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相手を思うこと

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上半期、ずっと消えないでいる一つの疑問がある。

不当に勝手に憤慨することのないように、とは思いながらも、
そのことを考え始めると、小さな疑問符がふわふわふわと
頭の中に浮かびつづけてくる。

…………

こまやかな仕事、というのに出会うことがある。
細かい仕事、ではなく、行き届いた仕事、ということである。
その人のプロ意識を感じる仕事のやりかた――
言われたことだけ指示をする、言われたことだけやる、
というのではなく、相手の要求を想定して、考えて、たずねて、
仕事のクオリティを高めていく人がいる。
漏れのないように先回りをして隙間を詰めていったり、
相手が気持ちよく仕事ができるように配慮してくださったり、
念のために自主的に洗い直したり……だからといって
決して締切や納期を自分の都合で遅らせることはない、
という人に出会うことがある。

そのときに完璧に、よりよい状態で仕上がっているために、
時間も能力も最大限に有効に使って仕事を進められる人。

自分もそういう人間でありたいなぁ、と願う。
仕事をするうえでは、想像力を働かせることが大事と思うから。
また、頼まれた作業を、できるだけ早く正確に完遂させるのは
もちろんのこと、相手が求めている結果に貢献するために、
+αでできることがないか、を考えることも必要と思っているから。

相手を思って仕事をすること。

そういうのは、ごく普遍的な心がけだというのは、思い違いなのだろうか。
そして人にも求めるのは、自分のことは棚に上げて、という傲慢だろうか。

もちろん、心がけてはいてもどうしてもできない、という人もいる。
目の前の作業を仕上げるだけで精一杯、という人もいる。
キャパシティは人それぞれだから、過度に負担はかけない、
かけてはいけない――とわかっている。

だけど、それでも、もうちょっと、もうちょっとだけ、
ほんの少し、がんばれないものだろうか?と思ってしまうことがある。
ほんとうに、相手を思ってちょっとだけ自分のひと手間をかけられないのか、
ちょっとだけ想像を働かせられないものなのだろうか?と。

……。

だめなんだろうね、きっと。
自分勝手な思いの押し付け、思い上がりの強要だから――
思い上がりをなかなか正せずにいる自分勝手さを思い知らされる。
どんな疑問も、こうして一周回って自分に返ってくることがあるね。

わたしはほんとうに「相手のことを思って」仕事をしているのか?

わたし自身の向上心こそが問われているのかもしれない。
人に対して疑問符をぶつけて停滞している場合ではないのだから。

ぐるりぐるりと回遊しながらも、外周を広げていきながら上へ上へと、
進んで生きていかなければね。

(2017年7月4日 Facebookノート投稿)
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この葛藤は、自分にとっての普遍なんだろうか。
あるいは進歩がないということのあらわれ?
7年前のこの思いは、今も味わうことがしばしばだ。しかも、深いためいきをもって。

最終的に自分自身の未熟さに責任や改善を求めようとするのも、今も同じだ。
第一義的にはそうしたほうが楽だから、なのだが――それとは別に、人はそれぞれキャパシティが違う、ということを受け止めなければならないのにできずにいる自分への戒めとしてでもある。

そう、頭ではわかってはいる。
一人ひとり「一生懸命」の満量が違う。
つまり、たとえば各人が持っているコップの大きさはそれぞれで、こちらが思っているより早くオーバーフローになってしまうひともいる。
自分の役割は、そういったいろいろな容量の人たちを動かしていくことにある。
その人の100%を意識して。

でも、だれもが容量に応じて常に一生懸命になってくれるわけではないという問題もある。
それがゆえに深いためいきが生まれることがある。

いい意味で力を抜くことも必要だとは思う。いつも100%で突っ走ることを求めてはいない。
けれども、明らかに手抜き、相手を見てこのひとにはこれでいい、と加減・省略をする姿などを見出してしまったときは、がっくりしてしまう。
端的には価値観と意欲の違いだとしか言いようがないのだけれど――そうとわかっていても。

多少おせっかいに、余計な仕事を増やしているような気持ちになったとしても、先回りをして結果的にゆとりを生む仕事のしかたもあるだろうに、と思ってしまうし、そうしてほしいと願っている自分がいる。伝えても浸透しないのは、わたしの力不足か――とまたここで自分に回帰してしまうけれど。

だって、もったいない。

できるのにやらないのは、もったいない。
やったところで決して無駄にはならないのに。

相手を思うこと。

単純なことなのに、簡単ではないようだ。

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