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バイデン増税とインフレの二重苦(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Steve BuissinneによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/stevepb-282134/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=491626

 2021年11月4日にヘリテージ財団は、バイデン政権のキャピタルゲイン増税に関する記事を発表した。内容は、キャピタルゲインへの課税とインフレにより、富裕層の投資が過度に抑制され、経済を毀損するだけでなく税収の減少を招くとになるとして、法案を批判するものである。現在日本では大規模予算案ばかりが注目されているが、その裏側で財源として増税が審議されていることがほとんど伝わっておらず、今後の経済の行方を知るための情報が足りていない。このため参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Under Biden’s Scheme, Taxes and Inflation Could Claim 100% of Some Capital Gains)
https://www.heritage.org/taxes/commentary/under-bidens-scheme-taxes-and-inflation-could-claim-100-some-capital-gains

1.本記事の内容について
 ・バイデン政権の下で、5%~8%の富裕層への増税が見込まれている。もしこの増税案が可決されると、現状のインフレ率を含めて見た場合、ビジネス上の利益に対する限界税率が100%を超過することになる。このことを明確化するため、年収2500万ドル(賃金、家賃収入、ロイヤルティ、配当金)の高所得者が8%の税率の適用を受けた場合を考えてみよう。
 ・この高所得者は、まず給与所得に対して連邦所得税、8%の付加税、賃金税、州所得税を支払うことになり、税引き後の収入は1000万ドルとなる。もしこの1000万ドルを全額株に投資したとしよう。そしてその企業が10年で2000万ドルの利益を上げたとすると、株式収入の1000万ドルに対して法人税が課されることになる。この企業には連邦法人税が21%課されることになり、各州の中央値の付加税は6.5%となる。結果として連邦税は、258万ドルとなる。
 ・この企業が10年で配当金を742万ドル支払うとしよう。投資した人は20%のキャピタルゲイン税を支払うことになり、更に8%が上乗せされる。(これは2回目の付加税である。)また3.8%の純投資収入税と平均的な州の純投資収入税5.2%も課されることになる。
 ・上記の税を集計すると、連邦政府及び州政府は1000万ドルの収益に対して533万ドルの税収となる。この結果、10年でたった467万ドルしか利益が出ていないことになる。10年間2%のインフレが継続するとなると、200万ドル相当の利益しか上がっていないことになる。インフレ率が4%だとすると、10年前と比較してマイナスになってしまう。現在の5.4%のインフレを考慮すると、収支が-13%になってしまうことになる。
 ・インフレを考慮に入れると、現在審議されている各種大規模予算では全く賄うことができない。また投資への過度の課税により投資意欲が減退し、税率の低い国や地域へ資産が逃げていくことになる。両院租税委員会及び財務省の調査によると、連邦税収が最大になる税率は28%~32%である。その他の調査でも最高税率が28%の時に、長期的な税収が最大になるとされている。従って8%の増税により最高税率が31.8%になると、税収が減る可能性が出てくる。
 ・カリフォルニア州の場合、今回の増税でキャピタルゲインに対する最高税率が45%になるが、これは富裕層を直撃するだけでなく、大規模財政支出を賄うには全くもって不十分な税収でしかない。このことから、議会がいまするべきことは税に税を重ねることではなく、投資を促し、長期的な成長を促進するような税制を構築することである。2017年の減税・雇用法案のような全額税控除のような制度は良い前例であり、こういったものを恒久化することなどが前向きな解決策になるだろう。

2.本記事読後の感想
  富裕層への課税が必ずしも望ましくないことが良く分かる内容である。お金は天下の回りものであり、流通速度が速いほど経済が成長する。中でも投資は非常に大きな額が動くため、経済を回すためには必要不可欠な要素である。
  従って税率が高ければいいと言うものではなく、税収を最大化させつつ、経済を活性化させる最適な税率を設定することが必要である。富裕層への制裁を好む人が多いが、実際にはそれほど不当に設けているわけではなく、常に衆人監視ストレスがたまる環境下に置かれることが多く、富裕層にはその立場に応じた辛さや苦しみがあるのである。
  無論手放しで富裕層を称賛しようと言うわけではなく、ブラック経営や搾取のような不当な手法で儲けているような富裕層は制裁を受けるべきである。重要なことは多くの人々が恩恵を受ける方法を考えることであり、誰かをうらやんでかえって損をするような状況に陥らないことである。

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