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【エッセイ】パンダファン

一昨日くらいだろうか。夕方のTVで、

上野動物園のジャイアントパンダ、リーリーとシンシンが中国へ返還さ   れることになり、先ほど2頭が成田空港を出発した、

という内容のニュースを見た。

寂しい気持ちになりつつ、でもなんだかほっこりもする内容が流れたことに、ひときわ目を惹いた。


私自身も、何年か前に上野動物園のパンダを見に行ったことがあり、何時間も行列に並んだ記憶がある。

確かに、上野動物園の最注目はパンダだったように感じた。だが、今回のこのニュースを見て、正直パンダにこんなにも多くの熱狂的なファンがいたとは知らなかった。


今考えれば、当時私が行ったとき、あんなにも大行列を成していたのは、もしかしたらその多くはパンダファンが幾度となく行列に並んでいたせいなのでは?と思い、そう考えるとちょっとだけイラっとするが、ただそれだけパンダという生き物は何度も見たい存在なのだということを改めて知った。


TVの映像では、開園前の夜中から並び、展示ガラスに自分が映らないよう全身黒い服を着て準備を整えている人が大勢いた。毎日来ている人は、きっと今の人生をすべてパンダに捧げているのだろう。


私は素朴に、毎日上野動物園のパンダを見に来ている人は、仕事とかのその他の生活はどうしているのだろう?ということが気になってしまう。

誰か(何か)に会いに行くためには、絶対に何かを犠牲にしなければならないのだから、彼らはパンダに会うに生きている、といっても過言ではないように感じる。


そんな、小さな大きな覚悟を持ってパンダを愛しているのだと思うと、私は彼らを心底尊敬する。

そんな人生もあるんだぁとまた一つ見える世界が広がった。

なぜなら、私はそこまでして時間と労力をかけて好きなもののために毎日同じ行動をすることはできないから。

だから、同じくディズニーファンやアイドルオタクとかも凄いなと思う。


私はモフモフしていてタレ目でカワイイなぁとぐらいしか思わないが、それでも一時期小学生のときにパンダの文房具を持っていたので、好きになる理由は分からなくもない。


ただ今回のニュースで、パンダファンが別れの涙を流しながら空港で見送っているのを見て、そういう人たちがたくさんいたことを知ることができた。

そうか、それだけパンダは魅力的な存在なんだ。


だからどこかには、また違う動物の熱狂的なファンもいるんだろう。

そのことは一体どこで知れるのだろう。