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【メテオストライク!】Vol.3 さっちょん編

再び京橋駅。それでもやっぱり大阪は見知らぬ土地だった。
俺は3件目の撮影に向けて、息を整えていた。

さっちょんさんという女性カメラマンのことは、Twitterと、2度ツイキャスを聞いた程度。初対面としては十分だろう。

「遅れてすいません!」

チャーミングな声とともに颯爽と現れた彼女は、とても高い重心で軽快に歩く人だった。スポーツをやっていたのだろうか。そうでなくても、秘めたポテンシャルが一目でわかる。微かな、確実な何かを感じて俺はワクワクした。

ツイキャスで聞いた地声との振れ幅もすごくて、その使い分け方に、礼儀正しさのようなものを感じた。

ただお仕事か何かの日にちを間違えていて、俺が1日予定をずらした。
さっちょんのお茶目さが3上がった。



打ち合わせ通りにホテルに向かい、和風の部屋を選んだ。まずはお茶の間スペースで一息。お互い自己紹介をし、撮影に向けてお互いのことを尋ねあった。

「もっと大柄な人だと思ってました」

彼女は、わずかばかりの俺のツイートと、猫撫さんの写真で俺を知るのみだったと思う。大きく見てもらえた。その感想は素直に嬉しかった。


ゴゴゴゴゴ…

ん?
なんだ?

何かが迫ってきていた。

ゴゴゴゴゴ…


目の前の彼女を見る。彼女は、これから始まる撮影について思いを巡らせながら俺と会話している。

至って普通だ。

だがその大きな気配は、確実にさっちょんから放たれていた。第一、他に誰もいない。俺は会話を続けた。写真のこと、性のこと、共通しそうな話題を探した。


これは…


その気配は、俺に向けて放たれたものではなかった。というか、彼女は放ってすらいなかった。邪気がない。ネガティブなもの、どす黒いものではない。誰にでもある負の感情をこのタイミングで持ち込んでも、別に写真は良くならない。彼女はよく承知している。

でも彼女の肩の後ろに開いた次元の穴から、メテオストライクのようなものが迫ってきていた。彼女は気付いていない。


その隕石の質量は、俺の人生のMAXを遥かに超えていた。


でも俺は、両手を広げて受け止めなければいけない。そう直感した。たとえダメージが残っても、腕がちぎれても。俺が彼女との撮影を楽しむためには、避けることはできない。俺はくる衝撃に備え、下っ腹を中心に全身の筋肉を締め上げた。


来てくれさっちょん
俺は、俺のありったけの命で応える


もちろんこれは、そのとき俺が本能で感じたことを半月後のいま振り返って、抽象化した表現(具体化ではない)だ。俺が俺を爆発させる燃料をかき集めていたその時、彼女はあの会話を全く違う風に感じていただろう。点火点はそれぞれ違っていたように思う。




撮影は、濃密な気で満たされていた。お互い興奮しているのがわかる。

俺は背後から突かれ、勃起し、喘いだ。
ペニスを乱され、背中を乱された。
弱点は易々と見つかってしまった。

その背中をさっちょんはどう見ていただろう。出来上がりの写真を見ても、彼女の網膜に映ったものはわからない。彼女に映った自分を想像して、喘いだ。




撮影が終わり、若干お互いどう接していいかわからんくなっていた。
でもすぐ打ち解けて、少し笑った。

少しは彼女に、俺の一部を捧げることができたかな。
自信を持っていいと思えた。



後日データが送られてきて、俺は意外にも「もうちょっといけたな」という感想をもった。

射精とまではいかなくても、彼女となら、もっともっと気の濃度は上げられるだろうと今は思う。思いがけず次の領域に進んで、知らない地形に足を踏み入れて、自分の準備不足を知った。

でも成長の機会って、そうやって訪れると思う。
彼女とでなければ難しかっただろう。
とっても感謝している。

次は
目一杯準備して、その断崖の下におりよう。
そして必ず、共に生還しよう。

「もっと格好いい写真を撮る」という、どこまでも具体的な成果を通して!