#117 friendの綴りなどの歴史について
a friend of mineという表現に関して、しばらく一部で話題となっている(英語だったら現在完了進行形を使いたいところだ)。もう少し詳しく言うと、$${\textit{*a my friend}}$$はなぜ正しくないとされるのかという話題である。それに関連する記事の第1弾である。今回は覚書に近い。
OEDでのfriendの項目
Oxford English Dictionaryこと、OEDでfriendの項目が開放されていた。楽しくなってずっと見ていた。この辺りがnerdと呼ばれても仕方ないところだと思うが、楽しいものは楽しい。で、今回は、friendの発音や綴りについて。
まず語源的にはゲルマン祖語から引き継がれている語であり、語形成的には、free+-endとなっている。
で、friendの綴りについては、OEDでは古英語から69の綴りが載っている。ただし、そのうちの14が重複である。そのため、実際には55の異なる綴りがあったことがわかる。
古英語では、中心的には、frēondとfrīondが示されている。発音は、二重母音であり、長らくe系統とi系統の2種類が続いたようだ。フレンドかフリンドか、場所によって発音が分かれていたのだろう。
中英語でも母音の部分は、short ĕ と short ĭ のどちらかだったようだが、専門家でも意見が分かれているとのこと。このあたりの発音と綴りについては、堀田先生のブログ記事#4355に詳しい(むしろ検索すると、堀田先生のグログ記事からなんでも見つかるのに、驚きである)。
綴りに関して少し補足すると、frendやfrendeなど、子どもが間違えそうなものもいくつか見られる。興味深い綴りとしては、ffrendとfが重なったものや、vrendと最初がvの綴りになっているものもある。また、最後の子音dがないfreineなどの一連の綴りも見られる。
このように綴りや発音の変遷を見るにつけて、正しい綴りや発音とは何か、常に考えさせられるのも英語史の楽しさの1つだと思う。
複合語
friendと結びついて複合語となっているもののリストもある。best friendは1225年からとされており、最も古い複合語の1つである。それに対して(?)、penfriendは1923年からとされている。今ではペンフレンドはあまり聞かない言葉になってしまったが(代替はインスタ繋がりとか?)、文化と言葉は切っても切り離せないと感じる。
今日はこんなところです。