怪しい世界の住人〈狐族〉第四話「霊的な狐族の分類」
⑤ 霊的な狐族の分類
狐族が起こす現象として狐憑きが知られています。
多くの場合、狐憑きが起こると、憑依された人はとても偉そうな態度になります。そして、何でも知っていると言い始めます。また、体の一部に痼りのような物が発生する場合も多いです。
狐憑きをそのままにしておくと色々と厄介な現象が始まります。時には本人が衰弱して死ぬこともあります。また、まわりに攻撃をして怪我人が出ることも多いです。しかし、一番、厄介なのは、まわりの人の心を読んで秘密を暴露する部分です。それらには嘘もまじっています。嘘と真実が微妙にまじりあって独特の世界を作りはじめるのです。
暫くそれを聞いていると、まわりの人はだんだんと狐憑き言葉が区別出来なくなって、やがてすべての嘘を信じるようになります。すると嘘に惑わされて、人と人とが憎しみ合うようになります。これらを早い内に適切に対処しないと、人間関係が修復困難なところまで行ってしまいます。
まわりの人を混乱させる種類の嘘をつく人の傾向は、狐に憑依された人の傾向に類似しています。それらに適切に対処するためにも、まずは、この〈狐憑き〉と呼ばれる現象について少し理解する必要があるのです。
さて、霊的な憑依現象としての〈狐憑き〉には概ね二種類があります。それは、大別すると〈善狐〉と〈野狐〉と呼ばれる種類の現象です。
善狐は、どちらかと言うと、
——その性は良く、人に恵みを与える。
と伝わりますので良い狐です。
善狐と言うものの中には、金狐、銀狐、白狐、黒狐、天狐、空狐の、六つの種別があります。
金狐・銀狐は日月の化身です。別名〈ダキニ〉とも呼ばれています。
白狐は別名を〈神狐〉と言います。神狐は神の眷属ですので、
——良く人を導き、あるいは術を与える。
と伝わります。いわゆる、稲荷明神……お稲荷さんなんかはこれです。
黒狐は、北辰の化身と言われていて、
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