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なぜ古い万年筆を買うか②

少し自分語りをすると私の古い万年筆を集め出したキッカケは、
森睦師匠、古山浩一さん、中谷でべそさんの著した万年筆談義の語りにすっかりやられてしまったからである。
その中の「ペリカン 400オリジナル(その一)」の段に引用されている畑正憲氏のエッセイを引用したいと思う。
ここだけの話「万年筆談義」、読み物としてもかなり面白いのでオススメです。

 実際、その万年筆はすぐれものだった。キャップをとって右手に握ると、
それだけで字を書く勇気が湧いてくる名品だった。
私はその万年筆を持ってからというもの、ペンで字を書いているのではなく、
自分の指そのもので書いている気がしたものだ。それほど私とピッタリ合った品だった。
 名品・・・と言っても、名人がふんだんに時間と金を注ぎこんで、心をこめて作りあげたものではなかった。当時、ごく普通に、店頭で売られていた代物であった。(中略)
しかしまだ、人類が大量生産という工法にちょっぴり羞じらいを持っていた頃のものではある。

「名品」万年筆(『ムツゴロウの本音』読売新聞社 1978年)


なんたって大好きだから

何を隠そう古い万年筆が大好きなのである。だからなんだと言う話である。
実際に使うのが一番モノの良さがわかるのだが、活字の悲しい所。
ということで感触がどうだの雰囲気がああだの言っても仕方がないので、
技術、仕様の違いを「古いから」と一概に言えないかもしれないが伝えていく。

金張

ペン先の表示などで「18kgp」などを見たことがあるかもしれない。
平たく言うとそれである。
ただ細かい違いを言うと(英語等での違いでは押さえていないのでご容赦願いたい)
現代の筆記具で表面に金をコーティングする場合、大抵メッキによるものであるが、
昔はメッキの技術が稚拙であったらしく、丹銅や黄銅にキシャゲと呼ばれる道具で凹凸をつけ、銀鑞という溶接材を使って金を張り合わせていたようだ。
これは所謂職人技であり、メッキの方が安定してかなり厚い金層にできるため特別厚い金層を要する物以外使われなくなった。
だが、金メッキとは違ったしっとりとして質感や、その耐久性など中々捨て難い魅力がある。

金張の例

Meisterstück No.72
MONTBLANCのMasterpeace644n(上)
        Meisterstück No.74(下)
マスターピースの方は現在売りに出しているので気になる方はご連絡ください。


PILOT スーパー 150? 赤軸

個人的にはPILOT スーパーが安価かつ品質も高いのでオススメだがサックを用いた吸入方式であること、首軸の樹脂があまり強くないことなど、整備済みや新品の品物を選んで買う事をお勧めする。

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