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#128 【英語史クイズ】 台所関係の英単語。仲間外れはどれ?

英語史クイズ第3弾。仲間外れはどれ?

語源的に1つだけ仲間外れの単語があります。どれでしょうか?
(a) biscuit
(b) kettle
(c) kitchen

解説

では、解説。台所に関連する単語を集めてみた。答えはどれでしょうか。割と個人的にも楽しめた。

(a) biscuit

日本語にもなっているビスケット。最初のbisがbicycleと同じように「2」という意味だと知っている人は案外少ない。ラテン語のbis coctus(twice-baked)に由来。後半のcoctuscookを意味する。つまり、cookに関連する語である。

この「二度焼き」という意味だが、軍隊や船旅などで長旅に出る時の携帯食の意味合いが強かったとされる。簡単に言えば、腐らないよう、水分を抜くために二度焼きしたことに由来する。詳細は省略するが、ケンタッキーフライドチキンのスコーンのようなパンもビスケットと呼ばれることもある。ちなみにオレオやリッツで知られるナビスコはNational Biscuit Companyの略である一方で、グリコのビスコは酵母ビスケットこと「コービス」の前後を入れ替えて「ビスコ」とされている。

(b) kettle

日本語で言えばやかん。英語語源辞典こと、KDEEによれば、ゲルマン祖語 $${\textit{*katilaz}}$$ に遡るとされる。ラテン語catilllusからの派生語のようだ。catilliusはボールとか、食べ物を入れる容器ぐらいの意味だったとされる。なお、最初のkが口蓋化して、chetelとなっている方言もあるとされており、興味深い。帽子capがフランス語chapeauとなっていることを想起してしまう。

(c) kitchen

当然ながら台所の意味だが、古英語 $${\textit{cyċene}}$$ に遡る。俗ラテン語 $${\textit{cocina}}$$ ="of coquinus (cooking)"からの借入語とされる。"cook"と関連する語である。英語語源辞典こと、KDEEには「大陸時代の古い借入語。主なヨーロッパ諸語に借入されていることは、古代ローマ人の料理技術の優秀さを物語るものであろう」とされている箇所が、後でじわじわと来る。

(おまけ) pumpkin

かぼちゃを意味するpumpkinだが、KDEEでは、フランス語pumpon(=melon)由来で、オランダ語関連の語に多い指小辞-kinがついたとされる。ギリシャ語pépōn、"to cook, ripen"を意味する印欧祖語*pekw-に遡るとされているが、ギリシャ語についてはKDEEでは「熟さないと食べれないところから」と説明されている。cooked by the sunとのこと。

まとめ

台所関係の語をまとめてみたが、biscuit, kettle, kitchenだと、やかんのkettleだけがcookと関連のない語だと言える。pumpkinも入れると、さらに盛り上がりそうだが、必殺の「諸説あります」が必要になるだろう。今日も個人的に楽しめた。

今日はこんなところです。

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