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⑬英語の過去形

英語の(助)動詞は、状況に応じて「形」を変化させますが、どんな時に「過去形」を使うかご存知でしょうか?



語形変化

動詞は、原形・過去形・過去分詞形のように、語形変化します。
言い換えると、動詞の「形」が変化します。
例)go - went - gone



1.過去の出来事

「過去形」が表すこととしてまず思いつくのは「過去の出来事」ではないでしょうか。


「過去」形
なのだから、当然だと思われるかもしれませんが、過去形とはいくつかある「動詞の」のうちのひとつです。

過去形が表すのは「過去の出来事」だけではありません。


現在」のことを表す場合もあるので要注意です。



2.丁寧さ

特定の表現において、(助)動詞を過去形で表すことで、丁寧な印象を与えることができます。
*すべての文にあてはまるわけではありません。

例えば
I'm wondering if you could give me a hand.
のように現在形の am を使うよりも

I was wondering if ….
のように過去形の was を使う方が丁寧な印象の文になります。

注)I am[was] wondering if …. は「~かどうかと思う」という意味




3.確信度

(助)動詞を過去形で表すことで、確信度が下がります。

例えば
He may be busy.
のように現在形の may を使うよりも

He might be busy.
のように過去形の might を使う方が確信度が下がります。

注) may[might] は「~かもしれない」という意味




共通していること

この3つに共通することは何でしょう?

「過去形」にすることで「距離」が生まれます。

1.の「過去の出来事」は「現在」との距離

2.の「丁寧さ」は「相手」との距離

過去形にすることで距離感が生まれ、その分、間接的で丁寧な表現になります。

『表現英文法』田中茂範著 コスモピア


3.の「確信度」は「現実・事実」との距離
仮定法もそうですが、過去形にすることで確信度が下がります。

推量を表す表現で、can、may、will の代わりに、could、might、would を使うと、確信度が低い、控えめな推量になる。

過去形 might を使った文は仮定法の文。「実際には違うかもしれないのですが…」というニュアンスを含む控えめな表現になる。

『ビジョン・クエスト総合英語』 野村恵造監修 啓林館



私は英語講師ですが、数年前英文法の授業で助動詞について説明していた際、このように質問されました。

「どうして、過去形にすると丁寧になるのですか?」


そのときは「ルールだから」としか答えられず、ずっとひっかかっていたので、「距離」が関係していると知ったときはとても嬉しかったです。


私が学生の頃は、あまり理由は考えず公式のように覚えるだけでしたが、最近の文法書には理由も書かれていることが多いので、学習しやすくなっていると思います。




現在形

「過去形」で思い出しましたが、以前授業中にある生徒に「現在形が表すのはいつですか?」と尋ねると、「そんなこと当たり前でしょう」という顔で「現在」と答えたときは「(その人が新しいことを学ぶチャンスなので)ラッキー!!」と思ってしまいました。


もちろん正解も嬉しいのですが、不正解の後で「へ~!!そうなんですか!!」と言われるのも嬉しいです。

「現在形」は今この瞬間ではなく、もっと時間の幅を持っています。


文法用語は言葉通りでないこともあるので、注意が必要です。


よろしければ、こちら↓も参考にしてください。


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