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入門歯科保険診療-カルテの書き方- 「初診 一月以内は算定不可」

歯科の保険診療のABCを解説する不定期連載です。カルテの記載方法、カルテメーカーでの入力方法などを解説していきます。研修医の先生や、新規、個別指導を控えた先生の参考になればと思います。


再初診の基本ルール

再初診を算定する際の最も基本的なルールは次の2つです。

同一患者について1月以内に初診料を算定すべき初診を2回以上行った場合は、初診料は1回とし、第1回の初診時に算定する。

A000 初診料 注の4

1傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合は、それらの傷病に係る初診料は併せて1回とし、第1回の初診時に算定する。

A000 初診料 注の3

平易な言葉でいうなら

  1. 初診を算定したら、その初診から1月以内は初診を算定できません。

  2. 治療中の傷病がある場合は、違う傷病が発生しても初診は算定できません。

ということです。
今回は最初のルールのついて解説します。

1月以内は初診にできない

前回説明したように医学的な初診は、新しい傷病ごとに発生します。でも、最初の初診から1月以内は、どんな初診が発生したとしても初診は算定することはできなくて再診で対応します。

このルールは、基本的かつ絶対的なものなので例外はありません。また、期間だけの問題ですので曖昧な部分はありません。

図で説明しましょう。

1月以内

9/3日に来院して、左上2番のC2病名と診断され、9/7日に来院してCR充填で治癒になったとします。初めての来院ですので9/3日は初診です。
翌週、9/11日に再度来院して、今度は右下6番のインレー脱離だったとします。この場合、医学的には新しい傷病なので初診ですが、9/3日の初診からは1月以内ですので、初診ではなく再診となります。

1月経過後

これが、9/11日ではなく、10/6日に来院して、右下6番のインレー脱離だったのなら、9/3日から1月以上経っているので、初診で算定できます。

ちなみに「1月」の定義は留意事項で明記されており

1月の期間の計算は、例えば、2月10日〜3月9日、9月15日〜10月14日等と計算する

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について

となってます。

1月の境界

ですので、上記の例では、10/2日に来院した場合は「再診」で、10/3日に来院した場合は「初診」となります。

短期間で再診からの初診算定は要注意

上記の例で「インレー脱離」の病名には実は意味があります。それを説明していきましょう。

初診の基本ルールに従えば、1月経過すれば、原則、初診を算定可能です。しかし、ここで歯科特有の事情が関連してきます。

医学的な初診は「新しい傷病を診断した場合」です。診断した病名に対して治療を開始(着手)した時ではありません。歯科の場合、う蝕(C)や歯周病(P)は口腔内を診た時点である程度診断がついてしまいます。

そこで、最初の病名での治療の終了から2番目の病名での開始までの期間が短い時、Cなどの病名の場合は前回の治療の終了時点で診断がされたと推定されてしまいます。そうなると、着手が1月後でも診断の時期は1月以内ということになり「1月以内は再診」のルールが適用されて再診扱いとなります。

病名により初診が算定できない事例

最初の病名での治療が10/2までかかり、2番目の病名が「C2」である場合、10/6の時点で初診を算定しようとしても、「C2」なのだから10/2の再診の時に当然気がついてるよね。だからC2の診断は10/2で、1月以内だから「再診」だよねって、判断されてしまいます。

最初の処置が脱離再セットのようにすぐに終わってしまい最終来院日から1月近く空いていれば概ね問題ないですが、数日しか空いていない場合は要注意です。

短期間に再診から初診を算定する場合、2番目の病名は前回の終了時点では予測できない突発的に発症する病名である必要があります。例えば「外傷」「脱臼」「ハセツ」「ダツリ」などなら確実に突発的なものだと判断されるでしょう。このような病名の場合は積極的に初診をとって問題ありません。

一方、それ以外の病名でも突発的に発症すれば初診なのでしょうが、突発的かどうかは個々の病名や審査機関により判断が別れるところですので、このような病名で最後の再診から短期間で初診にする場合は無理せず再診で開始した方が無難ではあります。



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