![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129696715/rectangle_large_type_2_6d2084baea7162366a99d119a820dc0b.jpeg?width=800)
「乱視の種類に合わせた適切な処方目安とは?」
眼鏡測定の時、乱視には大きくわけて3種類の属性に分かれます。
乱視処方をする時に、この属性を理解していないと失敗しやすくなります。
しかし、逆を言えば「知ってさえいれば」ほとんど失敗することはなくなりますので、
ぜひこの属性の対策、その方法を知っておきましょう。
まず乱視にはいろんなタイプがありますが、眼鏡処方の際、3種類の乱視を知ることで、
近視や遠視との複合した処方に対応しやすくなっていきます。
乱視の種類その1
直乱視
直乱視は軸度で言えば、0~30°もしくは150°〜180°の場合を言い、
ものが縦に伸びて見える性質があります。
縦に伸びる性質上、目を細めれば見えるタイプの乱視なので、
お客さんには、指を2本縦にずらして
「目を細めればこれが潰れて1本に見えるんですよね。でもそれだと疲れるので少しの乱視量を入れることで楽に見えることがありますよ」
と説明することで「なるほど」となり、
その後体験して「納得感」を得ることができます。
普段から目を細めて見るクセがある直乱視の方には、完全矯正値の3分の1を目安に処方すれば慣れやすく失敗しにくくなります。
例えばKBに乱視がC-0.5入っていて、完全矯正値の乱視がC-3.0だったなら、
目安の三分の一はC-1.0なので、そのぐらいまでは度数を変えても慣れやすいでしょう。
直乱視の方は普段から目を細めて見える乱視なので、完全矯正値の三分の一を目安に、
お客さんがそこからどれだけ望むか?を話し合って決めましょう。
乱視の種類その2
倒乱視
倒乱視は、
角膜の形が左右から押しつぶされたような楕円形に歪んでおり、乱視軸が60°~120°の場合を言います。
イメージとしては横にものがダブル感じなので、目を細めても直乱視ほど見やすくなりません。
ですので、わりとしっかりめに乱視を入れてあげる方が「見やすくなった」と言われることが多い感覚ですね。
処方数値の目安は完全矯正値の二分の一以下です。
例えばKBの乱視がC-0.5で完全矯正値がC-3.0ならC-1.50くらいまでが慣れやすい目安となります。
もちろん「それ以上見たい」と希望があれば、歪みなどのデメリットを体感してもらいながら可能な限り変化させてみるのも良いでしょう。
乱視の種類その3
斜乱視
乱視の軸方向が30°~60°、120°~150°方向を斜乱視といいます。
こちらの乱視も倒乱視と同じで、目を細めても見えにくい乱視とされるので、処方数値の目安は二分の一です。
ただし、注意点として「初めて斜乱視を入れる場合は、三分の一程度に抑える方が無難」です。
斜乱視は、片目の場合はマシですが、両目とも斜乱視だった場合、見えやすくなる半面、平行感覚に違和感が出ることが多いので、
いきなりの場合は三分の一程度に抑えて様子を見て、KBに元々入っていた場合は二分の一を目安に少しずつ変化させていけば失敗しにくくなります。
別動画でも解説していますが、「斜乱視の軸度は絶対に変化させるな!」という注意点があるので、ぜひそちらも見ておいてください。
ひとまずはこの3つの
乱視の法則を知るだけで、遠視だろうとミックスだろうと恐れることはなくなります。
少しだけ近視や遠視に、乱視があった場合のお話もしておきます。
例えば近視と乱視を組み合わせた処方に関しても、基本的には近視は完全矯正値やKBをベースに考えます。
特にKBの使用年数が長い場合は、その使用年数の「慣れ」をベースに近視の数値をどれだけ動かすのか?
乱視の数値をどれだけ動かすのか?を考えます。
例えば長年使用したKBに全く乱視が入っていない場合や、
眼鏡をほとんど使用していない場合などにはあえて乱視を入れずに処方することもありますし、
近視量が限界まで入っていて、それ以上の見え方を求められた場合などには「乱視の法則」を考えながら処方します。
特に老視が入ってくる年代の方には近視を変化させることで遠近感の見え方が変わります。
老視を意識した処方に関してはこちらの動画にまとめていますので、参考にしてみてくださいね。
遠視に乱視があった場合は、基本的にはS面はKBベースで動かさずに乱視の法則を適用させましょう。
最小錯乱円の動画を見れば遠視やミックスも恐れることはなくなりますが、
考え方は簡単で、
KBのS面とC面の数値を今回測定した完全矯正値から引いた数値の半分を
KBに上乗せすれば基本的には「よく見える」と言われます。
ちょっとよくわからないと思うので例を挙げます。
例えばKBがS +0.5 C+0.5 だった場合で(軸度はとりあえず無視)
完全矯正値がS +2.0 C+2.50だったとします。
完全矯正値からKBの数値をそれぞれ引くと、S+1.50 C+2.0なので、それをさらに半分にした数値S+0.75 C+1.0をKBに入れる目安となります。
なので、この方でしっかりめに処方するならS+1.25 C+1.50ぐらいで見てもらい、あとは「見たい距離」に合わせて微調整していく感じですね。
なんでそうなるの?って思うかもしれませんが、詳しく説明するほどわかりにくいので、とりあえずこの方法を覚えておき、興味があればご自身でも調べてみてください。
算数みたいなもので、深く考えるほど余計わかりにくくなりますよ。
遠視処方に関して
個人的には、KBがあり、年数も三年以上使用して来た遠視のS面は2段階以上変化させると「遠方が見えにくい」と言われることが多かったイメージです。
3段階以上プラス度数寄りにする場合は、「遠方よりも近方を重視したい方」ならOKだと思います。
遠視とミックスは、大して考え方は違わないので、同じように最小錯乱円を知っておけば、
あとは乱視の軸度法則と合わせれば悩むこともなくなってきます。
今回の動画をまとめると、
・乱視の法則を3つ知っておけば乱視量の目安がわかる。
・遠視、ミックスは最小錯乱円の計算を知っておけば目安がわかる。
乱視は属性がわかれば対処も簡単です。
測定で大切なのは「KBの使用年数と慣れ」をベースに考え、「今回はどうしたいか?」ということです。
そのベースがない場合は法則を適用していきましょう。
お客さんが、前回の眼鏡と新しく希望する見え方を比べてどうしたいのか?を聞き取ることに注力しながらヒアリングして、
望む見え方に近い提案をしていきましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?