6.わが家のポテサラおじさん。

昔から当たり前すぎて、考えもしていなかったのだが、父の私に対する態度や言葉に実はものすごく傷ついていることが多く、これって“モラハラ”ってやつでは？？？と思うことが増えた。（というか気づいた）

基本的に父は、自分の意見が一番正しいと思っている。自分が一番世間を知っていて、一番常識人だと思っている。

父にとって私はいつまでも子供で、頼りない世間知らずの人間だと思われているなということは感じている。自分でも自立した大人かと言われると自信はないが、父が思っているほど馬鹿でもない。

娘の私に比べたら生きている時間も見てきた世界も違うし、大変なことも沢山経験してきた人だ。でも、見てきた世界が違うのは私も同じで、両親が思っている以上に様々な世界を見て、考えて、色んな人に出会っている。両親が見たことのない世界を見ているときだってある。

世代によっては、当たり前だったことや当時の常識が変わることもある。そのギャップはあって当然だし、時代が進んで良くなったこともあれば逆に悪くなったこともある。だから、一概にどっちが良くてどっちが悪いかなど判断は出来ないことが多いのだが、父の場合は自分の意見に合わないものはすべて「悪」「間違い」なのだ。

そしてそれを自分の意見や考え方を間違ってると指摘されたところで、自分を「悪」と言ってる方が常識外れでおかしいと思っているので、なかなかのつわものだ。

最近の話だと、ツイッターで“ポテサラおじさん”の話が話題になって、朝の番組でも取り上げられていたが、父は完全に“ポテサラおじさん”側の人間だった。

私は、こんなのそれぞれの家庭の話なので余計なお世話だし、外部の人間がとやかく言うことではないと思っている。忙しくてたまたま食事を作る時間がなかったのかもしれない、お料理が苦手な人なのかもしれない、そのお惣菜のポテサラのファンなのかもしれない。

私も母の手作りのポテトサラダが好きだが、作ってみるとめんどくさいこともわかっているので、お惣菜を出されても文句は言わないし、それはそれで好きだ。

とにかく、あの話題に関しては「余計なお世話だぞ、おっさん」という感じなのだ。

しかし、その話題で父は

『ポテトサラダくらい作れよ～』と言い放った。

番組では、わざわざポテサラの作り方まで紹介していたのだが、『大量に作れって言ってんじゃないんだから、できるだろ』などという。

あぁ、わが家にもいた、ポテサラおじさんが。わかってはいたけど。

父は基本的に手作りが好きだ。祖母も手作り派の人間で料理上手だった。母も料理は上手なので、父が家庭の味が好きだということはよくわかっている。それは夫としても父としてもいいことだが、でもそのセリフはお前が言えることじゃないだろ、と。

まず、ポテサラ作ったこともないくせに、料理も作れないくせに、簡単に人を馬鹿にすんじゃねぇ！！！

さすがにカチンと来て「いや、それは他人がいうことじゃないでしょ」と言うと『そんなこと言ってたら、他人の子供が騒いでても注意できないだろ』とか言いだす。

いやいや、問題の次元がちがう。

全然違う。

えっ、

何言ってんだこの人。

それでも、この人は自分の意見が一番正しいのだ。

そして私は、この人の娘なのか…と思うと、なんだかもうげんなりする。

そして、こういうやり取りは一週間のうち少なくとも半分は毎朝行われる。朝一からものすごく精神的に疲れる。時に全否定されて意見がなかったことにされることもある。例え私の意見が正しくても。

あぁ、娘とは。私の存在とは。あの瞬間は私の存在などなかったことにされている気分になる。最近はもう基本的に反応しないと決めているが、あまりにもひどくてつい意見すると、大抵こういう結果になる。

こんなことになるなら私は朝の時間ほどテレビを消したい。（というか、そもそも私はあの番組が苦手なので、別の局の番組に変えてほしい）（でもリモコンの権利はいつも父にある）

平穏な心でいるにはどうしたものか。

朝の時間をずらしてみるのも手なのかな。

そういえば、父は絶対に自分は手のかからないおじいちゃんになれると思っていて、「自分は大丈夫だ」などと言っていたのだが、自分の性格を本当にわかってない。

家族みんな、絶対に手のかかるじじいになると内心思っている。

そして、介護者になるであろう私が「今まで面倒見てもらってきたから、介護して最後まで見届けるのは当たり前」と思うのはいいと思うし、実際そう思っているが、父は自分で「今まで面倒みてきてやってんだから、当たり前だろ」などと平然と言う。

両親には本当にお世話になってきたので、面倒を見るのは当たり前だとは思っている。だけど、父に対しては、実は正直

「あぁ、いつかはこのめんどくさいこの人を介護しなきゃいけないのか～」

と考えると憂鬱になることが増えてきた。

実際、こういう人に振り回されて介護をして心身ともに疲れ切った家族を沢山見てきているので、今から非常に不安だ。

まだまだ先の遠い将来、近い将来か。

どうなることやら。