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不幸のすべて・第四十話「節句の由来」

 前回は、

——祭礼の日は、身と心をつつしみて、物事にあたるべし。

 と言うところで終わりました。今回はこの続きです。宜しくお願い致します。

 さて、祭礼の日はいわゆる〈晴れの日〉です。この日には身と心を慎み物事にあたる必要があります。そしてこの日に着るのが〈晴れ着〉です。他の日に着る物ではありません。
 祭礼は季節ごとにやって来ます。祭礼とは節句や祭りの日を意味しています。
 一月一日は正月です。三月三日は桃の節句。五月五日は端午の節句。七月七日は七夕《たなばた》で、九月九日は重陽ちょうようの節句です。これを五節句と言います。
 五節句は節分(ニ月三日)を含む場合もありますが一月七日を節句としていました。
 五節句は年間の五つの節句のことです。正しくは正月一日ではなく正月七日です。この日は古くは〈人日じんじつの節句〉と呼ばれていました。この日に食べるのが七草粥です。そして、昔は七草粥もお節料理に入っていました。節句に食べるから〈お節料理〉と言います。すべての節句にお節料理がありました。
 三月三日の桃の節句は正確には〈上巳じょうしの節句〉と呼ばれていました。
 五月は子供の日ではなく、今でも端午の節句です。
 七月の七夕たなばたは古くは〈七夕しちせき〉と呼ばれました。
 そして九月九日は〈重陽ちょうようの節句〉です。この節句は、今はあまり見られません。
 これらの節句の由来は『金烏玉兎きんうぎょくと』と呼ばれる古い陰陽師文書の中に書いてあります。
 それは、

——しこうして牛頭天王、北天竺ほくてんじくに帰りて、まつりごとを立て、道を行う。

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