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ガヤ音が難しい(初心者の映画制作講座)

この記事は、「映画/動画が作れるようになるメールマガジン」の過去のものからピックアップしてご紹介しています。


騒がしい中で映画の撮影をするのはやっかいです。

と言うより、セリフが聞き取れなくなるのでできる限り避けるべきです。

しかし、逆に
ガヤガヤ騒がしいという設定」もあります。

例えば雑踏の中。
例えばパーティー会場。
例えば喫茶店の中。

こんなシーンは、意外と多いのです。


騒がしい中でのシーンもまた、
実際に騒がしい中で撮影するのは賛成できません。

この矛盾をどう解決するのか。

僕は、「役者の会話」と「周りのガヤ音」を分けて撮影します。

実際のシーンはできるだけ静かな場所でロケをし、
編集段階で「ガヤ音」を入れるわけです。


で、この、「周りのガヤ音」の録り方、収録方法について。


ガヤ音とは、ガヤガヤ騒がしい騒音のことですね、
これも深い世界なのです。

一言でガヤ、と言っても、いろんなガヤ音があります。

2〜3人のオバサマたちのペチャクチャ話のガヤ、
10人程度が集まったガヤ、
50人以上集まったガヤ、
交通の多い道路のガヤ(喧噪、という方がいいかもしれません)
・・・

映画のシーンに合わせ、必要なガヤを録り分けねばなりません。


これまで、僕は何度となくガヤ音を求めて街をさまよってきました。

車の喧噪も、昼間と夜、深夜では違います。
でもまあ、これは実際の時間に撮影に行けばいいのでよしとしましょう。
(深夜に一人でカメラを持ってウロウロする危険性についてはまた別の機会に)


僕が困ったのは、「喫茶店の中」というシーンのガヤでした。

○役者たちのセリフ以外は、何を言っているのか分からない
○喫茶店なので、せいぜい数十人のお客
○そんなに大音響ではなく、平坦なザワザワ感

この条件を満たすため、いろんな場所で録音してみました。


まず、居酒屋。これはダメ。うるさすぎる。

ファミレスは本命でした。
しかし、たまたまでしたが、特定の団体客がうるさくて断念しました。

いい感じの喫茶店がありましたが、
窓が全開で、結局道路の音が録れてしまい、失敗。

ある小さな小さな喫茶店は、静かすぎてガヤ音にならず断念。

おや、うまく録れたかな、と思ったら、
そもそも、店内に有線が流れてて、著作権でダメ。

・・・


結局、ある程度の規模の喫茶店に協力してもらい、
かつ店内でもっともガヤ音が平均的になりそうな場所を押さえて、
録音させてもらいました。


その後長年、ガヤ音を録り続けてきた結果、
自分なりのガヤ音ライブラリーができあがりました。

フリー素材集も使えるかもしれませんね。

※僕は、自分の作品に映像素材も音素材も、素材集は使わない、
という妙なポリシーがあります。
腕によりをかけて作った料理の中の一品がレトルト、みたいで・・・。


ガヤ音のサイズも難しい。
周りのガヤ音が何をしゃべってるか聞きとれるようでは、失敗です。

『ブレードランナー』を観たことがありますか?
すばらしい作品ですが、日本語が一部混ざって聞き取れるんですよね。
しかもあの監督さん、その同じ日本語を何度も何度も混ぜてるんです。

ガヤ音。

いろんな意味で、うるさいのです。


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