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ロシア以外の国からエネルギーを調達するには(CFACTの記事)

写真出展:David MarkによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/12019-12019/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=112445

 2022年3月23日にCFACTは、ロシア以外の国から天然ガスと石油を輸入することになった場合に、どのような形で賄うことになるのかを示す記事を発表した。内容は、天然ガスと石油の輸出量と輸入量を対比し、増産により賄える範囲とそれに要する時間を示すものである。ロシアへのエネルギー依存から脱却する動きが見られているが、実際にはかなり困難なことが良く分かる記事となっている。現実的なエネルギー政策を考えるうえで非常に参考となることから、その概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Replacing Russian energy)
https://www.cfact.org/2022/03/23/replacing-russian-energy/

1.本記事の内容について
 ・ウクライナ紛争に伴い、世界はロシアに依存している国、エネルギーに余力がある国及び漁夫の利を得る国に3分されることになった。特に石油と天然ガスを巡る状況が大きく変化していることから、これら2つのエネルギーの観点から各国を評価し、ロシアを代替することが可能な国や地域を見ていくこととする。
 ・まずロシアに依存している国は、ヨーロッパ諸国、特にドイツである。石油は27%、天然ガスは40%もロシアから輸入している。ヨーロッパほどではないが日本もロシアに依存している部分があり、石油は4%、天然ガスは9%輸入している。
 ・エネルギーに余力のある国は、アメリカである。ただ、フラッキングやアラスカの油田などで本来あるはずの余力が活かせていない。また環境保護庁長官は、ロシア侵攻後の3月8日になってすら、全省庁にまたがる温室効果ガス排出削減を訴え、エネルギー省長官は、化石燃料から再生可能エネルギーの転換を訴えている。
  その他の国としてはカナダがあるが、キーストーンパイプラインの停止などに伴い、アメリカに輸出することができていない。
  サウジアラビアは増産の余地があるが、2~3年かかる。オーストラリアは天然ガスをアジアに輸出しているが、輸出量はほぼ限界に達している。カタールも天然ガスを輸出しているが、それほど余裕があるわけではない。
 ・中国は今回のウクライナ危機に伴い、最も漁夫の利を得た国だろう。ロシアから割引価格で石油を輸入しており、中国マネーがロシアの資金源となっている。イランは日量300万バレル以上増産することが可能である。ベネズエラはアメリカからの制裁が撤廃されれば、アメリカに更に石油を輸出できるようになる。(図1参照)

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・ロシアは日量270万バレルをヨーロッパに輸出している。アメリカ向けは60万バレル、その他の地域は60万バレルである。このため、ロシアからの輸入を停止する場合、日量約400万バレルを賄う必要がある。(詳細図2参照)

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・以下の2つの条件が整えば、6か月から9か月でロシア以外の国から石油を賄うことが可能になる。
 ① サウジアラビアに日量200~300万バレルの増産を依頼する
しかし、バイデン政権の親イラン的な政策に不満を持っており、OPECプラスの枠組みでロシアと連携している現状を鑑みると、実現しそうにない。
 ② アメリカが一連の温室効果ガス排出削減政策を停止すれば、日量約150万バレルの増産が可能となる。(3~4年あれば、日量300万バレル以上の増産が可能。)もしこの条件が達成されなければ、十分な石油を賄うには数年を要することになる。

・天然ガスについては、オランダがフローニンゲンのガス田を増産することである程度賄うことができると見込まれている。(最大生産量の5分の1程度しか生産していない。)しかしガス田掘削は、地盤沈下や地震を伴うことから、容易ではない。
 フラッキングによるシェールガス増産も多大な時間を要し、新しいガス田の整備には少なくとも2年以上を要する。カタールは日量1億2600万トンに増産可能であるとしているが、2027年までかかるとしている。

2.本記事読後の感想
  欧米の愚かなエネルギー政策については繰り返し指摘したが、今回の量に輸出入量を対比して見ると、その愚かさが際立って見える。エネルギー輸入国はヨーロッパの政策に倣うべきではなく、むしろ反面教師とするべきである。
  結局のところ現在のエネルギー問題を最も容易に解決できるのはアメリカだけであり、その他の国に増産を依頼しても、状況が大きく改善されることがない。バイデン政権は非常に愚かな政策を進めており、国内のパイプラインや油田を規制しておきながら、OPEC諸国に増産を依頼し、ベネズエラの制裁を解除してまで輸入を増やすといった訳の分からないことをしている。国民を苦しめた方が選挙に勝利しやすいというのであれば正しいが、実際にはそんなことはあり得ないだろう。
  美しい理想や言葉に酔うのはもうやめようではないか。

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