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「偶然の答え」を通して見えてきた櫻坂46のこれから

櫻坂46、2ndシングル「BAN」の共通カップリング曲「偶然の答え」のMVが公開された。

この曲のMVは、欅坂時代を含めても珍しい(おそらく「手を繋いで帰ろうか」以来)ドラマ仕立てのものである。

描かれているのは、同じクラスの女の子に恋心を打ち明けた一人の少女の葛藤だ。

このMVを初めて見たとき、とても衝撃だった。

というのも、MVが公開される前にラジオで曲だけが公開された段階では、きらきらとした恋のときめきを歌った曲だと思い込んでいたからだ。

MVを見る前と後とでは、歌詞の一言一言が大きく違って見えた。

例えば、このフレーズ。

センター街のほうへ二人で歩きながら
もし誰かに見られたら 誤解されちゃうね
唐突に思ったよ 冷やかされたいね

一見、付き合う少し前か付き合いたてのカップルが周りに2人の関係を知られたいね、なんて話している微笑ましい一場面に思える。

しかし、MVを見た後では「冷やかされたいね」の一言にとてもとても切なくなった。
2人の関係を、そして自分のマイノリティを認めてほしいという主人公の悲痛な想いを感じたからだ。

秋元康さんの歌詞は、捉え方によって景色が全く変わって見える。

だからこそ特定の誰かではなく、みんなの曲になるのだと感じる。

そういう意味では、このMVで描かれた一人の少女の淡い恋は無数にある解釈の中の一つを具現化したものだと捉えられる。

あえて同性愛をテーマとして取り上げたのは、欅坂46から持ち続けている「少数派に寄り添う」というポリシーを櫻坂46になっても大切にしていくことを、世の中に提示する目的もあったのかもしれない。

少数派に寄り添い誰一人として置いてけぼりにしない。一つの楽曲を一人一人が自分事として捉えられる。

これらを実現させているのは、秋元さんの歌詞の力だけではなく、櫻坂46ならではの卓越した表現力、パフォーマンス力、そして楽曲に懸ける想いがあってこそなのだと思う。

MVの中のパフォーマンスシーンで同じ曲を歌っているはずなのに、弾けるような笑顔を輝かせているメンバー、静かに微笑むメンバー、儚く切ない表情を浮かべているメンバーなど、様々だった。

きっと、メンバーの表情がそれぞれの解釈を表しているのだと思う。

主人公への寄り添い方の表現は様々だが、全てのメンバーの優しさと温かさに胸を打たれた。


櫻坂46は、優しくて強くてかっこいい。

この楽曲が、このMVが、彼女たちの想いがもっと多くの人に届いてほしいと強く思う。




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