見出し画像

恵比寿から軽井沢へ(前編)

信州軽井沢ふつうの生活
2020年夏、東京恵比寿から軽井沢に移住してきた、僕とパートナー、アイコ先生と2匹の猫。僕たちの軽井沢ライフは決してスタイリッシュなものではありませんが、四季折々の美しい花鳥風月と、それを愛する人々との交流、そして、郷里筑豊や東京でのエピソードを織り交ぜながら書き綴ってまいります。お茶でものみながら、ゆっくりとお楽しみください。

「私、いっぺん寒いところに住んでみたい」

アイコ先生は南国宮崎の出身。そのせいかどうかわからないが、とにかく「寒いところ」に並々ならぬ憧れをもっている。恵比寿の借家に住んで、十年、アイコ先生がいつものごとく、ボヤくように切りだした。

ただ、今回のは単なるボヤキではないようだ。コロナのせいで、仕事の打ち合わせは全部リモート、地方への出張はあるけれど、なにも東京から出発する必要はない。借家の契約更新も近い。引っ越すなら、たしかに今かもしれない。どうせなら、アイコ先生、長年の憧れである「寒いところ」に移住してしまうというのもアリだ。

寒いところってどこ?

僕は福岡の出身、二人とも九州人である。寒いところに対して、ザックリ、ボンヤリとしたイメージしか持っていない。

北海道?(ザックリ)、東北?(ボンヤリ)、群馬?(たぶん涼しくはない)、新潟?(むしろ暑い)、それじゃカナダは?(ザックリすぎだろ)

「そういえばカナダといえばさあ、ミノリー(バンクーバーに住む友人)はどうしてるのかな、元気かな?」とアイコ先生。もうすでに考える力を失っている。

気を取り直して、僕たちは、ネットで緯度やら、標高やら、年間平均気温やらをたよりに、移住先について検討することにした。移住先どころか、そもそも、今の借家を出るかどうかさえも決まっていないのに、もうこの時点で二人ともどこかへ移住する気満々だ。「北の国から」のテーマ曲を鼻歌まじりに、僕たちはネット検索を続けた。

候補地

Google先生から得た「なんとなく寒そう」というあやふやなエビデンスを元に僕たちが絞り込んだ移住先候補は、次のとおりだ。(順不同)

  • 御殿場(炭焼きハンバーグ「さわやか」にすぐ行ける)

  • 伊豆高原(魚がおいしそう)

  • 那須(チーズがおいしそう)

  • 軽井沢(ソーセージがおいしそう)

  • 清里(ソフトクリームがおいしそう)

  • 札幌(なんでもおいしそう)

気づいたら「寒そう」ではなく「おいしそう」で候補地を選んだ気もするけど、とりあえず、まあ、候補としては、こんなところだろう。

現地視察に出発!

札幌はちょっと遠いけど、車で行けそうなところに、とにかく、かたっぱしから行ってみよう、ということになった。さて、まずはどこから攻めるか、御殿場の「さわやか」もいいけど、いつも混んでるし、清里のソフトクリームは、この前食べたばっかりだし、軽井沢が近くていいんじゃないだろうか。

「明日は土曜日だし、ちょうどいいね。軽井沢にでも行ってみる?」

翌日、土曜日の朝、僕たちは軽井沢に向けて出発した。
前日の夜、軽井沢の賃貸物件をネットであさって、いくつか目星をつけておいた。集合住宅は、あんまりない。ペット可物件が多いから、2匹の猫は問題ない。賃料は、軽井沢の東の方(旧軽井沢とか)と西の方(追分とか)でびっくりするくらい違う。東は、1,000㎡6LDK、月の家賃180万円(!)とかそんな感じ、西は、60㎡2LDK、家賃9万円なんて物件もある。広さの違いはあるけど、家賃に20倍の格差があるって、どういうこと?
ともかく「東高西低」、冬型の気圧配置の逆なわけだ。

なんだかよくわからないけど内見

せっかく長野県まで行くんだからと、不動産屋に2件ほど、内見の申し込みをしておいた。見るだけならタダだしね。

さてさて、軽井沢って本当に寒いのか? 激安(軽井沢東部から比べれば)物件、大丈夫なのか? 僕たちのシトロエン2CV(ポンコツ)は、大きな期待と、ちょっとの不安をのせて、碓氷峠をぎゅわんぎゅわんいわしながら登りはじめたのだった。

後編につづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?