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「刈谷市を日本No.1の地球にやさしいまちへ」社会起業家・学生たちの提言【イベントレポート#2】

地球温暖化、気候変動、SDGs、カーボンニュートラル…。様々なサステナビリティに関する言葉が飛び交う現代において、私たちは「個人」としてどのような活動ができるのでしょうか。

2022年、愛知県刈谷市で「サステナビリティアクションプロジェクト」が立ち上がりました。これは、刈谷市を日本No.1の地球にやさしいまちにすることをめざし、刈谷市の社会人・学生が共にあるべき未来を構想する事業です。

同年12月には、高校生・大学生を対象としたセミナー&ワークショップを開催。サステナビリティに取り組む2名の社会起業家の姿から、自分達の手の届く範囲で何ができるのかについて、学生たちが意見を交わしました。

今回のnoteでは、学生たちが刈谷市の未来を考えたイベントについてのレポートをお届けします。

サステナビリティ・アクションプロジェクトとは
2022年に刈谷市で開始した、市内企業に勤める社会人、高校生・大学生等を対象として、社会起業家やサステナビリティに関する先進的な事業者の取り組みを体感する機会を提供し、日本で最も地球にやさしい生き方や企業活動を創出することを目指したプロジェクトです。
詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000062589.html

午前の部|社会起業家によるサステナビリティに関するセミナー

まずは社会起業家2名によるサステナビリティに関するセミナーを実施。実際に展開されている商品やサービスを体験しながら、それぞれの中でサステナビリティに関する知見を深めました。2名はいずれも、学生時代からサステナビリティに関心をもち、活動を続けてきた起業家です。

1人目の登壇者は、一般社団法人ハピエコの村田美穂さんです。

ハッピーにエコる「ハピエコ講座」

初めに、「自分の選択で大きな課題を解決できる」という想いで創業した村田さんより、クイズを織り交ぜた「ハピエコ講座」を実施していただきました。

村田さんは、「地球温暖化」とは地球の平均気温が上がること、「気候変動」とは気温が上がった先に地球で起こる現象だと整理します。

村田 美穂(むらた みほ)氏
一般社団法人ハピエコ 代表理事
2000年生まれ、愛知県みよし市出身。高校を卒業後、バンクーバーの大学に進学。環境学専攻。2020年8月、オンライン授業により日本に帰国。その後名古屋で環境問題のイベント・気候マーチを2回主催し、合計約250名を動員。2021年5月、「ハッピーにエコる環境講座」通称「ハピエコ講座」を開始。1年で100回以上講演を行う。2022年5月、活動を法人化。現在YouTuberとしても活動中

村田:地球温暖化によって豪雨が増えたり、台風や森林火災が増えたりなど様々なことが引き起こされます。地球の平均気温は、1850年頃、産業革命前の時代から現在までの約170年間で、約1.1℃上昇しています。

地球の平均気温が1度上昇するだけでも、大気中の水分は7%上がります。そうすると突然の土砂降りや予期せぬ洪水が起こりやすくなりますよね。
元々は100年に1度の頻度で起こるはずの大洪水も、最近は大気中の水分量が多いために「数年に一度」など高頻度で起きてしまっていると言われています。

村田:私の友人がスーパーのお客様アンケートで、「ビーガンプリンが食べたい」と書いたことがありました。そうすると、1週間後にビーガンプリンが置かれていました。

メディアやスーパーなどは、消費者の行動で成り立ってます。なので、私たちの選択次第で社会を変えることができると感じています。

こうした話をすると、「知ったからこれを"絶対"にやらなきゃ」とか「明日からこれを"一切"やめます」と、ゼロか100かで考えてしまう人もいますが、それでは長くは続きません。自分にも相手にも完璧を押し付けずに、自分にとってハッピーで心地のいい選択をしてほしいです。

それが「ハッピーにエコる」ということです。「モノの裏側の物語を知ったことで広がった、日々の選択肢の中で、心の声を聴いて自分が心地いいと思える選択をしてほしいなと思っています。

海洋プラスチックジュエリー「sobolon」ができるまで

続いて、「”可愛い”で地球を守りたい」という想いで創業した山崎姫菜子さんより、sobolonの立ち上げや想いについてお話いただきました。参加者は、実際にsobolonの商品を手に取りながら話を聞きました。

山崎 姫菜子(やまざき ひなこ)氏
sobolon 代表
1996年3月生まれ、岐阜県多治見市出身。sobolon代表。幼い頃から環境問題に関心があり、2019年、海洋プラスチックを素材としたハンドメイドジュエリーブランド「sobolon」を始動。「"可愛い"で地球を守る」をテーマにジュエリーブランドを運営する傍ら、子どもたちへの環境教育の一環として、海洋プラスチックを活用した万華鏡づくりやモザイクアートづくりなどのワークショップも実施している。

山崎:ジュエリーを作るときには、まず海洋プラスチックの回収を行います。行く海岸によって落ちているものが違うので、回収を通して海の現状が見えます。日本海側まで足を運ぶこともあり、そのときには私たち自身、発見も多いです。

海洋ごみを色分けするとカラフルで可愛いのですが、それぞれの模様や質感を生かしてデザインして作っていきます。

透明の樹脂で固め直して作るので、ジュエリーの中には海洋プラスチックが埋め込まれています。よく見ると、「これ海洋プラスチックだな」ということが見てもらえるかと思います。

山崎:sobolonとしては、ただゴミをアップサイクルしているということ以上に、物の見方や人の心のあり方が大切だと思っています。何に価値があるかというのは、視点や環境で変わるものです。考え方次第で無限の可能性があります。

色々な問題を解決しようと思ったときに、問題だけを見つめるのではなく、どのように昇華させていくかが大事だと思っています。様々な視点や発想を持つことで、危機的な状況も良い方向に転換できるのではないでしょうか。

午後の部|「日本No.1の地球にやさしいまち刈谷」を考えるワークショップ

午後のワークショップでは、社会起業家2名のセミナーの内容を踏まえながら、刈谷市が「日本No.1の地球にやさしいまち」になるための構想をグループで考えました。当日の様子を写真と共に振り返っていきます。

まずは、理想のサステナブルな刈谷市を描くため、刈谷市の魅力や課題を洗い出しました。刈谷市の概要が書かれた冊子や観光パンフレットなどを参考にしながら刈谷について学びを深め、魅力と課題を洗い出していきます。

学生同士でグループを作り、メンバーと議論しながら、刈谷市の魅力や課題をマッピングしていきます。

最初は少しぎこちなかったみなさんも、時間が進むにつれて積極的な発言がみられるようになりました。どのグループも、すぐに模造紙がいっぱいになります。

刈谷市がより魅力的になるためには?ワークショップ

各グループで考えた、刈谷市がより魅力的になるアイディアを発表していきます。

こちらのグループでは、アップサイクルについての意見や、エコな折り畳みマイカップブランド「ストージョ」についても話が膨らみ、サステナビリティが溢れる未来に向けた発表が行われました。

続いては「まるっとHappy」と言うコンセプトを掲げて、可愛くデザインされたサステナブルシティ刈谷の循環図が発表されました。午前に聞いた村田さんのお話が心に残っていたようです。

最後は、今日聞いた話から、自分がどのようなサステナビリティに関する行動を行っていくのかを宣言する時間です。感想も踏まえて、思い思いに宣言をしてくれました。

午前のセミナーや午後のワークショップを通して心に響いたことが、自分のアクションに繋がっている様子が見受けられました。

最後に全員で集合写真を撮影した時の写真がこちらです。参加者の皆さんの表情から、前向きに話し合いが行われた雰囲気を感じ取ってもらえるかと思います。

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今回のイベントでは、メモ帳を開きながら話を聞いていた人や、ワークショップでは楽しく議論が盛り上がっていたグループの様子が印象的でした。

普段、サステナビリティについて考える機会はあまりなかったり、一歩踏み出すことへの躊躇があったりするかと思います。楽しくサステナビリティについて考える機会を提供する意義を非常に感じました。

今後もUNERIとしては、刈谷市のサステナブルの機運を後押しできるように尽力していきたいと思います。

(記事執筆:佐竹宏平

※社会人向けイベントのレポートも公開しております。詳細は下記よりご覧ください。


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