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「眼鏡処方は問診力が7割」処方精度を高める問診力とは?

眼鏡の処方は問診が7割、知識3割だと僕は考えます。

なぜなら、どれだけ優れた知識や経験も出口を間違えればなんの意味もないからです。


特に眼鏡屋の測定という仕事は、メニューがたった一つしかないレストランと同じように

「美味しい料理」=「よく見える眼鏡お願いします」と言われて、初見で「かしこまりました、ウぃィームッシュ!!」と言わなければならないからです。

もし、レストランならとてつもないムチャブリですが、チェーン店の眼鏡屋では「早い、うまい、やすい」を提供しなければいけないんですよね。

もちろん1時間くらいじっくりと時間をかけて、隅から隅まで測定し、ウン万円の眼鏡を購入してくれるなら

それも可能でしょう。

同じ眼鏡屋でも販売形態が違うので、そこに優劣などはないと思いたいですが、

やはり時間をかけて問診と測定できる眼鏡屋さんには「チェーン店の眼鏡屋の測定なんて〇〇だな」と思われていることもあるでしょう。


しかし、ここで腐らず、「時間をかけて測定できる眼鏡屋さんのクオリティ」に近づけることができれば、すごいと思いませんか?

レンズのランクはどうしようもありませんが、チェーン店の眼鏡屋にはチェーン店の戦い方があるんですよね。


そもそも測定の基本形は、測定データに基づいて「完全矯正値」を入れるのがベターです。

しかし、レンズランクの違いがあるので、レンズの歪みを抑えるために、少し弱めた矯正をすることが多いと思います。

それ自体はお客さんも「そこそこのコストで済ませたい」という考えがあるでしょうから、

別に問題はないと思います。

ここで間違えたくないのが、「安い眼鏡だから測定もしょぼい」と思われることです。


「よほどむずかしい測定でない限り、単焦点ならそこまで差は出ないはず!!」

というのが僕の考えです。


もし、差が出るとしたら「問診力」の違いです。

ここが熟練の眼鏡屋さんや眼科さんにも勝てる要素になります。


「問診」は、長ければいいわけでもありません。

しかし、短時間で主訴まで辿り着くには「質問する力」が必要です。


例えば、「今回新しく作る眼鏡は、今の眼鏡と比べて何をどうしたいですか?」のような質問です。

この質問は「今の眼鏡の不便なところ」を確認できなければ同じ度数で作成、

または視力確認程度で終わります。

もし不便がある場合も、「では遠方は不便がないけども近方の見え具合を解消したいということですね?」と

遠方はほぼそのままキープする方向で進められます。


たまに、「遠くも近くもよく見えてるのかわからない」と言われることがありますが

そんな方にも、「ではこの眼鏡でどこを見ることが多くなりそうですか?」と質問し

生活環境をイメージしてもらえば、「今回は何を見る眼鏡を作るんだ」と認識してもらうことができます。

正直、主訴ぐらいなら、ものの30秒もあれば聞き出すことは簡単です。


しかし、人には自分でも気づいていない隠れた「副訴」というものが存在するので、

それは測定をしながら主訴をベースに考え、隠れた副訴にアプローチしていくと良いですね。


このように「聞く力」と「質問力」を合わせることが質の高い「問診力」となるのです。


そして、僕が勝手に問診力のランクをつけるとしたらこんな感じになりました。

Sランク エスパークラス 
Aランク 会話のバランスが良い
Bランク 話は聞けるが引っ張られる
Cランク 自分の話が多い
Dランク 話が噛み合わない

まずDランクは、お客さんと話をしていても主訴が汲み取れず、こちらの処方も理解してもらえない状態です。

この状態は、少し話が多いお客さんが来たらパニックになり、必要な情報を自分の中でまとめることが苦手な状態ですね。

まずは「必要な情報のみを組み上げる聞く力」と「説明する力」を育ててみましょう。  

聞く力は測定の基本であり奥義です。

ここに説明する力を加えることで、自然と会話のキャッチボールはお互いに取りやすくなりますよ。

                              

次にCランクは、少し経験を積んだことによる思い込みと流暢な口振りでお客さんを丸め込んでしまうタイプです。

なんとなく「できている風」には見えるでしょうけど、少し間違えれば「言われるがまま作ったけど、なんか違う」など

満足度が低くなることが考えられます。


なぜ自分ばかり話してしまうのか?

それは「常にこちらのペースでいたい」という不安の現れです。


そんなあなたには「質問力」の動画をおすすめします。

良い測定はお客さんとのコミュニケーションバランスが取れています。

理想的なのは測定者6割、お客さん4割くらいです。

元々ペースを握るのが得意なあなたは、少しの質問力を身につけ

今まで9割だったところから6割のペースに落としてみましょう。

ただペースを落とすだけではなく、測定の本筋から逸れない程度に誘導して、お客さんが今回の処方を理解しているような言葉を

引き出せると完璧ですね。

余談ですが、販売になった時は、この比率をお客さん9割、自分1割にすると売れやすくなります。


次にBランクですが、お客さんの話を聞くあまり本筋から逸れてしまい、現在地がどこかわからなくなるタイプですね。

お客さんはとても親身に話を聞いてくれるあなたのことを好きになりますが、

コストパフォーマンスが悪すぎると、一緒に働くスタッフから煙たがられることも出てくるでしょう。

話を聞くことはとても良いことですが、測定中はあくまで測定者が迷宮のナビゲートをしなければ

ゴールに辿り着くことは出来ません。


お客さんの話が止まらないとしても、「ここだ!!」というところで会話の縄跳びに入り、

「で、〇〇なんですけど」と話を本筋に戻す力わざが必要です。

うまい具合に話をぶった斬ることは、そこまで不快な思いをさせることはありません。

そもそも測定中お客さんは、こちらが説明したことに対する理解度を話すくらいのはずなので

あまり関係ない話が多い場合は「クロージング」の動画を参考にしてみてください。

話を聞く割合とコストパフォーマンスの両立ができれば、もうすぐあなたはAランクです。


Aランクのあなたは、会話のバランスもよく、スピード、処方精度、コストパフォーマンスにも優れていると思います。

もし、問題があると言われれば、話のバランスが良すぎるが故に寄り道提案に力を注げなくなるかもしれない点です。

例えば、最短ルートでゴールに辿りつけそうなので隠れた副訴を掘り起こさず、そのままゴールしてしまう。

みたいな感じですね。

もちろん話の流れで副訴に辿り着くこともあるでしょうが、

自らの意思で辿り着くことを忘れ気味になることがあるので、よければ意識してみてください。

おすすめの動画は、「ペーシング」です。


そして最高ランクのSランクですが、そんな人はいません。

なぜなら、それはお客さんがあなたを評価するからです。

もしあなたが「なんで私の考えてることわかるの?」と言われることが多くなって来たら

知らないうちにSランクになっているのかもしれませんね。



さて、あなたは自分でどこに当てはまると思いますか?

まずは自分で自分を分析することがとても大切です。

自己分析ができれば、あとは少しずつ修正していくのみです。


いくら時間をかけても、問診ができていない人が多いことも事実です。

あなたはこの動画を見たことで、少なからず問診の重要性を考えたはずですよね。

問診は「ただ症状を聞くだけにあらず」

その症状とあなたの経験をリンクさせ、

さまざまなアプローチを考えながら、「主訴に届く提案」ができるようになれば

「所詮チェーン店の測定だからな」と言わせないぜ?

と思うことができますよ。


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