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『Lilac』作品解説

https://twitter.com/karindrops_nft/status/1667182408255275012

『Dignified like a flower』-花のように凛として-コレクション


私の『花凛』という名は『いつか凛とした花になりたい』と思いつけたものです。
コレクションの説明文にありますが、私の感性は祖母に育てられたものです。

父はとても厳格な人で、私に勉強を強要し、絵を描くことを許してくれませんでした。
祖母は花が好きで、いつも玄関に花を飾っていました。
ある日、玄関の花が変わっていることに気づかない私に祖母が言いました。
「いますぐ見てきなさい」と。
そして、私がその花を見に行くと、祖母はこう言ったのです。
「どんなに忙しくても、花が咲いていることに気づける人になりなさい」
その言葉を聞いてはっとしました。

それ以来、花が咲いていること、虫が飛んでいること、空の色…さまざまな小さな変化を意識して生活するようになりました。
世の中にどんなに美しいものがあっても、それに気付こうとしなければ何もないのと同じです。
だからいつも「目を見開いていれば世界はとても美しい」ということを、私は心に留めています。

祖母は生花の師範の免状を持っていて本当に花が大好きな人でした。
私は高校生の時から、毎年母の日と祖母の誕生日に祖母に花を贈っていました。
3年前に祖母が他界するまでの約20年間、40を超える花束・アレンジを贈ったことになります。
今年は紫、今年は白系、今年は明るく…と毎年花屋さんと相談するのが楽しかったです。
祖母が他界した時のお花の手配も私がしました。

6月18日が祖母の誕生日、7月2日が祖母の命日なので
今月はとにかくこのコレクションに力を注ぎたいと思っています。

今回の『ライラック』は実家の庭に咲いていたものを連想して描きました。
濃い赤紫の花で、背の高い子でした。

ライラックは札幌の花で、5月には大通公園でライラック祭りが開催され馴染みが深い花です。
来月生まれ育った札幌から秋田に引っ越すにあたって、この花が頭の中に浮かび上がってきました。

ライラックの花びらは通常は4枚です。まれに5枚のものがあり、「ハッピーライラック」「ラッキーライラック」と呼ばれ恋のまじないに使われます。

descriptionを載せますね。


『愛する人と永遠に一緒にいる魔法』
お気に入りの紅茶に砂糖を一匙、レモンを一滴加える。
そこに花びらが5枚のライラックの花を浮かべて、誰にも見られないように飲み干す。

女の子はいつだって魔女になれるの。

誰でもってわけではないわ。

「永遠を信じてる」ことが条件。

----私は?さあ、どうかしら。


私は魔女が大好きでよく描きますが、今回の子は果たして魔女なのでしょうか。
ティーカップには鍵穴が描かれています。秘密はどこにでも存在します。

私自身は『永遠を信じる』ことに何か憧れに似た感情を持ちます。

家族を亡くし実家を取り壊した時、雪解けの季節で花はまだ咲いていなかったので「花を失う」実感はなかったのですが、木々が折られていく喪失感は大きかったです。
細いライラックの木が咲いている姿を思い浮かべると、「折った」という感覚があります。

この文章を書いていて思ったのですが、永遠はないけれど、永遠を信じることはできるのかもしれません。
ティーポットが何故魔女の姿に似ているのか、花だけでなく紅茶と一緒に飲む理由は何か。

ティーポットの横に描かれているのはティーストレーナー(濾し器)です。
アンティークのティーストレーナーは装飾がとても美しく、紅茶を味わうだけでなく目で楽しむために使われていたのがよく分かります。

魔女の格好をするのも、様式にこだわるのも、全てがおまじないの一環なのかも…
と考えるとこの絵はどう見えるでしょうか。

絵の右上には星が浮かんで、蝶にも女の子の周りにも六芒星が描かれています。
永遠を信じた先には夜空が浮かぶ。ライラックの香りと紅茶の香りが交わって、魔法がかかる。

純白のドレスを纏う勇気はないから、クリーム色のワンピースに刺繍をして。

彼女はきっと願っているんでしょう。誰よりも強く。

とりとめもない文章になりましたが、絵から想いが伝われば幸いです。

この絵の中にも一つだけ5枚花びらの花がありますので探してみてください。
もしおまじないに使いたいのなら、見つけたことを秘密にしていてくださいね。


追記:作品についてお話ししているスペース、録音があるので是非聞いてみてください。


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