくなりつつある。また情報量は既存メディアの比ではなく、情報が上書きされ続けて制御できない。
 情報伝達の経路も多岐にわたっており、既存メディアのニュース以外にもSNSなどを通じた情報拡散もあり、情報のルートだけで情報の真贋を見抜くことが非常に困難になっている。従って、情報を多様に見ながら。
 ただ、今の日本人には全く期待することはできない。保守系だろうと左翼系だろうと、都合のいい情報に踊らされ、嫌いな情報は見ようともしない。異なる意見を陰謀論などとレッテル張りして切り捨て、意見の一つであると考えようとしない。
 確かに左翼系メディアの情報はレベルが低く見るに堪えないものがほとんどであるが、かといって保守系メディアの情報が優良であるとは限らず、むしろ英語メディアの影響を受けすぎて、一辺倒になりがちでもある。
 ここで重要となるのは、母語の読解力と知性である。基本的な国語力が無ければ文章を読むことができず、基本的な教養や知性が無ければ、言語を解釈することができない。多くの日本人は思想や哲学などの本を読まない。常識や価値観を疑うと言った習慣が足りず、情報をそのまま鵜呑みにしてしまう傾向が強い。こういった方々にこそ、プラトンなどのギリシャ哲学の解説書などに触れてもらえればと思う。

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