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【やさしく解説】線維筋痛症ってどんな病気?(3) 

前回の記事から続きます。


線維筋痛症が疑われるときは

 前回までの記事を読んだ皆さんは、線維筋痛症という病気の特殊な状況についてご理解いただけたと思います。もし、あなたや、周囲の方が、「全身のあちこちがずっと痛くて、病院に行ったけど異常がないと言われてしまった」という状況になったとしたら、どうすればよいでしょうか。

 全身の痛みがなぜか続いているというとき、まずは近所の内科を受診する方が多いと思います。そこで血液検査などに異常がなければ、次は大学病院などの大病院に紹介されるでしょう。大きな病院の中には、”総合診療科”のような名称で、どの科にかかったら良いかわからないという患者を検査して各科に振り分けてくれるところがあります。もしそういった窓口がなければ、内科や膠原病科・リウマチ科などが良いと思います。

 詳しい血液検査(膠原病、リウマチなど)、レントゲン・CT(関節などに異常がないか)、エコー(筋肉)……こうしたありとあらゆる検査を続けなければいけません。その途中で他の疾患だとわかれば、診断がつきますが、線維筋痛症のみの場合は「どれも正常ですね……」と苦い顔をされることになるでしょう。何もわからないまま、検査だけを続けていくのはとても大変ですが、これを通らなければ次のステップにはいけません。

 いよいよわからない、異常がない、となったとき、この病気を知らない、あるいは知っていても診断・治療ができない医師のところへどれだけ通い詰めても、問題は解決しません。また、専門の医療機関が非常に少ないので、紹介してもらえないパターンもあります(医師も、どこなら受け入れてくれるのかわからないケースが多いためです)。

 酷なことですが、そういうときには診断・治療をしてくれる医療機関を自力で探して、紹介状を持って受診してください。

 しかし、一から探さなくても大丈夫です。いくつか頼れるところをご紹介します。

 まずは、「日本線維筋痛症・慢性痛学会」に登録している医療機関を当たってみましょう。以下は、診療ネットワーク参加機関マップへのリンクです。

 ……少ない!!
 登録されている医療機関がゼロ、あるいは1-2件しかない都道府県の多さに驚くことでしょう。それくらい、きちんと診療してくれる医療機関に自然に巡り会える確率は非常に低いです。

 しかも、なぜか私の通っているところは線維筋痛症の専門医がおられるのにここに載っておりません……。本当に機能しているのか疑わしい。
 というわけで、「全身の痛み外来」を設置している東京江東高齢者医療センターのリンクも載せておきます。

 高齢者医療センターとありますがどの年齢でも診療OKです。東京ですら受け入れ先がほとんどないので、ここでは毎週新患が殺到していて大変なことになっているそうです。早く慢性痛専門の科が増えてほしいものです。

この記事を読んだあなたにもできることがあります

 この病気になったとき、何よりもまず医療につながることがとても大変です。人によっては専門医を紹介してもらえないが故に、診断に何年、時には何十年とかかるケースもあります。診断が付かないと、精神的にもつらいですし、福祉につながるハードルが非常に高くなります。

 もし、あなたがこの記事の内容を頭の隅に置いていただければ、もしものとき、あなたの大切な人が路頭に迷わなくてすむかもしれません。どうか慢性疼痛に苦しむ人のリレーに力を貸してください。

 また、私が主催するLINEオープンチャット「慢性疼痛・慢性疲労に関する情報交換の会」では、医療機関での診断がついていない方の支援にも力を入れています。

 同じような症状の人たちが自分の経験や知っていることをお互いに情報共有することで、患者が孤立するケースを1つでも減らしたいという思いで活動しています。

 もし慢性疼痛・慢性疲労でお悩みの方が周囲にいらっしゃいましたら、「こんなコミュニティもあるよ」と記事と併せてご紹介をお願いいたします。

まとめ

  • 全身の慢性疼痛に悩んでいる場合、まずは近所の内科へ

  • 大学病院での検査で診断が付かない場合、「日本線維筋痛症・慢性痛学会」に登録している医療機関を探して受診

  • 周囲の人が原因不明の慢性疼痛に悩んでいたら、「こんな病気もあるよ」と知らせてください

 以上で、線維筋痛症という病気の簡単な解説を終わります。ここまでお読みいただきありがとうございました。

 次回は研究過程の治療、「磁気刺激」の効果レポートを予定しています。

【やさしく解説】線維筋痛症ってどんな病気? 
〜終わり〜

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