第二回座談会④小野寺里穂「人間視点の犬が出演する退屈、否定的に現れる予兆、存在しない出来事の演出」
小野寺:最近、コロナで外国の舞台の映像を色々見るんだけど、犬が舞台に上がってる率って高いんですよ。大きいプロダクションだと、お金もあるし。でもそこで出てくる犬は、あまりにも訓練されている。『パレルモ・パレルモ』でも、犬が出てくる場面では、舞台上に置かれた餌を静かに食べる。ロメオ・カステルッチの『神曲——地獄篇』でも、冒頭でカステルッチが防護服を着ていて、犬がカステルッチを噛む。めちゃくちゃ統率のとれた犬が出てくるんだけど、それは「犬じゃない」(笑)私が思う犬じゃない。「犬じゃ