刈谷メソッド_15「1ページのテキスト分量と見開きについて」
ゴールデンウィークで曜日感覚がなくなり、うっかり1回休んでしまいました。申し訳ありません。
さて、今回はルールブックのレイアウトの技術についてですね。具体的には「1ページのテキスト分量を決める」「見開きを意識する」ということについて説明したいと思います。
「見出しの階層を考える」「例と図の頻度」については次回で説明します。
14「ルールブックは分かりやすさがすべて」の「ルールブックの形をイメージする」の例図を見ながらですと、なお頭に入りやすいかもしれません。
◎1ページのテキスト分量を決める
「ルールブックの形をイメージする」うえで、最初にやらなくてはならないのが「1ページのテキスト分量を決める」ことです。
これは読みやすい文字の大きさや行間を考え、ルールブックのサイズやページ数をイメージするために行います。
長々書いていますが、慣れてくればサラッと終わらせられる作業です。
まず最初にテキスト分量を見て、ザックリ「A6サイズ(148mm×105mm)」か「B6サイズ(182mm×128mm)」だなといったイメージをもちます。それで「A6なら1ページに30文字×28行(840文字)、B6なら35文字×33行(1,155文字)」などとイメージします。
ちなみに過去に書籍やゲームを作った経験がない場合、1ページの文字数に悩むかもしれませんが、そうした際はすでに世に出ているゲームのルールブックを複数並べて、自分が読みやすいと感じる文字のサイズ、行間のものを参考に決めるとよいでしょう。
対象年齢の低い簡単なものほど文字は大きく、行間は空き気味になっているはずで、逆に対象年齢の高い本格的なものは文字が小さく、行間はつまり気味で、ページ数も多いはずです。
1ページの文字数を仮決めしたあとは、ざっくりページ数を出します。なおこのとき、ルールブックが1万字だったからと言って、単純に1ページの文字数で割らないように注意してください。
見出しや図に大きなスペースが必要ですし、後で述べる見開きについて考える際、思い切った改ページが必要になることもあります。ですので単純に割った数の倍とは言いませんが、1.5倍くらいにはなると思っておいた方が無難です。
上記の例ですと、840文字であれば(10,000÷840=11.9)大体18ページ(+表紙と裏表紙)、1,155文字であれば(10,000÷840=8.7)大体13ページ(+表紙と裏表紙)とイメージできるわけです。
それでどうもページが多いなとなると、じゃあB6サイズで文字を小さくし、行間も狭めて1ページ「40文字×40行(1,600文字)」としたらどうだろうか(10,000÷1,600=6.3)大体10ページ(+表紙と裏表紙)。
いっそ横長(縦128mm×横182mm)にして、1ページ「30文字×30行の2段組(1,800文字)」みにしたらどうか(20,000÷1,800=5.6)大体8ページ(+表紙と裏表紙)、といったことをツラツラ考え、「いったんB6サイズ、40文字×40行で(表紙裏表紙入れて)12~16ページの想定で考えるか」といったことを決めます。
ここでひとつ注意を。
そうした仮設定のもと、ページの構成を検討していくわけですが、最終的にはグラフィックデザイナーさんの判断に従うことになることを認識しておいてください。
なぜなら結局のところ、本当の意味で正解に近いアウトプットができるのは本職の人だからです。
過去のゲームのルールブックを参考にして、「こんな感じのレイアウトをイメージしました」と伝えるのはとても良いことだと思いますが、「そういうわけで、この通りレイアウトしてください」と言うのはそのグラフィックデザイナーさんの気持ちを無視した行為です。
あなたに「このレイアウトがいいな」と思うイメージがあるように、グラフィックデザイナーさんにも「このレイアウトがいいな」というイメージがあります。
あなたが「40文字×40行」がいいなと思っていたとしても、グラフィックデザイナーさんは「41文字×38行」が収まりがいいと思うかもしれません。
大した違いではないと思うかもしれませんが、あなたの最初のイメージとは多少違ったものになるはずです。と言いますか、普通に40文字×40行で出力されてすら、イメージと異なることはあります。
そういうときに、あなたのイメージを再現するようやり直させるより、グラフィックデザイナーの感覚を信じた方が、通常良い結果を生みます。あなたが「分かりやすいルールの文章とは」を考えて過ごしているのと同じように、グラフィックデザイナーさんは「読みやすい文字のサイズや行間とは」を考えて過ごしているのです。
グラフィックデザイナーさんのアウトプットに合わせ、レイアウトを修正していきましょう。
◎見開きを意識する
ルールは、見開きである程度完結していることが望ましいです。ページをめくる必要がある場合、どうしても理解しやすさに差が出ます。見開きで知覚できる情報が、やはり把握しやすいのです。
見開きの中であれば、ページをまたぐことはそれほど問題ではありません。
逆に言えば、ルールブックの中で一番分量の多い項目の文字数から逆算して1ページの文字数を決める、ひいてはルールブックのページを決めるということまであっていいと思っています。
わたしはそれほど見開きを重要視します。
ルールブックは「分かりやすさがすべて」だからです。
もちろん、どうにもならないときはあります(箱のサイズが小さくて、ルールブックのサイズが限定されるなど)。
そのときは、サラッと見開きをまたいでください。
「どうにもならないことは、どうにもならない」。
それもまたひとつの真実です。
答えはひとつではありません。
最善手を探し求めるべきですが、解決できないことにこだわるべきではありません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?