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「知らない」幸せ

ストッキングの伝線。

スカート裾のほつれ。

料理鍋にうっかり入ってしまった「なにか」。

自販機でのお釣りの取り忘れ、あるいは、袋に入れ忘れてきてしまった買い物。

釘を踏んでいるタイヤのこと。

自分に言われている悪口(つまり陰口)、あるいはつかれている嘘。


「知らない」――「気づかない」ことが幸せ、っていうこともあるよなあ……とうすぼんやり考える。

知ってしまった瞬間に、赤面したり落ち込んだり……それならそれで知らないままですむように、そうであったらよかったのになあと思う。

でも、どうなんだろう。果たしてそうなのだろうか。


もしかしたら、知らずにいることより、知らざるを得なくなってしまったこ
とのほうが、のちのち、より幸せになれるのかもしれないよね。

はじめはつらかったり恥ずかしかったりするとしても、乗り越えてしまえば「なんだ、そんなこと」と言えるのだろうし、そう言って次に進みたい。
どうせなら。

……なんてことは、まぁ、わからないか。人によるか。

ちょっと循環小数みたいだ。笑

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