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眼鏡測定で初心者からベテランまで聞きたい質問回答15選

今回は

眼鏡測定に関してよく聞かれる質問回答を15個、箇条書きでまとめてみました。

1. レッドグリーンやクロスシリンダーテストの切り上げタイミング

2. 乱視の軸度をどこまで変えて大丈夫か?

3. 遠近両用と中近両用の提案を切り替えるタイミング

4. 加入度数を決める際の考え方

5. 瞳孔間距離が測定値とKBの差がある場合の対処法

6. 強度近視の度数を変化させる適切な範囲

7. 不同視の度数合わせで気をつけるポイント

8. 初めて累進レンズを使う方への鉄板説明

9. 測定の必殺クロージング

10. 「前の眼鏡の方が見やすかった」と言われた時の対応

11. KBと新しい測定結果に大きな差がある場合の処方決定方法

12. 下方視が苦手な方への処方

13. 遠視の便利処方

14. 近々両用の処方ポイント

15. 乱視軸が左右で大きく異なる場合の処方決定方法

それではサクサク解説していきます。



1. レッドグリーンやクロスシリンダーテストの切り上げタイミング

よくひたすら赤、赤、赤とか

2.2.2みたいに同じ回答ばかりなる場合がありますが、

そんなときは3回目に同じ回答になった場合は次の測定に移ります。

同じ回答が続きすぎる場合は、正しく測定の意図が伝わっていないか、目の異常が考えられるからです。

例えばレッドグリーンの説明をするときに、赤か緑のどちらがハッキリ見えますか?と言いがちですが、

僕の場合は、「赤と緑の色は同じくらいの濃さに見えますか?どちらかが濃く見えますか?」と質問し、

「ではこれで同じくらいに見えますか?」という感じで進めていってます。

2. 乱視の軸度をどこまで変えても大丈夫か?

基本的に慣れられそうならKBから15度以内の変化にとどめて、

逆軸などの場合は乱視量が0.25とかなら今の軸度に合わせ、

0.50以上入っていたら元の軸度から変えないようにします。

前提として、本人が困っていなければ軸を動かさないですし、

視力が出にくい方が見えることを求めた場合かつ、

視力が大きく伸びる場合にだけ軸度は変化させます。

理由としては、本人が望むことで脳が慣れる力を働かせるからです。

3. 遠近両用と中近両用の提案を切り替えるタイミング

加入度数のボーダーラインを1.75として、年齢の適正加入度数を超えている場合で、

パソコンなどの中間視野を広く取りたいと希望があったときに中近への提案を考えます。

まず、遠近のように運転はできなくても良いかの確認をして、

「それはムリ」となったら過矯正を抑えた度数を試したりショートタイプの累進帯を試してもらいます。

あくまでも遠近の限界を説明して、それでOKなら遠近で処方。

運転できなくてもOKなら、「どこまで遠方が見たいのか?」の質問に切り替えて、

2メートル以上は確保したいなら遠方寄り設計の中近を提案、

2メートル以内なら近方寄り設計の中近で提案します。

歩けなくてもいいなら近々への提案もいいかもしれませんね。

4. 加入度数を決める際の考え方

加入度数の平均数値を覚えておけば測定数値が異常だった場合でも気付きやすくなります。

加入度数の平均値は次の表を参考にしてください。

測定をしていて、KBに入っている加入度数がすでに年齢の平均加入度数を超えている場合どうするか?

その場合はまず、

ショートタイプの累進帯を試す、

過矯正を下げる、

遠方度数を緩めに設定して

視野を確保する、

違う用途の設計を試す

これらを試しても、「やはり運転はしたい」といった要望がある場合はやむなく

「加入を上げる」という処方になるかと思います。

安易に加入度数を上げたりするのではなく、加入度数は1.75までをボーダーとして、

1.75以内に収めることを第一に考えながら処方していくと、

うまくいきやすいですね。

5. 瞳孔間距離が測定値とKBの差がある場合の対処法

たまに測定数値のPDとKBのPDが5ミリくらい違う場合があります。

そんな時は、KBに不自由がなければKBと同じ数値を入れ

「見えにくい」などの要望があり、

レンズの傷やフレームの異常がない場合には

PDや度数に異常が考えられるので測定数値に変える場合があります。

ただし、-7.00から-10コンマを超えると1ミリのPDズレでプリズムを感じるので、

2ミリ以内の変化にするのが無難です。

それ以下の度数の場合の考え方として、KBと数値の間をとります。

KBが60で測定数値が65なら、

差の5ミリを半分にした2ミリ

みたいな感じであれば違和感を少なめにできると思います。

6. 強度近視の度数を変化させる適切な範囲

一般的に強度近視は-7.00を超えたあたりから言われると思いますが、

強度近視の場合、「視力自体が出にくいだろうな」と念頭に置きながら処方すると失敗しにくいです。

特に-10コンマを超えた場合は-0.25変えても効果が出にくいので、基本的には-0.50の2段階ずつ変化させます。

とはいえ、視力は出にくいことが多いので

あくまで-1.00以内(4段階)の変化量で収めることを意識しておくと失敗しにくいです。

7. 不同視の度数合わせで気をつけるポイント

不同視で気をつけるポイントは、基本的に「変化させない」というのがポイントです。

「へっ?」って思うかとおもいますが、

不同視の矯正は10代の頃に左右差の見え方を矯正していなければ

ほとんどの場合左右差を近づけると違和感しか出ません。

不同視の方は、ある日左右の見え方が違うことに気づき、

「眼鏡で左右差をうめて欲しい」と相談に来られますが、

20代ならまだ変化させてもなんとかなる場合があります。

しかし、老視が入る30代後半からは手元の見え方に影響が出るので「何もできない」ということです。

仮に変化させた見え方を体験してもらうと、

大抵のお客さんは「確かに違和感が強い」「そういうものなのか」と理解してくれるはずなので、

基本的にはそのままが1番良いということをやんわりとお伝えするのが良いかと思います。

8. 初めて累進レンズを使う方への鉄板説明

初めての累進レンズの使い方を説明するときの鉄板説明は、

「遠くを見るときは見たいものを正面にして、

左右に見たいものがある場合は顔ごと正面になるように動かします」

「足元はあごを引いて見ると遠近感をつかめるので、階段などでは気をつけてください」

「この2点を覚えていただければ大丈夫です」

とお伝えします。

大切なのは「この2点」と説明することです。

人はたくさん説明されても覚えられないので、大切なことを2点にしぼった説明をすることで、

お客さんの記憶に残りやすく、安全快適な累進レンズにチャレンジできると思います。

9. 測定の必殺クロージング

測定クロージング は、わかっていても中々むずかしいと思います。

特に累進世代の方は「遠くも近くも両方きれいに見たい」と言われるので、

遠近にするのか中近にするのか、

ひたすら迷われることで時間がかかりますよね。

そんなときに使えるクロージング ワードを紹介します。

「遠近や中近のレンズは遠方寄りか近方寄りどちらかに6対4みたいな感じで寄るので、

今回の希望はどちら寄りが便利そうですか?」と説明しましょう。

もしくは「100点を遠くと近くでどちらか寄りに割り振らないといけないので、

どちらに重点を置きますか?」

と説明します。

ここで、まだ「両方みたい」言われても「どちらかに寄る」ということを引かずに説明するのが大切です。

中途半端に期待を持たせると仕上がった際に「残念」と思われるので、

きちんと眼鏡の特性を伝えて眼鏡の使い方を理解してもらうことが大切です。

10. 「前の眼鏡の方が見やすかった」と言われた時の対応

新しい度数が大きく変わったときに、

よく言われるワードですよね。

年配の場合は変化に慣れるガマンができないので、

測定の段階で「大きく変化させない」というのが大前提ですけど、

お客さんが望んで変化させた場合には、「ムリに慣れようとせずに5分くらいかけてつらくなったら、前の眼鏡に戻すなどして、

新しい度数に慣れさせてみませんか?」と説明し、ムリそうなら見え方を弱めるしかないですね。

先ほども言ったように、測定段階でお客さんが望んでいたなら慣れやすいですし、

慣れようと努力しますが、望んでいない変化は基本的には慣れようとしません。

これは年齢と脳の関係上、仕方ないことなので、測定段階で見極めるしかないです。

お客さんが「見たい」という希望を言う場合の心の声は、

「しんどくなくて今の見え方より楽に見えるなら変化させたい」というものです。

この心の声を聞けずに、「見たいっていったじゃん」と言うのはこちらの観察力不足ということですので、

ほんとうに変化させたいのか?

という熱意のようなものを表情や言葉の力を

観察して、見極めていきたいところですね。

11. KBと新しい測定結果に大きな差がある場合の処方決定方法

KBの使用年数が5年以上の場合、KBの度数と測定数値におおきな差がつくことはよくあります。

そんな場合、まずKBの見え方に不満があるのか?を確認していきますよね。

そのときにレンズの傷やコーティングの剥がれなどがないかを確認しましょう。

ほとんどの場合は傷やコーティングが剥がれているのが原因で見えにくいことが多いので、

同じ度数でもそれがキレイになるだけでも見え方は良く感じます。

測定数値が大きく変わっていた場合でも、基本的には今まで不便はなかったから作ってこなかったわけですから、

多少の過矯正や乱視を補正するくらいでほとんどは解決します。

ここで大切なのは、大きく変化させた新しい度数にしないことです。

変化を大きくさせる条件は、「お客さんが強く望んだとき」だけです。

それ以外は、「慣れにくい」「違和感が強い」などのデメリットがメリットを超えることができないので、注意ですね。

基本はKBデータがあるならそれをベースに大きく変えないことが正解です。

12. 下方視が苦手な方への処方

お客さんによっては、目線の上下が苦手な方もいます。

それをムリやり適正加入度数を超えて加入を強めたりするのはイマイチ処方です。

目線の上下が苦手な方にはまず

ショートタイプを試す、

遠方度数を緩めてもいいか確認する

設計を中近や近々にしてみる

バイフォーカルレンズを試す

これらの選択肢の特徴を説明して、

その方のライフスタイルや使いやすさを確認して処方していきましょう。

13. 遠視の便利処方

老眼初期の30代後半から40代の遠視の方には、

いきなり累進レンズじゃなくても少しの遠視度数を入れることで、

単焦点で遠くも手元も見えやすくなる場合があります。

加入度数が1.00ぐらいの方までなら

S面に+0.50とか+0.75入れるだけで遠方も近方も「裸眼より」見えやすくなります。

この「裸眼より楽」というのがポイントで、

実際には手元の度数が+1.50必要だとしても、

その数値の約半分以下の数値を入れるだけでもかなり見えやすくなるからです。

もちろん累進の方が便利そうならそれでも良いですし、

加入度数が1.00以下なら、まずはS面に半分以下の度数を入れて

それで十分そうならそれでもオーケーです。

注意点はS面に+1.00以上入れると遠方が見えにくくなるので、

「加入度数が1.00くらいまでの方限定」の便利処方として知っておきましょう。

14. 近々両用の処方ポイント

近々両用の処方ポイントは、中近両用で満足できなくなってきた方、

または、手元用の眼鏡だけを使っていたが

もう少し離れたパソコンなども見たいと要望があった50代後半から60代くらいの方

ということをボーダーラインとして考えます。

近々両用で1番多い失敗は、「実際にはのけぞったりするから思ったより見たい距離が遠くだった」という点が1番多いので、

逆加入は-1.50をベースに考え、そこまでの距離を本当に必要としない場合のみ-1.00加入にすれば失敗しにくいです。

15. 乱視軸が左右で大きく異なる場合の処方決定方法

乱視軸度が左右で大きく違う場合の注意点は、

KBの軸がそうなっているなら基本いじらずそのままで処方。

KBがない場合は、

乱視量と軸度にもよりますが、

利き目や優先的によく使っている方の目を調べて、

そちらの乱視軸をベースに反対方向は入れずに処方します。

180度方向なら3分の1以下

斜乱視、90度方向なら2分の1以下を目安に度数を入れて、

「もっと見たい」と要望があれば数値を入れていきます。

反対側の度数をS面だけで処理できず、「もっと見たい」と要望があった場合のみ、

反対側の乱視も法則にそって処方すると失敗しにくい自然な見え方になります。

今回は良く聞かれる質問を15個まとめて回答してみました。

どの質問にも確実に言えることは、

お客さんの主訴となる「明視域」がどこにあるのかを聞き取る問診が絶対条件です。

どんな処方の引き出しを持っていても、

お客さんが求める見え方を見つけられなければ意味がないですからね。

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