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「眼鏡の処方に正解はない?!測定者による違い」

眼鏡の処方度数って、同じ測定データでも誰かと見比べた時、
最終の処方度数が同じ結果にならないことってありませんでしたか?


10年くらい前、僕が初めて測定をやり始めたころ

違う人の測定データと処方データを見た時に「自分だったらこうなるかなぁ」と考えたりしていました。

その時は先輩の処方だから「それが正解なんだろうな」っていうくらいにしか思いませんでしたが、

測定に慣れてきた頃「もしかして処方度数って正解がないの?」と思うようになってきたのです。


だって、お客さんの主訴が同じだったら、正解はほとんど同じ数値になるはずじゃないですか?

でも眼鏡の処方は人によって、算数みたいに1足す1は2にならないんですよね。

人によって数値も違うし、提案する設計も違うこともあります。

これって多少数値が変でも、人には調節力という、誤差を「自分の目の力」で埋めることができるからなんですよね。


だから多少、処方が変でも気付きにくいし「まぁこんなもんだろ」ってなるんですよ。

そもそもこの違いって「何が違うんだろう?」と考えていたのですが、

ある時、先輩に「なんでこの処方になったんですか?」と聞いたら、きちんと答えられる人と答えられない人に分かれたんです。


例えば、

A先輩は「お客さんがここを見るのに困ってる」と言っていたので、そこを深掘りして、困っているところをメインに見る処方と、

他も同時に見る処方を比べて、どちらがライフスタイルにあっているか?をお客さんと相談して決めた。と説明してくれました。

B先輩は、お客さんが「視力〇〇くらいでって言ったから」とか、

「前の眼鏡よりキツくしたいから」といったかなり「ふわっとした回答」だったんですよね。

この違いってなんだと思いますか?

僕はこの時「問診力」、つまり「聞く力」が違うんだ!!と気づいたんです。


先ほどの、A先輩とB先輩の大きな違いって、お客さんの主訴を聞いて「本当の主訴」に対する深掘りをしたかどうかが違うんですよね。

問診って大切なんですけど、問診を深掘りする技術を教えられる人は、少ないように感じます。

例えば一般的な問診って、

「遠くと近くのどこが見えにくいですか?」とか

「運転はしますか?」とか「パソコンはしますか?」とか

「日常では室内と屋外どちらで過ごすことが多いですか?」

と言ったざっくりした問診があると思います。

でも、本当に大切なのは「なぜこの人は眼鏡を作りに来たのか?」を具体的にすることなんですよね。

例えば、

「目が疲れる」と言った主訴に対して、あなたは頭の中でどんな質問を浮かべますか?

「なんでこの人は目が疲れるんだろう?」

「どこを見ることが多いんだろう?」

「今の眼鏡は単焦点かな?累進レンズかな?」

「不同視かな?乱視かな?」

「そもそも眼鏡のかける位置おかしいな」 

このような質問が浮かんできますか?

もし浮かんで来ないのなら、これらの疑問を考えるようにしましょう。


そして浮かんだ質問の中から、目の前にいるお客さんに当てはまりそうな質問をいくつかしてみましょう。



「聞く力」と「質問力」はセットで効果を発揮します。

問診する力が高い人は、必要な情報を得るために、いらない情報をけずる質問をします。

例えば「それはこういうことであってますか?」という確認をして、

「違う」となれば、また違う質問をして本当の主訴にたどり着くまで繰り返します。

そのゴールが本当の主訴だからです。

ここをふわっとさせてしまう人は、目的地を決めずに海に飛び出すようなものです。


もちろんお客さんは素人なので、眼鏡で出来ることと、できないことを知らないことが大半です。


その主訴に沿った体験を実際にしてもらい、メリットとデメリットをわかりやすく説明して選択してもらうことが大切です。

時には「どれがいいのかわからない!!」と言われることもあるでしょう。

そんな時は、その方の生活環境をイメージしてもらう質問をして、

返って来た答えに対して、「じゃあこういう環境で疲れやすいんですよね?」と、確認する質問で主訴を確定させ、

「その悩みを解決するなら〇〇がおススメだと思いますよ」と背中を押してあげましょう。

その方の「性格、話の内容や話し方」から変化に適応しやすそうか、

しにくそうか?なども読み取ることができれば、さらに良い提案ができると思います。


眼鏡の処方に正解はありませんが、限りなく近づけることはできます。

その正解に近づけるためには、いかにお客さんの主訴をこちらが読み取って、すりあわせていくことができるか?が大切です。


もちろん眼鏡の座学は知識として大切ですが、この主訴を読み取るコミュニケーションがなければ、ただの自己満足です。


眼鏡の測定は座学を当てはめればいいわけではないので、この基礎であり奥義とも言える「聞く力」を常に意識してみてください。

きっと数ヶ月もすれば、座学だけをベースに処方している先輩を超えることは簡単だと思いますよ。


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