怪しい世界の住人〈龍神〉第五話「世の中にある龍の種類」
それでは前回の続きです。よろしくお願いいたします。
——春分には天に登り、秋分にはある淵に入り、夏を迎うれば雲を凌ぎて鱗を奮るう。これ、その時を楽しむなり。冬としなれば、泥に沈み潜まり蟠ってあえて出ず。これ、その害を避くるなり。
ここには龍が春夏秋冬の各季節にどのような振る舞いをするのこについて書かれています。ここの〈蟠る〉とは、とぐろを巻いた様子のことです……と、ここまでは龍の性格を現しています。次の部分では龍の種類について触れています。
——龍はすぐれて種類多し。飛龍あり。応龍あり。蛟龍あり。先龍あり。黄龍あり。青龍あり。赤龍あり。白龍あり。元龍あり。黒龍あり。
白龍、物を吐く時は、地に入りて黄金となり、紫龍、涎を垂るる時は、その色、透りて玉の如し。紫稍花は龍の精なり。蛮貊、販いで薬に入るる。
紫稍花は精力剤系漢方薬の一種です。蛮貊が買い求めて薬とします。蛮貊とは今の〈わんぱく〉の語源です。
——鱗あるは蛟龍なり。翼あるは応龍なり。角あるを亀龍と言い、また、虯龍ともこれを言う。角なきを陀龍と言い、またこれを蝋龍と言う。
また、蒼龍は七宿なり。班龍は九色なり。目に百里の外を見る。
これを名づけて驪龍と言い、優楽自在なる物を福龍と名付けたり。
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