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かーやんの「歌謡曲って何だ?」第11回「中森明菜という黄昏」

松田聖子最大のライバルにして、山口百恵の後継者として80年代を駆け抜けた中森明菜の話もここでせねばなるまい。

中森明菜
1982年5月1日デビュー。キャッチフレーズは「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」。

いわゆる「花の82年組」のひとりとして『スローモーション』でデビューした中森明菜は まさに松田聖子のカウンターとして その立ち位置を早々に確立し、レコ大も2年連続で受賞する等、80年代の歌姫として君臨した。

ぶりっ子(陽)の聖子に対して、ちょっぴり不良性(陰)を帯びた明菜という対立構造は それはもう水戸黄門と悪代官、反乱軍と帝国軍、セナとプロストぐらい分かりやすいものであった(どちらが善悪という意味ではなく)。
結局 明菜の「陰」は 89年大晦日の「金屏風会見事件」などのダークサイドな方へと引っ張られ、90年代には役者としても開眼するなどの活躍はあったが、いまだ現役感の強い松田聖子とは対照的に その後シンガーとしての活躍は あまり芳しくない。
そんな彼女もSNS時代に再評価が高まり、NHKでリマスターされたライブ映像が放映される等、近年復活の気運が高まっている。

そんな中森明菜で1曲挙げよと言われて かーやんが昭和歌謡的視点で推すのは

『北ウイング』中森明菜
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司

『北ウイング』である。

例えば『少女A』にせよ『飾りじゃないのよ涙は』にせよ、曲名はBメロサビのパワーワードから来ている。
それに対して『北ウイング』という言葉はAメロのワンフレーズである。
まぁ本来ならば『夜間飛行(ミッドナイト・フライト)』か『Love is the mystery』が順当なタイトル候補のような気がするのだが、この絶妙な外し具合が如何にも康珍化(作詞)っぽいし、林哲司(作曲)が手掛けたというのも この当時にはない言葉であったが今で言う「シティポップ」の文脈を貫き、あえて松田聖子とは異なる路線を切り拓いた結晶だったような気もする。

長い黄昏の期間からYouTube等で また少しずつ動き始めた中森明菜だが、近年 松田聖子も愛娘の急死などもあってあまり元気がない。お二人とも最近はどうやらJAZZづいているようなので、私かーやんからの提案なのだが、ここはひとつ聖子・明菜の夢のゴールデンコンビなんぞ結成してみては如何だろうか?
二人でドサ回りでもして(笑)往年のヒット曲を歌ったり、美空ひばりのカヴァーとかしたらファンは喜ぶで。

【おまけ】
実は中森明菜は自身のカヴァーアルバムで松田聖子の『瑠璃色の地球』(作詞:松本隆 作曲:平井夏美 編曲:武部聡志)を歌唱している。

『-ZEROalbum- 歌姫2』中森明菜
プロデューサー:中森明菜
2002年リリースのカヴァーアルバム。松田聖子の『瑠璃色の地球』以外にも、山口百恵、竹内まりや、ちあきなおみ等のカヴァー曲にも挑戦している意欲作。

2年遅れてやってきた「少女A」も やはり最大のライバルでありながらも、アイドルでありシンガーの先輩である松田聖子を心酔していたのだ。

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