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テレビドラマ偏愛

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無意味な騒ぎと暴力それが90年代ってことか『95』

無意味な騒ぎと暴力それが90年代ってことか『95』

完走!90年代の空気感の再現、そこにいてくれる中川大志の途轍もない魅力、は一話から最後まで変わらず良かった。

ただ何というか内容としては本当に無意味というか、無意味で問題の解決に到底ならない騒ぎと暴力がひしめいていて、まぁそれが90年代そのものなんだろうな……という諦めと共に観るという感じ。そのくせラストのカラオケシーンで回想が流れてくるとつい「無茶苦茶だったけど最高に濃厚な思い出ができたな」と

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判断保留で『新宿野戦病院』

雑であることを台詞の中で自己言及までしているので、それがドラマ内で触れられるあらゆる「重い」とされるテーマ(外国人労働者、性的搾取、戦争、医師と生死、ジェンダー)をかなり手荒に扱うことのエクスキューズになっている。とするか、なっていないとするか。を視聴者としてはどこかで決めないといけない。

けれども、ちょっと現状では「エクスキューズになっている」と言えるかどうかまだ判断がつかないと感じています。

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多分全部聞けてなくていいんだよね『木更津キャッツアイ』

多分全部聞けてなくていいんだよね『木更津キャッツアイ』

言わずとしれた名作、ですが初見です。

果たしてこの作品かどうかは定かではないものの、初期クドカン作品をぼんやり流し観ていて毎度思うのは「聞き取れない」である。彼らのコードをインストールしていない状態で物語の上をぼーっと運ばれている間は、聞けない。これって、かつてこの言葉遣いをゴリゴリにしたことのあるヤンキー的なキッズメモリーのある人ならすんなり聞けるのだろうか。どうですか?興味深い。

ドラマで

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手稲手稲手稲『海のはじまり』

テーマは良いし先も気になるのだけど。このテーマならもっと面白くもっと軽くもうほんのちょっと下品に観ながらたまに心を激しく動かされたりとか、したい。そういう料理の仕方もあると思うのだよなあ。

丁寧、丁寧、丁寧の連続は本当に面白いのか?とどうしても疑問に感じてしまうのだけどまあ心地の悪さは常にないからそれでいいのか。それでいいのか?ワンシークエンスがどれも本当に長くて時々なんとなく目を逸らしてしまう

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枠を埋めるためだけに作った?『イップス』

バカリズムが出演しているのだけど、バカリズムはどんな気持ちで出ているんだろう。絶対に、自分が書いた方が、面白いのに?それだけが延々と気になってしまうからバカリズムは面白くないドラマには出ない方がいい、というかみんな出ない方がいいんだけど、とにかくバカリズムの思いが気になる。これに出演されている時間をぜひ脚本活動にあてて、とか言うのは流石に出過ぎているんだけどとにかくそういう気持ちにしかならない。も

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恋愛圧が強すぎて辛かった『9ボーダー』

恋愛圧が強すぎて辛かった『9ボーダー』

19、29、39の三姉妹がそれぞれの人生の躓きに奮闘する話。とても良いテーマで素敵な俳優陣で、三姉妹のキャラクターも愛せるもので描かれる躓きもそれなりにリアリティがあって良さそうなのに、とにかく全方面で恋愛圧が強すぎて非常に嫌いだった。本当に残念。

とにかく一生懸命はたらく川口春奈が、そのままで十分に輝いていて可愛くて素敵なのに、延々と「仕事ばっかじゃ潤いないよね」みたいな呪いの言葉をかけられ続

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え5分で終わりませんでした?『滅相も無い』

え5分で終わりませんでした?『滅相も無い』

良くも悪くも体感5分だったんだけど私だけですか?なんじゃこれは?なんじゃ?なんなんじゃ?と思いながらぎゅーっと画面見つめていて、ああここらで三分の一ぐらいか、次の人の説明かな、と思ったら、終わった。え?

変なんだよ加藤拓也作品って。変すぎて現状まだ感想無い。穴がきもい!中川大志の劇中劇上手い!俳優陣が芝居が本当に上手な人達すぎて見てるこっちも緊張するな?あ!堤真一だ!あ!穴、キモッ!そんな感じで

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不穏と法定エンタメがいい具合に同居してる『アンチヒーロー』

不穏と法定エンタメがいい具合に同居してる『アンチヒーロー』

日曜劇場の中ではかなり好き寄りかも!終始絶妙に不穏なのがとても良い。ポジティブすぎる暑苦しい系努力モノとか、声がとにかくでかい男性対立モノはあんまり好きじゃないんだけど、長谷川博己のダークな癖強キャラ像は面白がりながら見られそう。

殺人容疑のかけられた岩ちゃん、岩ちゃんて本当にかっこいいよねLDHの中で唯一出てきてテンションぶちあがる俳優だわ(すみません)あ何の話でしたっけ、そう、殺人容疑のかけ

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記憶障害×脳外科医がテーマでありながら地に足のついた人間ドラマ『アンメット』

記憶障害×脳外科医がテーマでありながら地に足のついた人間ドラマ『アンメット』

上質な医療ドラマ。ちょっと毛色は違うけれども『監察医朝顔』の系譜ではあるかな。風間俊介繋がり。

脳外科医の話、でありながら障害を持つ人がどうやって諦めずに自分らしく生きていくか、をテーマにした一話でとても良かったです。一日の記憶がリセットされてしまうけれども過去の記憶や技術は蓄積される主人公、という特殊な境遇に置かれた話でありながら、ここまで地に足のついた物語になるって実は凄いことだと思う。

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95年の空気と色気をにじませる画が最高に良い『95』

95年の空気と色気をにじませる画が最高に良い『95』

やばい!超面白いの見つけた!完全にノーチェックだったがテレ東60周年記念作品『95』まじ素晴らしいっす同世代全員観て!

1995年地下鉄サリン事件発生の頃に高校生だった主人公が、2024年に現在、その頃についての取材を受けながら当時を思い起こす構造。サリン事件の当時の報道映像とかも交えながら、ノストラダムスの大予言で1999年で世界が終わると信じていた10代の感覚とか、とにかく映し出されている要

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大味版Nのために『Destiny』

大味版Nのために『Destiny』

入り、もうめちゃくちゃに『Nのために』意識してるじゃん。つまり『最愛』の遺伝子じゃん。過去のリリカルな青春時代と大人になったシリアスな現在との行き来。その間に横たわる謎、そして秘めた愛。そうゆうやつ。

と思ったわけですが、一話を最後まで見た感想としては「大味すぎる!テレビ朝日版・Nのために&最愛」ということで良いのではないでしょうか。良くも悪くも、大味ではある。でもちゃんとツボは抑えていて面白い

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ちゃんと深夜に活動する深夜ドラマ『RooT』

ちゃんと深夜に活動する深夜ドラマ『RooT』

純子ー!純子ロスの私とみんなへ朗報、河合優実が今クールも見られるよ!純子は死ぬほど可愛かったけど今回の玲奈は死ぬほどお洒落。存在がお洒落だよな河合優実って。そして声が良い。声がお洒落。好きだわー。

河合優実目当てで観たけれども内容もなかなか良い。まさに深夜ドラマらしい深夜ドラマ。物語の時間帯も深夜だしね。オッドタクシーの世界観と地続きになってる探偵ドラマという設定もなかなか面白いけれども、オッド

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焦りドラマ化ぽいが悪くはなさそう『瓜を破る』

焦りドラマ化ぽいが悪くはなさそう『瓜を破る』

珍しく原作漫画を読んでいるので先の展開を知っているのだけど、割と良さそう。

性経験がないけどいわゆる典型的喪女とかでは無いごく普通の女性が主人公なのが良いです。性経験のありなしってやたらと人間性とか生き方とかに寄せて語られがちだけど、別に普通に「何だかんだディズニーランド行く機会ってなかったな?」「意外とジブリって観たことないんだよね」「蕎麦打ちはやったことがないです」みたいなレベル感で全然ある

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クドカンの腹括った闘い『不適切にもほどがある!』

クドカンの腹括った闘い『不適切にもほどがある!』

今回唯一の本命、宮藤官九郎脚本。流石に、これは、面白いだろ!!!

週刊文春のクドカン連載が大好きで買った回は必ず読むのですが、そこでちょくちょく「いまこの時代」に対する何とも割り切れない思いが吐露されていた。それは紙媒体でなければ場合によっちゃあ変な読み方をされてしまいそうな表現もありつつも、ある種切実な昭和生まれ男性の真摯な葛藤だと思って読んでいた。そのもやもやが吟味に吟味を重ねてドラマに!な

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