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紹介シリーズ【お】~飫肥の町 古い歴史に つつまれて

戦国時代、飫肥藩伊東氏と薩摩藩島津氏の間で百年もの長きにわたって飫肥城をめぐる争奪戦が繰り広げられた。

勝利した伊東家5万1千石の城下町として、明治初期まで大いに栄えたのが、日南市飫肥である。廃藩置県により城は取り壊されたが、現在でも復元された大手門や、本丸御殿の松尾の丸、藩校、武家屋敷の町並みに、往時の面影をみることができる。

飫肥が九州で最初の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されたのは、昭和五十二年のこと。同時期に市をあげての町おこし・飫肥城復元事業も着々と進行していた。

ところが一方で、城下町の四百年以上の歴史がある本町通り商店街では、伝統的な白壁作りの商家を取り壊して道路を拡幅していく工事が本格化していた。商店街の人たちは、失われるものの価値に気づき、新築する商店街を城下町にふさわしいものに作り上げようと模索する。

全国の先進地視察や資料収集をし、まったく行政の手を借りずに「家は日本風に統一しましょう」などの申し合わせを自主的に決めたのだ。

その結果、現在の和風商店街が住民の力でできあがった。

行政と住民が一体になって、すすめられた飫肥のまちづくり。現在は「九州の小京都」と呼ばれ、多くの観光客で賑わっている。

平成十六年にはNHK連続テレビドラマ小説「わかば」の舞台にもなり、全国的に有名な観光地となった。

【お】の絵札

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