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飲んだ酒は吐かない・2「DV・モラルハラスメント加害者の人物像」


前回「その1」では、DV・モラルハラスメントとは何かということと、モラルハラスメントには段階がある、ということについて、実体験を交えて解説しました。今回は加害者(ここでは、夫婦や恋愛関係にある男性から女性に対するDV・モラルハラスメントについて)の思考や行動について考えてみます。

まるで「金太郎飴」

8年前からアメブロで、私と同じDV・モラルハラスメント被害ツマである、多くのブロガーさんたちと交流していますが、各家庭の「モラ夫」(モラルハラスメントをする加害夫のことを指すことば。「モラ夫」とはいうものの大抵はDVもあることが多い)の行動は、年代や職業、国籍も問わず非常に似通ったところが多く、その反応や行動がどこを切っても同じ「金太郎飴」に例えられることがよくありました。

例えば

・自分中心で他者を省みることが全くなく、あり得ないほど空気を読めない

・自分の失敗や不都合もすべて家族(おもにツマ)のせい

・ツマが病気で寝込んだりすると、協力してくれるどころか自分も仮病や詐病で変なアピールをする

・お店や業者に対して尊大な態度を取ったり因縁のようなクレームが多い(そのせいで、家族も変な目で見られたり、とばっちりを受ける)

・一度決めた重要なことも自分の気分や都合で簡単に変える(家族の思いや同意は関係なし)

・些細なことで騒ぎ立て家族を巻き込み振り回す

食事中の態度や家族旅行での言動など、家庭内のかなり具体的な出来事についても、奇妙なくらい符合するところがありました。

一般的なレベルをかなり超えて「空気を読めない」「常識が無い」「人の感情が理解できない」という点では精神的な問題を疑いたくなる場合も多く、私の元夫の場合も、大学で心理学を教える立場にあった私の友人から、その可能性を指摘されたことがありました。

しかし、原因について知ったところで、それを改善したいかどうかは相手の問題なので、現にたった今その人と居ることで苦しんでいる家族にとって、原因を知ろうとしたり受診させて何らかの診断を受けることは、無駄ではないにしろDVやモラルハラスメント問題の直接の解決には繋がらないと思います。

身も蓋もない話ですが私は自分の経験から、DVやモラルハラスメントで結婚生活や恋愛関係を苦しいと感じているひとが幸せになるには、相手を改善しようとするべきではなく「別れる」一択だと考えています。

どうしてもその相手の言動を改善させて一緒に居たいとするならば、専門家(一般的なカウンセリングではなく、加害者向けプログラムを専門的に行っているカウンセラーや団体など)を頼ることですが、それも相手が同意し心から改善したいと思って継続しなければ意味がありません。そして、そうできる加害男性はごく少数です。


加害者について知る意味

では、ここで加害者の人物像や行動原理について考えるのが、相手を変えるためではないなら何のためかというと、被害者がこれまで背負ってきた(そして加害者側から強いられてきた)「自分が悪いから夫婦関係や家庭がこのような状況になっているという責任」が、負わなくていいものであることに気づくためと「私が変われば夫は良い夫に変わるのでは」という考えが、誤りであることに気づくためです。

「いつかは相手が変わって幸せに暮らせるのでは」とか「本当は良いところもある人なの」という幻想を取り払って事実を客観視し、そのうえで自分が今後の人生をどうしたいかを考えるためには、加害者の実像を知る必要があります。

私は研究者ではないので、ここで書いている加害者の特徴や思考は、専門的な研究に基づいたものでもなんでもありませんが、交際期間を入れると20年近く(元)夫を身近で見てきた経験、ブログを通じて同様の被害に遭っている多くの人からの生の声をもとにした、実際の加害者像といえます。

加害者について知るということは、相手の感情を理解する、気持ちに寄り添うというようなことではありません。
おそらく被害者になった人は、そのような気持ちで相手を理解しようと何度も試みてきたはずです。

それは普通の夫婦関係や恋愛関係においては当然の良い方法ですが、加害者となるような人物に対して、寄り添おうとすることは、より虐待を加速させることになり逆効果です。

状況を知らない人、DVやモラルハラスメントに関する知識のない人からのアドバイスが、被害者をより追い詰めることになるのは、この点を理解していないことが多くの原因です。

一般的な関係において少々険悪な雰囲気になっても、謝られ寄り添われたら、よほどひどいことが無い限り、多くの人はそれを受け入れ、同じように自分も優しい態度や気持ちを返そうとするでしょう。
それまで自分がひどい態度を取っていたとしたら、相手の優しい態度に対して多少の罪悪感すら感じることもあるかもしれません。

しかし加害者にとって、ターゲットとなった被害者は自分をどこまでも受け入れるべき存在なので、被害者自身の感情については全く考慮しません。(考慮できる素地が備わっていない、と言った方がより正確かもしれません)
寄り添われ優しくされても、それに感謝し自分の態度に罪悪感を感じるどころか、そうした被害者の態度は、まだ自分に従わせることができる、虐待しても良い、というサインにしかならないのです。

そのような受け取り方をなぜするのか、DV・モラルハラスメント加害者がどういう人間なのか、より詳しく見ていきたいと思います。


虐待に理由はあるのか

ひどい扱いを受ける被害者は、その理由をおもに自分の中に探します。常識的に考えて、何の理由もなくそのようなことをされるとは思えませんし、加害者は被害者に対し「おまえが**だから、こうするのだ」とその都度理由を挙げて責めるので、それを真に受けてしまうからです。

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