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メルカリ読書法に向いていなかった本

これまで読書を後回しにしがちだった私にとって良いライフハックだった、メルカリ読書法。メルカリ読書法とは、積読本をメルカリに出品して、売れてから発送するまでの期間に急いで読み終えるという、読書タスクの消化を強制的にドライブするやり方だ。

買った本はいつ読んでもいいので、他で忙しかったりするとついつい積読本と化してしまう。そんな場合はメルカリに売れる値段で出す。すると何故か読了できる。

そんな感じで、岩井勇気著『僕の人生には事件が起きない』も買った直後にメルカリに出した。すると数時間も経たないうちに、誰かに購入された。まだ購入してから1ページも開いていないのに。

発送目安以内に発送するため、土曜日の朝、近所のカフェに行ってロイヤルミルクティーを飲みながら読み始めた。

友人の前評判もあったとおり、面白い。一話一話が心に残る。エッセイというのはそもそも著者の何気ない日常の行動や思考を切り出したものなので基本的にどれも味わい深いものだけど、特に岩井さんの話は書かれているシーンが目に浮かびやすく、そのシーンの岩井さんと同じムズムズやモヤモヤを味わうことができる。

そんな話を数話読み進めながら、これをメルカリ読書法の対象にしたことを後悔した。こんなに面白い本なら、毎週何話かずつ読み進めて楽しみを継続させたかった。何度か読み直したりしたかった。なんなら売らずに所有してもいい本だった。

とはいえもう売れてしまったものは仕方ない。発送期日はジワジワと迫ってくる。

25のエッセイを一気に読み終えた。ぴったり2時間かかった。そのままカフェで梱包し、帰り道のファミマで発送を終えた。

しかし改めて考えると、じっくり楽しめなかったのは残念だったものの、この凝縮されたコンテンツをこんなに一気に脳に入れるのもなかな贅沢なことなのかもしれないと思った。それに積読が消化できるのは何より気持ちのいいことだ。

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