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『三ノ輪の三姉妹』に寄せて①|藤田より

8月末~9月の頭まで、かるがも団地は
『三ノ輪の三姉妹』という演劇を上演します。
それに寄せて、劇団員の3人の
創作のきっかけや創作中に考えていることを記していこうと思います。
第一回目は脚本・演出の藤田恭輔が、
出演者・スタッフにオファーするときの企画書に書いた文章を公開します。


『三ノ輪の三姉妹』に寄せて(脚本・演出:藤田恭輔)

去年あたりから「家族の話みてみたいです」「三姉妹の話がみたいです」というリクエスト(?)を複数方面からいただいたこともあり、
ひとつ屋根の下/街の上でドタバタと展開されるホームドラマを構想するようになりました。
と言っても私の中で馴染みがあるホームドラマってEテレで放映されていた『フルハウス』くらいしかないのですが……。

最近頭の中にあることを書きます。上手く話せるようになってきた人のことと、上手く話せなくなってきた人のことです。
70手前の父がいます。演劇なんかやっていて、ちゃんと食べられているのか常に心配されています。
受験期~24、5歳まで、自分の目標に突き進むことと東京を謳歌することで頭が一杯だった私は、
心配性で大した用件も無いのにLINEをしてくる父を疎ましく思ってしまい、電話をしても割とぎすぎすしている時間が多かったのでした。
だけど、いつの間にか父の髪も白髪ばかりになっていることに気付いたり、送られてきた写真の母が杖をついていることを知ったり、
親との残された時間を意識するようになると、小うるさい父とも話せるうちに話しておこうと思うようになりました。
そしてこちらが少し矢印を向けてみると、皮肉なもので、ほどほどに話せてしまうものです。

父との修復が図れてきた一方で、年の離れた姉や、高校時代毎日話していた演劇部の同期とは、なんだか空を掴むような会話しかできません。
特に何を揉めたわけでもなく、ただ離れていた時間が長かっただけなのですが。話すたびに言葉を探っている自分がいます。
離れていても会えば何のよどみもなく話せる友人だっている一方で、この違いはいったいなんだろうと思います。
そんな、きっとほんのちょっとのことで取り戻せたり崩れたりしちゃうような“ひととの距離の掴めなさ”などを皮切りに、
他者と生きていくことの歯がゆさを、ぐるぐると描いていきたいと思っています。

また、これは副次的ではありますが、団体柄3人組の一人として過ごしているので、
一人でも二人でもなく、3人が3人として上手くやっていくためのバランスのとり方ってなんだろうとか、
そんなことも考えていきたいです。三姉妹ものですし。(みなさまの人生の中にある3人組はどうやって回っていますか、、??)

当社比最大級の公演で、どうしたって力んでしまうのでしょうが、なるべくわたしたちであることを忘れずに取り組みます。
家族がとても大切な人にも、二度と家に帰りたくない人にも、家族の顔すら知らない人にも、届くような何かをこしらえたいです。

稽古場で脚本とにらめっこする藤田(撮影:一嶋琉衣さん)
劇場稽古にて舞台を見て指示を出す藤田(撮影:一嶋琉衣さん)

公演情報

MITAKA “Next” Selection 25th
かるがも団地 第9回本公演
『三ノ輪の三姉妹』
2024年8月31日〜9月8日 三鷹市芸術文化センター 星のホール
作・演出 藤田恭輔

『三ノ輪の三姉妹』フライヤー表
『三ノ輪の三姉妹』フライヤー裏

<Introduction>
荒川区三ノ輪。
下町を走る路面電車と、都心を巡る地下鉄の交差点。
古びたアーケード商店街から一本路地を入った所にある家で、 私たちは育ちました。

姉の葉月、私・苑子、妹の茜。
私たちは誠に嚙み合わせの悪い姉妹です。
今更修復するのも面倒な溝を、互いの間に保ったまま大人になりました。

そんな三人をひとりで育てあげ、
どんな時も分け隔てない愛で包んでくれた奔放な母は今、
くたばろうとしています。

生い先そう長くない彼女を前に、
わたしは、
わたしたちは、
これからどこに向かえばよいのか、今更のように考え出すのでした。

家族。
なぜか共に生きてしまった、いちばん近い他人。
寝苦しいひと夏のギクシャク。
張り切ってどうぞ。

<Cast>
冨岡英香(もちもち/マチルダアパルトマン)
中島梓織(いいへんじ)
瀧口さくら

岡本セキユ
柿原寛子
奥山樹生
村上弦(猿博打)
袖山駿
はぎわら水雨子(食む派)

藤田恭輔(かるがも団地)
宮野風紗音(かるがも団地)
古戸森陽乃(かるがも団地)*声の出演

<Time Table>
2024年
8月31日(土) 13:00★【託】/18:00★
9月1日(日) 13:00★
9月2日(月) 休演日
9月3日(火) 19:15
9月4日(水) 14:00
9月5日(木) 19:15
9月6日(金) 19:15
9月7日(土) 13:00/18:00
9月8日(日) 13:00

★・・・早期観劇割引=全券種各300円引き
【託】・・・託児サービス
※対象:公演当日に1歳~未就学。料金:500円。定員:各回10人。
※申込方法:8月17日(土)までに三鷹市芸術文化センター0422-47-5122に申込み。

*受付開始は開演の1時間前、開場は開演の30分前
*上演時間は約110-120分予定

<Ticket>
【券種・料金】
一般|前売:3,000円/当日:3,500円
財団友の会会員|前売:2,700円/当日:3,200円
学生|前売・当日とも2,000円
高校生以下|前売・当日とも1,000円

※全券種日時指定全席自由
※学生・高校生以下チケットは要学生証等提示

【予約開始日時】
7月19日(金)10:00
※財団友の会会員:7月18日(木)10:00

【チケット取扱】
●かるがも団地(corich)
https://ticket.corich.jp/apply/319073/
※各回開演の3時間前まで受付
※当日現金精算

▲三鷹市芸術文化センター
・電話予約0422-47-5122(午前10時~午後7時)
・インターネット予約(要無料会員登録) https://mitaka-art.jp/ticket/

<Place>
三鷹市芸術文化センター 星のホール
〒181-0012 東京都三鷹市上連雀6-12-14

【交通案内】
JR三鷹駅南口
▶2番バスのりばから3つ目「八幡前・芸術文化センター前」下車すぐ。
▶5・6・7番バスのりばから「八幡前」下車1分
▶徒歩約15分

<Staff>
舞台監督:小玉珠成
舞台美術:いとうすずらん
照明:木村奏太(木村屋)
音響:おにぎり海人(かまどキッチン/オドリバ)
演出助手:一嶋琉衣(吉祥寺GORILLA/yhs)
脚本補佐・衣装・宣伝美術:古戸森陽乃(かるがも団地)
小道具:秋林彩(Nichecraft)
宣伝写真:藤田恭輔(かるがも団地)
記録写真:中嶋千歩
記録映像撮影・編集:松本佳樹(世田谷センスマンズ)
制作:宮野風紗音(かるがも団地)
当日運営:月館森(露と枕/盤外双六)

【協力】
もちもち マチルダアパルトマン いいへんじ くらやみダンス 汽水連 ハダカハレンチ ザジ・ズー 企画山 猿博打 (株)大沢事務所 食む派 木村屋 かまどキッチン オドリバ 吉祥寺GORILLA yhs Nichecraft 露と枕 盤外双六

【主催】
(公財)三鷹市スポーツと文化財団

<Attention>
・車椅子でのご観劇をご希望の場合は、あらかじめご予約後にご予約先(劇団/三鷹市芸術文化センター)までご連絡ください。
・聴覚に障害のある方へのご観劇サポートとして、受付にて台本の貸出を行います。ご希望の方は事前に劇団メールアドレス karugamodanchi@gmail.com にご連絡ください。(予約なしでの貸出も可能ですが、数に限りがございます。)

<Contact>
・三鷹市芸術文化センター 0422-47-5122
・かるがも団地 karugamodanchi@gmail.com

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