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かーやんの「歌謡曲って何だ?」第16回「魅惑のやさぐれ歌謡」

ども、かーやんです。
今回は僕の大好物でもある「やさぐれ歌謡」のお話を。

以前ここで80年代に入ってウーマンリブのムーブメントも頂点に達し松田聖子の『瞳はダイヤモンド』のような「強い女」の曲が花開いたという話を展開しましたが、それ以前の女性の恋愛歌は ほぼほぼ悲恋の曲です。男にフラれて…というよりは捨てられてメソメソシクシクみたいな。そして90年代以降は元気が出る応援ソングで満たされる訳ですから、如何に80年代以前の音楽が暗かったかという事です。特に70年代は学生運動や あさま山荘事件、ベトナム戦争等の「敗北」があったので、空虚な侘しさに包まれていた時代だったのかもしれません。

その最中に生まれた、今となってはコンプライアンスやら不適切とやらで なかなかマスメディアに載らなくなってしまった僕が提唱する「やさぐれ歌謡」の魅力に今回は迫ってみようかと。

まずはこの曲から

『怨み節』梶芽衣子
作詞:伊藤俊也 作曲・編曲:菊池俊輔
東映映画『女囚さそり』シリーズの主題歌。
作詞は本シリーズの監督を務めた伊藤俊也。

「地震・雷・梶芽衣子」(by 中野貴雄)で おなじみのやさぐれクイーン・梶芽衣子による『怨み節』。

花よ綺麗と おだてられ
咲いてみせれば すぐ散らされる
馬鹿な バカな
馬鹿な女の 怨み節

自ら「馬鹿な女」と自嘲するあたり、まだ女性は男性によって踊らされている存在であった事が歌詞から読み取れる。しかし映画(女囚さそり)は そこから這い上がる女性の自立を描いたものである事をここにしっかりと記しておきたい。
そしてこれが80年代に入ると「馬鹿ね 呼んでも無駄よ」(松田聖子『渚のバルコニー』)と男女のバカが逆転するのであった。

『圭子の夢は夜ひらく』藤圭子
作詞:石坂まさを 作曲:曽根幸明 編曲:原田良一

園まり、緑川アコ、三上寛 等々、様々な歌詞で数多のミュージシャンによって歌われた『夢は夜ひらく』だが、やはり決定版は この『圭子の夢は夜ひらく』であろう。

十五、十六、十七と
私の人生暗かった
過去はどんなに暗くとも
夢は夜ひらく

そもそもは練馬少年鑑別所(ネリカン)で歌われていた俗曲を採譜して曽根幸明によって作られ歌われた『ひとりぽっちの唄』が元となっているので、救いようがないくらいに暗い(苦笑)。
だが「夢は夜ひらく」というパンチラインに 一抹の光明が見られる。
そしてここから宇多田ヒカルというミュージシャンが生まれているのも実に興味深い。当たり前のように聞こえてしまうが「鷹が鷹を産んだ」のである。

『女はそれをがまんできない』大信田礼子
作詞:阿久悠 作曲:親泊正昇 編曲:森岡賢一郎

東映映画『ずべ公番長』シリーズや『プレイガール』等で知られている 大信田礼子による歌唱。
太ももパァァァンなジャケに惹かれて思わず手に取って買ってしまったのだが(笑)、いざ聴いてみたら これがなかなかの佳作だった。
「だめよ だめだめ」という強烈なパンチラインは 後に東京エレキテル連合によってパロられた(これが元ネタだと思われ/笑)。

『悪い遊び』篠ヒロコ
作詞:山上路夫 作曲:いずみたく 編曲:大柿隆

これをレコードショップの棚で見掛けた時には思わず小躍りしてしまった。「えっ、篠ひろ子って歌ってたのぉ!?」って。しかも今見てもイケている このジャケを見てよ。完全にギャルじゃん!!(笑) これが後にファム・ファタールになるのである。女優として成功を収めた彼女も なかなかの苦労人であった事を物語る1枚。彼女の生き様が「やさぐれ(歌謡)」そのものなのだ。

と、他にもご紹介したい大好きなやさぐれ歌謡は まだまだあるのですが、今回はこれにて閉店ガラガラ〜(笑)。ご清聴、感謝。

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